故郷にて
馬車は北へ進み、各村に向け別れていく。
『トーラスト村は右だな』
『そうだね』
『夕方には着きそうだね』
馬車の速度を上げて村に向かう
村の入り口に、警戒するため村人が武器を持って立っている
『こんにちは。リベリア冒険者ギルドから来ました。村長はいますか?』
キリシアを見て落胆した表情で村長の家を案内する
村長の家にキリシアとガシリオが入ると村長と話をする
『こんにちは村長、リベリア冒険者ギルドからきたキリシアです』
『リベリアからきたガシリオだ。よろしく』
『トーラスト村の村長です』
そしてそこに領主の兵も入ってきた
『冒険者が来たか、私は領主様より警備のために派遣されている』
偉そうに見下した態度で言う
『お前達は俺の指揮下に入ってもらう』
『お断りします』
キリシアが即答する
『何だと!!領主に逆らうつもりか?』
兵士は激高する
『領主からギルドに正式な依頼は出ていません。又、ギルドマスターから、村での滞在中、領主及び兵士の指揮下に入る必要はないと聞いています。必要ならリベリアの冒険者ギルドマスターバイルに伝えてください。正式な依頼と対価を、お支払いください』
キリシアが言うと
『何だと!!ふざけるな』
『聞こえないのですか?領主経由でギルドマスターに連絡をしてください。それとも領主より偉いのですか?』
『わかった・・・』
兵士は睨みつけながら出ていく
『あれじゃあ、まともな警備なんてしてないな』
ガシリオが言う
『ありがとうございます。実は、来てから村人に武器を持たせて夜通し警備などをさせて、畑仕事も手に付かない状況でした』
村長はそう言って苦笑いしている
『あの雰囲気嫌い』
キリシアが呟く
『滞在するところは何処かありますか?』
『狭いですが、私共の家に泊まって頂きたいのですが』
『わかりました。馬車と村長の家に泊まらせて頂きます』
しばらくして
『馬車の中の荷物を検めさせてもらう』
兵士は荷台に入り、食料と武器を漁り
『食料と金貨の入った袋を持っているな。これは臨時徴収させてもらう』
『お断りします、返してください。この馬車はリベリア領主の馬車です。臨時徴収と言うのであれば、領主の徴収状を持ってきてください』
ルメイルが言うと
『貴様!!』
『聞こえませんか?返還しないのであれば、拘束し、リベリアに移送させてもらいます。又、この行為についても明日、領主に報告させてもらう』
『貴様ー許さんぞ』
兵士2人は剣を抜き、ルメイルに斬りかかるが、ルメイルは2人の剣戟を避けながら、
『この行為、最早許されないですよ』
『貴様達を始末すればわかるものか!!』
兵士はそう言って襲ってくる
『仕方ないですね』
ルメイルはそう言って、1人目の剣戟を避けながら腕を持ち、投げ飛ばす。2人目も腕を持ち、投げ飛ばす。そして、2人ともロープで縛り拘束する
『村長、この者達がした内容を書面に書いてもらってもよろしいですか?』
ガシリオの言葉に村長は頷き、書面に書く
『ありがとうございます。村長と村に迷惑が掛からない様にリベリア領主に報告します。又、それでも文句を言ってきたら、王都騎士団団長に伝えます』
ガシリオが言うと、村長は頭を下げる
『又、この者達が、この村に来てからの行いと態度についても、詳しく書いて貰えれば領主に伝えます』
ガシリオの言葉に村長は
『ありがとうございます。しかしどのような身分なのでしょうか?』
『元騎士団に所属していたが、怪我で、今はリベリアの警備隊にいる。怪我が治れば騎士団に戻ってくるように言われているがな』
ガシリオの言葉に、村長は納得して書面にする
村の外から兵士がやって来た
兵士は縛られている2人を見て
『これはどういう事か、説明をして貰おうか』
兵士は怒った顔で言う
『領主の兵士殿、この者達は馬車より食料と金品を略奪したので』
『何だと!!』
『その上、リベリア領主直属の馬車よりの略奪の為、返還を求めましたが、剣を抜き斬りかかってきたので捕縛しました』
兵士は睨みながら2人をみる
『因みに、この者達は領主より臨時徴収権限を委譲されていますか?』
『それは無い!』
『この者達は、この村に、何のために常駐しているのでしょうか?』
『村の警護の為だ!!』
『夜、酒を飲み、寝ていてもよろしいのでしょうか?』
『ゴブリンは、夜行性だから夜は交代で村の周囲を警備する任務だから酒などもっての他だ!』
兵士が言うと2人は目をそらす
『さらに、村人に昼夜武器を持たせて村を警備させるのは領主の命令でしょうか?』
『馬鹿言え!領主はそんな命令はしない!!!』
ガシリオは、先程の村長の書面を見せる
『何だと!!』
2人を見て、問い正す
『こんなことが・・・』
兵士は黙り込み
『まだ財布を返して貰ってないので返還してもらっても良いですか?』
マルスの言葉に、兵士は2人を睨む
『懐にあると思います』
兵士は縛られている男の懐から財布を取り出し、名前が書いてあるのを見て
『お前はマルスか』と財布を持っていた兵士に聞く
2人とも黙り込む
『小僧がマルスか?』
『はい!馬車に置いてあった財布を奪われました』
マルスの言葉に、兵士は2人を睨みながら
『領主様より厳しい罰が有るものと覚悟しておけ!!!』