5話 旅立ち
木刀を振っていると、
『マルス』
呼ばれて振り返ると、リリシャとキリシアが歩きながら、向かって来るところだった。
『キリシアさん、怪我は大丈夫?』
『大丈夫、ポーションで治療したから』
キリシアさんは手に持っていた剣を差し出しながら
『この剣を受け取ってほしい』
『助けてくれたお礼です』
真剣な眼差しでリリシャが言ってきた
『ありがとうございます』
受け取りながらお礼を言う
『村長から聞いたんだけど、冒険者になるつもりなの?』
『うん、そうです』
『魔法を覚えたいって聞いたけど、本当?』
リリシャはそう尋ねてきた。
『はい!魔法使いになりたいと思っています。』
そう答えて2人を見ると顔を見合わせて、
『冒険者になってもちゃんと生きていけると思う』
キリシアが言う。続けてリリシャも
『もし魔法使いを目指すのなら、可能な範囲で教えるよ』
リリシャの言葉に笑顔になり
『本当に?』
『命の恩人の夢の為になるのであれば喜んで教えます』
『リリシャ先生お願いします』
頭を下げながら言うと
リリシャは少し恥ずかしそうに
『先生はやめて普通に呼んで』
キリシアはリリシャを見て微笑む。
『冒険者殿』
呼ばれて振り向くと村長がやって来たので家に入って母親と父親を呼んで話をする
村長と両親がマルスの将来について話し合いを始め、
『マルスはどうしたいか?』
『え?』
父親は言う
『リリシャさんから、一緒に冒険者をしながら、魔法を教えてもらう話だ』
少し考えてリリシャとキリシアの顔を見て
『挑戦したいです』
父親と母親を見ながら答えると、
『わかった!いつか冒険者になるために出ていく事を考えても、一緒に冒険者になる人がいないと大変だし、リリシャさん、面倒を見てもらって良いですか?』
『はい!こんな私で良ければ教えられることは教えます。勿論魔法も』
リリシャの答えに母親は
『よろしくお願いします』
と頭を下げる。
数日後、旅立ちの日がやってきた。
両親とレディナに見送られ、リリシャキリシアと共に村を出て歩き出した。
目的地は、クライドルト王国の町リベリア。