ハルドとアーセルと両親 後編
リリシャとマルスとメトリシアが部屋に入る
『バスガルト男爵、お久しぶりですね』
リリシャが微笑みながら言う
『リリシャ!! どうしてここに!!』
バスガルト男爵が驚いて叫ぶ
『ハルドに近付いたら許しません!! 可愛い弟子の友達ですから』
リリシャが微笑みながら言う
『まさか・・・ハルドの後見人は、リリシャなのか!!』
『後見人は、メトリシアとマルス様ですわ! ハルドとアーセルの先生ですから!』
アリシアが笑顔で言うと、リーガルド伯爵は笑顔で見ている
『文句は無いですね』
王妃が満面の笑顔で言う
『嵌められたのか・・・文句は無い』
バスガルト男爵が苦笑いして言うと、逃げる様に部屋を出ていくと、追う様にハルドの父親が出ていく
『マルス殿お久しぶりです。背が伸びましたね。リリシャ様もお久しぶりです』
リーガルド伯爵が深々と頭を下げる
『お久しぶりです。ハルドとアーセルの事が心配でしたので、来てしまいました』
マルスが笑顔で言うと、アーセルの両親がキョロキョロしている
『アーセル、幸せにして貰いなさい! くれぐれも後見人に迷惑はかけないように』
リーガルド伯爵が微笑みながら言う
『え? よろしいのですか?』
アーセルが真剣に聞く
『物分かりが良くなりましたね』
王妃が微笑んでいる
『王家とリベリア公爵家を敵に回すより、友好関係が良いです』
リーガルド伯爵が言うと笑い始める
『ハルド、卒業と同時にアーセルと結婚です。文句は言わせません。明日、結婚しても良いですが・・・』
王妃が笑顔で言う
『はい、王妃様、アーセルを幸せにします!』
ハルドが笑顔で言う
『ハルド・・・』
アーセルが真っ赤になっている
『しかし・・・卒業と同時に結婚で大丈夫なのか? 収入も・・・追放されたなら、苦労しか無いのでは・・・』
アーセルの母親が心配そうに言う
『王家に仕官は決まっています。マルス様の生徒ですから、既に召還しました。』
王妃が微笑みながら、ハルドとアーセルの召還状を出すと、ハルドとアーセルに手渡す
『本当に・・・本気だったのですか?』
ハルドが苦笑いすると、マルスを見る
『候補者がみんな断るから仕方無いですね! 文句は候補者の全員に言ってください』
王妃が笑顔で言うと、アーセルが母親に見せる
『え? 宮廷魔術師に召還!!』
『宮廷魔術師!! 何故だ!! 魔法使いの家系じゃないのだぞ!!』
アーセルの両親が声を上げると、召還状をじっくり見ている
『ハルド、どうしてですか? 何故宮廷魔術師に』
ハルドの母親が真剣に聞く
『沢山勉強して、良い先輩と後輩のお陰です』
ハルドが真剣に言う
『エミールとエレーヌの生徒みたいですから、私達の弟子の門下ですね』
リリシャが微笑みながら言う
『リリシャ様・・・どうして?』
ハルドの母親が困惑している
『これから話す内容は、誰にも話さない様に約束できますか?』
王妃が微笑みながら言う
『死ぬまで話しません。約束します』
ハルドの母親が誓いをたてると、アーセルの両親が約束する
『マルス殿とリリシャ殿とキリシア殿の3人は、リベリアの英雄と呼ばれていますが、その弟子達を含めて、リベリアの英雄です。ハルドとアーセルに魔法を教えたのは、マルス殿とエミール師ですから、実質英雄殿の生徒です。リベリアの英雄は、有名になる事が嫌いなので、秘密にする事が褒美です。秘密は守ってくださいね』
王妃が真剣に言うと、アーセルの両親が驚いて、マルスとリリシャを見ると、ハルドの母親もリリシャを見つめている
『リーガルド伯爵家の英雄様にアーセルを必要と言われたのだから、喜んで差し出す!文句は言わせん』
リーガルド伯爵が笑顔で言う
『バスガルト男爵家は、大損ですね・・・』
ハルドの母親が呟く
『将来、どこかの領地の領主です。バスガルト男爵家は大損ですが、両親からしたら、すごい出世ですね・・・あの次期領主が継いでもハルドには文句言えませんから』
王妃が真剣に言う
『あの次期領主・・・そうですね・・・ハルドが幸せになれるなら仕方無いです』
ハルドの母親が苦笑いしながら、納得する
『あの次期領主、どうにか出来ないのですか?』
メトリシアが真剣に聞く
『え? 無理です!! 何を言っても男爵が聞く耳を持ってません!! 総意で追放しようとしています!!』
ハルドの母親が真剣に言う
『言って良かったのですか?』
王妃が苦笑いする
『秘密は守って貰えますよね?』
ハルドの母親が苦笑いする
『ヘルトに苦労して貰いますが、男爵家を継がせない事が領地の為ですね』
王妃が微笑みながら言う
『リリシャ様・・・何故割譲になったのですか?』
ハルドの母親が真剣に聞く
『ダメですよ。それを言ったら、秘密になりません! 男爵がハルドに危害を与えられない様に出来無くなります』
王妃が微笑みながら言う
『そうですか・・・ハルドの為なら・・・』
ハルドの母親が苦笑いする
『来年、宮廷魔術師長に就任したら、更に男爵家は何も言えませんから』
王妃が大笑い始める
『きゅきゅきゅ宮廷魔術師長!!』
ハルドの母親が驚くと、アーセルの両親も呆然としている
『王妃様、若輩者ですが、一生懸命精進します』
ハルドが真剣に言うと頭を下げる
『ハルドを支え、一生懸命精進します』
アーセルが真剣に頭を下げる
『全てお母様の思い通りです』
メトリシアが笑顔で言うと、みんな笑い出す。ハルドの母親とアーセルの両親が顔を見合せて苦笑いする