リーネの追放
翌日午後、冒険者ギルドに向かう
『オイゲルさんはいますか?』
マルスが職員に言うと、奥の部屋に案内される
『マルス殿、何か用ですか?』
オイゲルが入ってきて言う
『内密な相談なんだけど良いかな?』
マルスが真剣に言う
『マルス殿の内密な相談ですか? どのような?』
オイゲルが真剣に言う
『リーネに不治の病になって貰って、親から追放して貰う計画です。』
マルスが言うと、詳細をメトリシアが説明する
『そう言う事ですか・・・貴族の親や親戚は、有能だと近寄ってきて煩いですからな・・・王妃様にメトリシア様が認めている訳ですから協力しますが、何をすれば良いですか?』
オイゲルが真剣に聞く
『ちょっと内緒で迷宮に入らさせて貰えば良いですね』
マルスが笑顔で言う
『え?それだけですか? 勝手にして貰って構いません』
オイゲルが苦笑いする
『後は、追放後、冒険者登録かな?』
『マルス殿と同行なら、いつでも許可します』
オイゲルが笑顔で言う
『後は聞かれたら、不治の病は治らないと、言ってくれれば良いですね』
『常識なので、聞かれたら答えます』
オイゲルが笑顔で言う
『そう言う事で』
マルスが笑顔で言うと、オイゲルが許可証を発行するとリーネが受け取り、真剣に見ている
冒険者ギルドを出ると迷宮に向かう
『リーネ、良いかな?』
マルスが真剣に聞く
『はい、マルス様』
リーネが答えると迷宮の8層に向かう。小部屋を焼き払い、リーネの魔力制御を確認する
『身体が重たくなったかな?』
マルスが魔力視で確認すると聞く
『はい・・・これが不治の病・・・歩くにも痛みが有ります』
リーネが真剣に言う
『帰ったら魔力制御はやらないようにね。魔法も放てないと、放つ振りだけをして、放てないと思わせてね』
マルスが笑顔で言う
『はい、打ち合わせ通りします』
リーネが笑顔で言うと帰る事にする
2日後、リーネが私服で屋敷に来る
『マルス様、予定通り追放されました』
リーネが笑顔で言う
『早すぎない?』
マルスが驚く
『父親が激怒して、出ていけと言われましたので、制服と必要最低限の物を持ってきました。だけど、予想通りお金は渡されませんでした』
リーネが苦笑いしている
『奴隷として売られなくて良かった』
マルスが笑顔で言う
『リーネ、学費は心配しないで良いですから、楽しんでね』
クレスタが笑顔で言うと、金貨の袋をリーネに差し出すと、中を見て驚いている
『こんな大金、どうしたのですか?』
『キリシア師匠に言ったら、これ使っての一言で終わりです』
クレスタが笑いながら言う
『キリシアだからね』
マルスが笑顔で言う
『しばらくは屋敷に住んで、クレスタが魔力制御とランプの魔力補充で治療してね』
マルスが笑顔で言う
『私が面倒を見ます』
エミールが笑顔で言う
『エミール先輩、よろしくお願いします』
リーネが笑顔で言う
夕方になると、ヘルトがやってくる
『マルス殿、リーネの死亡届けが提出されました。お母様から伝えるように伝言です。』
ヘルトが真剣に言う
『ここに死人がいるけどね』
マルスが笑顔で言う
『は? ここにいる? 何故?』
ヘルトが苦笑いすると、リーネが笑顔で入ってくる
『不治の病で追放して貰いました』
リーネが笑顔で言う
『は? 元気そうだが・・・』
『エミール先輩とクレスタ御姉様が指導してくれるので、楽しいですよ』
リーネが笑顔で言う
『死人が魔法学院に通うのか・・・エリカも死人か?』
ヘルトが苦笑いしている
『死人に近付く親族はいないね』
マルスが笑顔で言う
『その通りですが・・・数日は大人しく屋敷にいて欲しいですね』
ヘルトが苦笑いする
『明日、魔法学院に、リーネの事は秘密にして通える様にしてね』
マルスが笑顔で言う
『そう言う事ですか・・・どのぐらいで治りますか?』
ヘルトが苦笑いする
