ウルシナ公王
メーレシアは、倒れたウルシナ公王の部屋に向かう
『お祖父様、大丈夫ですか?』
メーレシアが手を握り声をかける
『メーレシアなのか・・・夢でも会えて嬉しい・・・』
公王は、メーレシアを見て言う
『何故涙が・・・夢では無いのか? しかし、何故メーレシアが』
『お祖父様、レトリアル・クレトリア王国は、内乱で大変な事になっていました。援軍に出せる余力は有りませんでしたが、クライドルト王国の英雄様が来訪していて、理由を話した所、来訪してくれました! クライドルト王国海軍10隻も援軍の為に近くまで到着しています』
メーレシアが涙目で言う
『クライドルト王国・・・サメリア王妃の祖国の軍勢が・・・感謝しないと、例え属国になろうとも民が救われるならば、それで良い。メーレシア、すまないが・・・クライドルト王国に人質として向かうように』
公王が真剣に言う
『はい、覚悟は出来ています。クライドルト王国が、どんな王国か楽しみです。』
メーレシアが微笑みながら言う
『何故そんなに嬉しそうに笑う? この城も安全では無いが、どのように扱われるか、心配では無いのか?』
『え? メトリシア様と話しましたが、本当に楽しみになっています。マルス様の屋敷を見てみたいと思っています』
メーレシアが嬉しそうに話し始めると、後ろで公太子と婦人が苦笑いしている
『魔物に侵入される前に、向かいなさい。クライドルト王国で出来れば、幸せになりなさい』
公王が真剣に言う
『え? 城の外の魔物はリベリアの英雄様が、殲滅してくれました! 先程から魔物料理を作って食べています』
『そうか・・・え?殲滅した!! 何が起きた!!』
『飛空艇から見てましたが、完全に殲滅してました! 凄い英雄様です。キリシア様なんて、大きなクラブを一撃で倒していました。エミール様の魔導車の魔導砲で、地平線まで吹き飛ばしていました。』
メーレシアが笑顔で言う
『は? 何訳のわからないことを!』
『事実です・・・見ていましたが、蹂躙していた! 本当に人と言われるより、女神様が降臨したと言われても納得します』
公太子が真剣に言う
『は? 何故そんなことが・・・クライドルト王国の英雄・・・リベリアの英雄!!噂のキングリザードを倒したと、称えられる英雄か!!』
公王が叫ぶ
『今日の戦いを見ていたら、真実だと思いました。大抵噂は、大袈裟に伝わりますが、リベリアの英雄様は、噂以上の実力です』
公太子が真剣に言う
『はい! 凄すぎます!! マルス様のあの戦い方! 目が離せませんでした!! ヤドカリを全部両断してました』
『は? 両断していた? アハハハ冗談を・・・ん? 本当なのか?』
公王が公太子の顔を見て、苦笑いしている
『事実です。』
『やっぱり夢か・・・目が覚めて失望しないように、寝るぞ』
公王がそう言うと、目を瞑る
『現実逃避なのか?』
公太子が苦笑いする
マルス達は、ベアーズ号に魔物を乗せてウンディーネ号に送り届けると、アニーが笑顔で料理をしている
翌朝から5日かけて、ウルシナ公国の、西と南の島の海岸と、公都周辺の魔物を駆逐する
『毎日スナイルと蟹だと飽きるね』
キリシアが苦笑いして言う
『後は東の孤島に乗り込めば、終わりかな? もう少しの我慢だよ』
マルスが笑顔で言う
『え? 食べ物がだよ!』
キリシアが苦笑いすると、みんな笑い出す
『キリシア、アニーに食料を出して貰いましょう』
リリシャが微笑みながら言う
『そうだけど・・・町中の人達の様子を見たら、贅沢は言ったらダメだよね』
キリシアが苦笑いして言う
『軍艦やウンディーネ号が到着しても、この数を養う食料は無いから、考えないと』
マルスが真剣に言うと、メトリシアが考え込んでいる
『西の島から食料を運んで来ないと無理です』
リリシャが真剣考えながら言う
『マルス師匠、リリシャ師匠、キリシア師匠、やっぱり東の島を偵察しないと、難しいですよね?』
メトリシアが真剣に言う
『我が主、クーレセスから支援要請だ! 魔物が近付いている』
シリウスが言う
『え? 離れて待機しているよね? シルフィード号で向かうよ!』
マルスが真剣に言うと、シルフィード号に全員で乗り込み急いで海軍の船団に向かって出発する
ウンディーネ号は、次々と魔物が海から飛び跳ねて、攻撃を受け続けている
『この船でなければ、もう沈んでいますね。まさか、ドラゴンフィッシュの大群に遭遇するなんて・・・』
フローネが甲板で、バタバタ飛び跳ねている、ワニの様な魚を見て言う
『師匠! 後ろの海軍の船にも向かっています』
リシリアが双眼鏡で見て叫ぶ
『全速力で避難するように伝えてください』
フローネが急いでゼオンに言う
『既に逃げ始めていますが、速度が違いすぎます』
ゼオンが真剣に言うと、クーレセス号が海面近くまで降下してくる。ドラゴンフィッシュが、海面からクーレセス号に飛び付いていくと、バリアに当たり海に落ちている
『クーレセス号がいなかったら、全滅もありえますね・・・マルスなら、どんな対処をしますかね?』
フローネが双眼鏡で見て呟く
『一匹ずつ斬り落としそうですけど』
リシリアが笑顔で言うと、フローネが笑い始める
『マルスは魔法使いですよ』
『一匹ずつ魔法で撃ち落として、面倒になったら、範囲魔法で殲滅ですか?』
『殲滅はしそうですね・・・どんな魔法を使うかは、解りませんが』
フローネとリシリアが喋りながら話し込んでいる
『魔物に襲われている最中ですが・・・呑気に話していて良いのですか?』
エレリアが苦笑いして言う
『装甲を破れるなら、破って欲しいですね、マルスが喜びそうですけど』
フローネが笑いながら言うと、みんな大笑い始める
(フローネ師も完全に常識を忘れています・・・やっぱりリベリアの英雄と一緒にいると、常識がなくなるの?)