交易
数日間、海の様子を監視して、海軍とウンディーネ号が港沖に停泊する
『あれがクライドルト海軍と魔導船か・・・あの戦力なら我が国も侵略出来るはず』
公王が真剣に見ている
『海軍が護衛と言うより、後始末のために来ているのですから・・・海軍も相当な手練れです。メトリシア様の護衛のヒストリアさんも物凄い達人でした』
メーレシアが真剣に言う
『ヒストリアさん・・・可愛いですが、我が国の兵士では太刀打ち不可能です』
ルシエラが真剣に言う
『は? そんなに強いのか?』
公王が驚いている
『偉そうにしてませんが、訓練を見て、ただ立ち尽くす事しか、出来ませんでした。人の動きでは有りません!腕が見えないですから・・・』
ルシエラが真剣に言うと、公王が苦笑いしている
『やっぱり夢か・・・覚めないで欲しい』
公王が溜め息をして苦笑いする
海兵達が、ウンディーネ号から交易品を持ってきて、商人達が品物の確認を始める。
『英雄様、こんなに良い品物ばかり・・・我が公国では手に入りません』
公子が興奮気味に言うと、料理人達が調味料や食料を食い入る様に見ている
『それは良かったです』
マルスが微笑みながら言う
『価格交渉は、海兵にやらせて良いのですか?』
『キリシア次第かな?』
マルスが笑顔で言うと、メトリシアが笑い出す
『キリシア様次第?』
公子が苦笑いしていると、商人達が海兵に交渉を始めている
『マルス様、かなりの高額な交渉になり始めています』
海兵が苦笑いしながら言う
『じゃあキリシアの出番かな?』
『やっぱりそうですか』
海兵が苦笑いすると、公子が意味解らず見ている
『マルス、どうなっている?』
『キリシア、交渉が始まったから、任せたよ』
『わかった!!』
キリシアが笑顔で商人達の方に歩いていくと、商人達がキリシアに交渉しようと集まり始める
『どのぐらいの物が必要?』
キリシアが商人達に聞く
『こんな機会滅多に有りません!! 全部買い取りたい!!』
商人が大声で言う
『独り占めはズルいぞ!!』
『あの商品だけは譲らないぞ!!』
『誰から交渉するのか? 』
金貨の袋を見せながら商人が叫ぶ
『持ち帰ったら、高く売れる商品を持ってこい!! 交渉も面倒だから! 信用するから物々交換だ!解ったら返事は!!』
キリシアが笑顔で言う
『は? 物々交換? 信用する?』
商人が苦笑いする
『水蜘蛛の生地で、どのぐらいの物を交換できますか?』
商人が叫ぶ
『信用するから、海兵にどの商品と交換するか自分で決めろ! 損しなければ、商人の意地を見せてみろ!! 信用してやる!』
キリシアが大声で言うと、商人達が苦笑いしていると、我先に商品を取りに商人達が帰っていく
『これが交易か?』
公子が苦笑いしている
『キリシアだからね、下手な事を商人がしたら、次回が無いからね』
『それは解りますが・・・商人が嘘をつけば・・・下手したら悪い噂が流れるか・・・商人も嘘をつけないのか』
『キリシア師匠しか出来ません! 面倒だから、丸投げですけど』
メトリシアが笑いながら言う
『メーレシアが見ていた方が良いと言ったのは、この事か・・・豪快過ぎる』
公子が苦笑いしている
『特産品を勝手に持ってきてくれるから良いよね。金貨なんていらないからね』
マルスが笑顔で言う
『これは交易と呼べるのか?』
『ついでなので、気にしてないと思います』
メトリシアが微笑みながら言う
『これが英雄様なのか・・・考え方が違いすぎる・・・あれはウルシナ生地に水蜘蛛も』
公子が商人が持ってきた商品を見て苦笑いすると、海兵に手渡して、商品の交換を始める
『は? あれで終わりか?早すぎる』
『言い値ですから!』
『交渉無しだから・・・これで本当に利益出るのか?』
公子が苦笑いしながら見ていると、料理人達も食材を持ってきて、交換を始めている
『アニーが食材について聞き始めました』
メトリシアが笑顔で言う
『今日はウルシナ料理かな?』
マルスが笑顔で言う
『楽しみです』
メトリシアが嬉しそうに言う。マルスは後の気配に気が付き、ヒストリアとケニスを見る
『愚か者はどこにもいます』
ケニスが苦笑いしていると、男達が走り始めてマルス達を取り囲み剣を向ける
『公子!! 大人しくして貰おうか? この娘串刺しにするぞ!!』
男がヒストリアに剣を向けて怒鳴る
『マルス師匠、良いですか?』
ヒストリアが苦笑いして言う
『暇潰しにして良いよ。後でキリシアの暇潰しだね』
マルスが笑顔で言う
『は? 状況が解っているのか!!小僧!!』
男が怒鳴る
『これはどうしたら・・・』
公子が青ざめて少し震えていると、ヒストリアが男の腕を掴み殴り腕を砕き、地面に叩き付ける
『ギャーーー!!』
男が悲鳴をあげると、男達は、ヒストリアに斬りかかるが、ヒストリアは、軽くかわしながら顔面や腕を砕いて、無力化していく
『お仕置きしちゃいますか?』
メトリシアが嬉しそうに言う
『人前だから、英雄騎士隊に仕事して貰うよ』
マルスが笑顔で言うと、英雄騎士隊員達が苦笑いしながら拘束を始める
『え?つつつっ強い!!』
公子が唖然とヒストリアを見ている
『未熟者なので、まだまだ弱いです』
ヒストリアが微笑みながら言う
『は? 未熟者・・・どう言うこと?』
公子が苦笑いして呟く
『マルス師匠の弟子だから、まだまだ未熟者ですが、クライドルト王国騎士団長よりも強いですよ! ヒストリアに文句1つ言えませんけど』
メトリシアが笑いながら言う
『アハハハ・・・英雄様の近くにいたら未熟者ですか・・・騎士団長も大変ですな』
『え? 御父様の情けない姿を沢山見てしまいました。もっとしっかりして欲しいです』
ヒストリアが笑顔で言う
『え? 御父様?』
公子が苦笑いしてマルスを見る
『騎士団長の娘です。 騎士団長と一騎討ちして勝ってからは、近づきませんけど』
マルスが笑いながら言う
『屋敷に来てもすぐに帰ってしまいます。剣の鍛練も付き合って貰えません』
ヒストリアが笑顔で言う
『代わりにデストラで我慢してね』
『デストラさんも、すぐに帰ってしまって、鍛練の相手してくれません』
『英雄騎士隊員をボコボコにするしか無いね』
『はい! マルス師匠!』
ヒストリアが笑顔で言うと、英雄騎士隊員達が、苦笑いしている