ウルシナ公国からの使者
港に到着すると、キリシア達がやってくる
『お仕置きして良いのね』
キリシアが笑顔で言う
『エリカの練習台にもしてね』
『わかった!! 暇潰ししているね』
キリシアが上機嫌で言うと、みんな笑い出す
『メトリシア、事情が有りそうだから、一緒に来てね』
マルスが笑顔で言うと、メトリシア達と建物に入る。2人の女は、マルス達を見て
『本当にありがとうございます!! 私は、ルシエラと申します。こっちは、メーレシアと言います。 王妃様がこの港に滞在していると聞き、何としても謁見を求めていました。』
ルシエラが真剣に言うと、メーレシアがマルスを見詰めている
『どうして謁見を? 今の状況だと、謁見は不可能だと思います』
メトリシアが真剣に聞く
『それは・・・』
ルシエラが黙り込む
『南の島国、ウルシナ公国公女メーレシアと申します。同盟国レトリアル・クレトリア王国に援軍の要請に来ました・・・我が国は、今、魔獣の大群により国家存亡の危機に有ります。しかし、まさか、内戦でレトリアル・クレトリア王国が、こんな状況と知らず・・・帰るにも帰れず、途方に暮れていましたが、王妃様の軍勢が盛り返し、この町を奪還したので、最後の希望に取り次ぎを頼みました・・・』
メーレシアが真剣に言うと、大事そうに書状を取り出す
『え? ウルシナ公国? 友好国では無いので、どうしたら?』
メトリシアが困惑している
『メーレシア様は、本物ですか? 自分の身分を立証する事は出来ますか?』
マルスが真剣に聞く
『え! それは・・・無理です。この国に知り合いはいません、外交担当も途中で逃げる為に、はぐれてしまいました』
メーレシアが涙目で言う
『このぐらいしか、紋章の入った物は有りませんが・・・』
ルシエラが真剣に言うと、短剣の柄を見せる
『マルス師匠、どうしたら?』
メトリシアが苦笑いしている
『エミール、外交担当を連れてきて!!』
マルスが真剣に言うと、エミールが出ていくと、外交担当と海軍隊長がやってくる
『お呼びでしょうか?』
外交担当が苦笑いしながら聞く
『ウルシナ公国は知っていますか?』
『ウルシナ公国ですか? 南の島国です。』
『こちらは、ウルシナ公国からの使いです。』
マルスが真剣に言うと、外交担当がメーレシアを見て驚いている
『まさか、メーレシア第一公女様! 何故こちらに!!』
外交担当が驚きながら声をあげると、慌てて頭を下げる
『あれ? 会った事有るの?』
マルスが真剣に聞くと、みんな見ている
『はい、6年前ですが、レトリアル・クレトリア王国に来た際、外交担当と訪問しました』
外交担当が真剣に言う
『メトリシア、どうするか決めてね』
マルスが笑顔で言う
『えーと、レトリアル・クレトリア王国の関係者では無いのでしょうか?』
メーレシアが心配そうに聞く
『こちらは、クライドルト王国メトリシア第2王女様です。』
外交担当が真剣に説明を始める
『え!! あの大陸の王国の!!』
メーレシアが驚いてメトリシアを見る
『伯母様に相談します。外交担当は、すぐに話に言ってください』
メトリシアが言うと、外交担当と海軍隊長が出ていく
『ありがとうございます』
メーレシアが笑顔で言うと、立ち上がり頭を下げる。外套が落ちて破れた服になる
『え! その服・・・』
メトリシアが呟く
『え!キャーーーーーーーーー!!』
メーレシアが慌てて手で隠すと、うずくまり、マルスが視線をそらす
『マルス師匠!!見ましたよね!! マルス師匠!!』
メトリシアがマルスを見て言う
『マルスは出ていてください』
リリシャが大声で言うと、マルスが部屋の外に出る。ケニスが服を取りに行く
しばらくすると、サメリアがやってくる
『ウルシナ公国のメーレシア様ですね』
サメリアが真剣に聞く
『はい、メーレシアと申します。』
メーレシアが驚きながら言う
『伯母様、こちらまで来なくても』
メトリシアが真剣に言う
『こちらの方が安全です。クライドルト王国海軍にメトリシア達がいますから』
サメリアが笑顔で言う
『伯母様? え!!もしかして、王妃様!!』
メーレシアが驚いて叫ぶ
『レトリアル・クレトリア王国王妃サメリアです。話は聞きましたが、親書を拝見しても良いですか?』
サメリアが笑顔で言うと、手紙を読み始め、考え込んでしまう
『メーレシア公女様は、この内容、知っていますか?』
サメリアが真剣に聞く
『援軍の要請と、私が人質になる事です』
メーレシアが真剣に言う
『その通りです。しかし、我が国も、この状況では援軍を出すことも出来ません。ご理解をしてくれますか?』
『そうですか・・・国元は・・・』
メーレシアが涙を流し始める
『しかし、今、ここに海軍と共に王族まで遊びに来ています。帰り道に遊びに来て貰えないか、交渉は可能でしょう』
サメリアが真剣に言う
『え? しかし、クライドルト王国には、国交が有りません! 動いて貰えるか・・・』
メーレシアがメトリシアを見る
『マルス師匠、どうしますか?』
メトリシアがマルスを見る
『リリシャ、どうする?』
『え! どうしますか? マルス』
リリシャがマルスを見ながら言う
『この場合・・・キリシア次第だよね』
マルスが笑顔で言う
『あ!! マルス師匠の押し付けです!!』
メトリシアが笑いながら言うと、メーレシアが挙動不審になっている
『そう言う事なのですね・・・リベリアの英雄が自由に動き回れるのは・・・』
サメリアが溜め息をすると、外交担当が苦笑いしている
『リベリアの英雄? 何ですか?』
メーレシアが真剣にサメリアを見ている
『クライドルト救国の英雄であり、大陸最強の冒険者です。怒ったら、1国を潰す人ですね』
『え?1国を潰す?』
『はい、オルフェスタ・ガゼルド王国は降伏させました』
メトリシアが笑顔で言う
『え? ガベラス王国ではないのですか?』
サメリアが驚いて聞く
『あ! ガベラス王国も降伏させました』
メトリシアが慌てて言う
『聞いた内容は、極秘にお願いします・・・怒ったら、本当に相手を滅ぼします。多分面倒になったら、公爵家など、1日で城を落とします』
外交担当が苦笑いして言う
『エリゼトス公爵の城を本当に半日で占領したな・・・あれは驚いた』
海軍隊長が真剣に言う
『え!! それは本当ですか!! エリゼトス公爵家が取り潰されたのは、知っていましたが!!』
サメリアが驚く
『えーと、それ以上は、面倒にならない? 国家機密だよね』
マルスが真剣に言う
『あ!! 申し訳ありません・・・余計な事を言って、申し訳ありません』
海軍隊長が真剣に言うと、サメリアが苦笑いしている
(もしかして、全て本当なの? そしたら、本当に公爵家は滅ぼされる?)




