クレトリアニアス伯爵軍
王都が見えてくると、遠くに船団が見えてくる
『あの船団・・・軍艦です』
エビリアが双眼鏡を覗きながら言う
『もしかして、伯爵軍? 』
キリシアが笑顔で言う
『喧嘩売りにきてくれた?』
リリシャが微笑みながら言う
『近付けば解るけど・・・』
マルスが呟く
『早く攻撃して貰いましょう』
メトリシアが笑顔で言う
『軍艦に離れる様に伝えておきます』
エミールが笑顔で言うと、ゼオンに伝令を頼む
ウンディーネ号は、王都沖で停泊する。軍艦は、左右に別れながら接近してくる。ウンディーネを半包囲にて、閃光を放ち、ウンディーネ号のバリアに当たり、周囲に衝撃波が伝わる
『バカな!! 魔導砲が通用しない!! 魔導砲使えん!!接近して、魔法と矢を放て!! 乗り込み、皆殺しだ!!』
伯爵が怒鳴り、兵士が慌ただしく信号旗を振っている
『何故魔導砲が・・・まさか!! ひひひひ飛空艇!! リベリア英雄!! 嘘だ!! こんな所まで!!』
男が青ざめて叫ぶ
『外交担当!! なんだ! リベリアの英雄??』
『かかっかっ関わりたくない!! あれは魔族を倒すほどの化物だ!! 近付いたら、こんな船一瞬で消滅させられる!! 早く逃げろ!!』
男が恐怖に震えながら叫ぶ
『はぁ? それがどうした!!オルフェスタ・ガゼルド王国が後ろにいるのだろう!! そんなにビビる事か!!』
『・・・』
男は青ざめ、伯爵を見る
『誰か! こいつを部屋に送ってやれ!! 本物の海戦、見せてやれ!! 魔導船なんか奪い取れ!!』
伯爵が大声で言うと、男が連れ出され、魔導船に近付いていく
『なんだ!!この揺れは・・・なんだーーーーーー!』
『ギャーーーーー!』
船が揺れ始めると、船員達は必死に物に捕まり、耐え始める。魔導船の甲板に、数人の女性が歌いながら、何かをしているのが見える。そして、ヴァルキリーの天罰と叫ぶ声が聞こえてくる
『あの美人・・・』
伯爵が見とれた瞬間、船が大きく傾き、そして反対に急に揺れて、伯爵は床に転び、右へ左へ転がり続ける
揺れが収まると、魔導船に横付けされ人がやってくる
『こらーかかってこい!!』
女性が槍を持ち、石突きを看板に叩き付ける
『なんか言えーーーー!! 全員許さない!!』
女性が怒鳴る
『ヒェーーーーーーーーー! ヴァヴァッヴァルキリー様!! おおおおお許しを!!』
船員が青ざめながら祈り始めると、他の船員が次々と拝み始める
『誰かかかってこい!!』
女性が叫ぶ
『女神ヴァルキリー様ーーー!!! お許しを!お許しをお許しを・・・・』
船員達が必死に拝み続けている
『お前が、この船の責任者か?』
騎士が聞いてくる
『無礼者・・・我こそは、クレトリアニアス伯爵ぞ・・・』
伯爵が言うと、嘔吐する
『汚ない!!』
騎士が苦笑いすると、女性の前に連れていかれる
『え? 伯爵? 売られた喧嘩買ったから! 叩き潰す!!』
『売られた喧嘩? あ! 攻めたから・・・』
伯爵が力なく言うと、涙が流れ始める
『キリシア伯爵を捕まえたと聞いたけど、こいつ?』
マルスが笑顔で聞くと、ルメリア王女が見ている
『クレトリアニアス伯爵です。 まさか、伯爵自身が攻めてくるなんて・・・』
ルメリアが真剣に見てから言う
『ついでに、伯爵の城も落として、終わりにしよう』
キリシアが笑いながら言う
『その前に、サメリア王妃様に届けないとね』
マルスが笑顔で言うと、騎士が男を引きずってくる
『英雄様、オルフェスタ・ガゼルド王国の外交担当らしいです』
騎士が男を転がす
『ヒィーーー!! リベリアの英雄!! 祖国の命令でやっていただけです!! 何でもしますので、どうか!どうか!! お許しください!! 知っていることも全部話します!! 祖国に帰ったら、一生償います!!』
男が泣きながら、何度も頭を床に付けて叫び続ける
『なんで、知っているのかな?』
『祖国から使者が来ました!! リベリアの英雄にドラゴンも魔族も魔道兵器も通用しない!化物だと!! 人が勝てる訳有りません!!』
『誰が化物? ふふふ』
リリシャが微笑みながら言う
『ヒィーーーー! おおおおお許しを!!! 女神様!!』
男が恐怖に震えながら叫び、そのまま気絶する
クライドルト海軍の船が、捕虜を船底に閉じ込めると、港に向かい、港に着く
『海上で何が有ったのですか?』
サメリアが真剣に聞く
『あ!! 御母様!!』
ルメリアが笑顔で叫ぶと、セレメトが走り出して、サメリアに抱き付く
『人前ですよ』
サメリアが困った顔になる
『伯母様、しかし、親子です。離れていたから、寂しかったのだと思います』
メトリシアが微笑みながら言う
『セレメト、ルメリア』
サメリアが2人を抱き締めて涙を流し始めると、周囲の騎士達が涙を堪えている
『恥ずかしい姿を見せてしまいましたね』
サメリアが苦笑いして言う
『お祖父様に報告しておきます。』
メトリシアが笑顔で言う
『メトリシア! それは止めてください!! 戦時下です!』
サメリアが睨み言う
『あ!! 後、後始末よろしくお願いします!』
メトリシアが笑顔で言うと、公爵と伯爵が引き摺られ連れてこられる
『は? 公爵に伯爵!! 何故!!』
サメリアが驚いていると、周囲の騎士達が驚きの余り、呆然としている
『公爵潰して帰って来たら、海上で伯爵に襲われました! ついでに捕まえました! 海賊の後始末よろしくお願いします』
メトリシアが笑顔で言うと、ルメリアが説明をしている
『1日で・・・公爵を潰すですか・・・本当に1日で公爵を潰して・・・ついでに伯爵を』
サメリアが苦笑いする
『ウルシナ公国に向かうついでに伯爵の城も降伏勧告しますね。だから、海軍を早く再建してください』
メトリシアが笑顔で言う
『すぐにしますが・・・どう後始末をしたら・・・』
サメリアが苦笑いする
『王が必要ですね』
フローネが真剣に言う
『マルス師匠、誰が王になったら良いですか?』
メトリシアが笑顔で聞く
『やりたい人がやるのが一番! だけど、サメリア様が即位するのが、1番ですね』
マルスが笑顔で言う
『サメリア様!!!』
騎士達が片膝を付き頭を下げ始める
『これは・・・そうですね・・・セレメトが成人するまで、頑張らないといけませんね』
サメリアが周囲を見て、セレメトとルメリアを見てから言う
『はい! 伯母様!!』
メトリシアが笑顔で言うと、騎士達が歓声をあげ始める