騎士訪問
翌朝、食堂でご飯を食べながら
『昨日はありがとうございました』
領主の息子はそう言って笑顔でご飯を食べている
『まさか挨拶に無理言って行ったら、治って歩いて帰ってくるとは思いませんでした』
領主の奥さんもそう言って笑顔で息子を見ている
『何故、闘気が原因だと解ったのかが不思議だが?』
『みんな迷宮に潜るようになってから、体が重くなることが有ったから、私は闘気を、リリシャとマルスは魔力を制御して治してきたからですよ』
キリシアが言うと
『なるほど・・・相当な修練を積んだのだな』
『やり方を教えて貰わないと解らないけどね』
『そうだな・・・確かに教わるのは必要だな!しかし、闘気は使える者がほとんどいないから難しい』
『リベリアの警備隊は闘気の勉強中だよ』
キリシアが軽く言う
『リベリアの警備隊がか?』
『キリシア殿に滅多打ちにやられ続けて、みんなキリシア殿に一発当てるために修練中ですな』
ガシリオがいうとルメイルは苦笑いする
『キリシア殿に滅多打ち?』
『30対1で訓練して全員打ち負かされています』
『そんなにキリシア殿は強いのか?』
『マルスの方が強い』
キリシアが言うとみんな苦笑いする
『ヴァンパイアを倒す実力か・・・』
領主は呟く
『親父、今回の事で自分が未熟であり、上には上がいることを知りました』
『その通りだな』
『ゴブリン討伐に出るのであれば、再び指揮をとれるように頑張って闘気を習得します』
領主は笑顔で息子を見る
その後、馬車に乗り村に向かう
村に戻り、村長の家に行くと
『お戻りになられましたか』
『ただいま』
キリシアが返事をする
『もう少しお世話になります』
『ゆっくりしていってください』
村長の家でゆっくりしながら、闘気と魔力の鍛練をする
『闘気の扱い方を教えて貰っても良いですか?』
ルメイルはそう言って
『いいよ』
キリシアが返事をする
数日後、王国騎士が村にやってきた
『冒険者とはお前達か?』
『そうだよ』
キリシアの回答にちょっと困惑する
『ゴブリンの事で確認したい』
騎士はキリシアと話し込む
『事実のようだな・・・』
『しかしこんな若い冒険者が戦い、勝つとは・・・』
そこにガシリオとルメイルがやってくる
『ガシリオなのか?』
『久しぶりだな。お前がくるとは、団長は、みんなは元気か?』
『みな元気にやっている。しかしガシリオにこんなところで会うとはな・・・』
『冒険者が討伐するのが信じられないのは解るが、本当だ』
ガシリオが笑う
『ガシリオもいたのだなその場に・・・』
『いたが、一匹も斬らせて貰えなかったがな』
『一匹も?』
『もし、前衛に入っても只の足手まといだからな』
『そんなに強いのか?』
『キリシア殿に稽古をつけて貰えば解るよ』
ガシリオが言うと
『訓練する?』
キリシアが言うと
『よろしくお願いします』
騎士が言う
外の広場で稽古を始める
騎士はキリシアに剣を構え、盾を構えて突進する。しかしキリシアは一瞬で槍先を首元に刺す
『え?』騎士は唖然とする
『もう一度する?』
『お願いします』
騎士は斬り込むがキリシアに全部避けられて、槍で振り払われ、弾き飛ばされ転ぶと首元には槍先がある
『どうだ、キリシア殿は強いだろ』
ガシリオが笑うと騎士は苦笑いする
『久しぶりに俺の相手も頼む』
ガシリオが言うと騎士は頷く
『始めよう』
ガシリオが構え、騎士も構える。そして騎士は打ち込むが、総て剣で受け止める
『どうした、その程度か?』
ガシリオの言葉に騎士はどんどんスピードを上げるが総て当たらない。そしてガシリオの一撃で体勢を崩し、次の一撃で剣を落とす
『修練が足りないな』
ガシリオが笑う
『足は治ったのか?』
『マルスに治療して貰って治った』
ガシリオはそう言って左右にステップを踏む
『騎士団に戻らないのか?』
『まだ戻らない。今の鍛練も楽しいからな。団長に伝えておいてくれ』
ガシリオが笑うと騎士も笑う
騎士は領主の館に戻り、他の騎士達と共に北の山岳地域を探索すると言って村を離れる。兵士と騎士達により、北部の探索とゴブリン討伐を開始し始めた
数日後、リベリア冒険者ギルドから撤収の連絡が来た
『村長、お世話になりました』
『こちらこそ、いろいろありがとうございました』
村長は頭を下げる
『お父さん、お母さん、レティナ、行ってきます』
『元気で頑張るだよ』
『お兄ちゃん・・・』
抱きつきながらレティナは別れを惜しんでいた
『レティナ、これを渡し忘れていた』
ペンダントを取り出してレティナに渡す
『お兄ちゃん、ありがとう』
レティナと別れて、馬車でリベリアに向かう
帰りの途中、領主の館で領主の息子に会い、体の具合を確認して、冒険者達と合流して帰る