『この分だと、3日かな?』
マルスが笑顔で言う
『は? みみみ3日!!それで子供を捨てたのですか!!』
ヘルトが大声をあげる
『リーネも大賢者研究会にいるからね。魔力制御かなり上手だから、余った魔力は、ここならいくらでも使えるからね』
マルスが笑顔で言う
『メトリシアの時と全く違うのですね』
ヘルトが苦笑いする
『魔力制御学ばずに、魔力が上がりすぎたからね』
『そう言うことか・・・基礎が出来ていると、治るのも早いのか・・・』
ヘルトが苦笑いする
『リーネが死んだと言う事は、別れの為に屋敷に行こうかな?』
マルスが笑顔で言う
『完全な嫌みですね・・・メトリシアが行くなら、断れない!』
ヘルトが笑い出す
『何て答えるか楽しみだね』
マルスが笑顔で言うとみんな笑い始める
翌日の夕方、マルス達はリーネの屋敷に向かう
『リーネさんが亡くなったと聞いたのですが、埋葬する前に一目見たいのですが』
マルスが真剣に侍女に伝える
『え!何故それを・・・』
侍女が青ざめる
『お母様から伺いました』
メトリシアが真剣に言う
『えーと、今は無理なのですが・・・』
侍女が青ざめながら言う
『リーネの遺体は既に埋葬されたのですか?』
『それは・・・少々お待ちください』
侍女が慌てて言うと、男が出てくる
『リーネの遺体に会わせる訳にいかない!帰れ!!』
男が怒鳴る
『無礼者!!メトリシア様に怒鳴るとは、説明しなさい!!』
ケニスが睨み言うと、ヒストリアも睨んでいる
『え!!めめめめメトリシア姫様!!もも申し訳ありません!』
男が慌てて頭を下げる
『リーネとは仲良くしていたので、最後の別れをしたいのです。入って良いですよね』
メトリシアが真剣に言う
『えーと・・・・』
男が青ざめている
『どうしたのですか? 遺体が無いなんて、ないですよね?』
メトリシアが真剣に言う
『じじじ実は・・・既に埋葬を・・・』
『え?埋葬した? 何故ですか?』
『え!!そそそそれは・・・』
男が青ざめている
『埋葬した所は、どこですか?』
メトリシアが聞く
『一族の墓に埋葬しました。』
男が青ざめて言う
『おかしいですね。さっき行ってきましたが、新たに埋葬された様子は有りませんでした。』
メトリシアが真剣に言う
『え!!』
男が黙り込む
『もしかして、死んでないのに、死んだとしたのですか? 虚偽報告に成りかねないですが・・・』
マルスが真剣に聞く
『リーネの友達ですか?』
女性が出てくる
『魔法学院で仲良くしていました』
『そうですか・・・リーネの部屋に案内します・・・』
女性が言うと屋敷の中の部屋に案内される
『今から話す内容は、国王陛下には内密にお願いします』
女性が真剣に言うと頭を下げる
『内容次第です』
メトリシアが真剣に言う
『反逆とかでは無いのですが、家の恥に成りますので・・・影響で一族に迷惑をかけたく有りません』
『内容次第ですが、事情は解りました。』
メトリシア真剣に言う
『実は、リーネが体調を崩したのは、知っていますか?』
女性が真剣に言う
『はい、急に身体が痛いと言って帰りました。』
マルスが真剣に言う
『不治の病でした・・・魔法使いとして、貴族としても再起不能と成りましたので、夫が追放しました・・・なので死亡した事にしました。』
女性が真剣に言うと、男が睨んでいる
『リーネは死んでないのですね』
メトリシアが笑顔になる
『どこに行ったかは解りませんので、もし、お会いしましたら、2度と家の名前を出さないと約束させてください』
『見付けたら伝えますが、リーネさんに一族の人達は近付かないですよね?』
『当たり前だ!!死人に近付くか!!娼婦でも奴隷にでもなればよい!!』
男が大声で言う
『解りました。約束してくださいね』
メトリシアが笑顔で言うと、女性と男が約束する
『どこに行ったか探そうか? ルキアも喜ぶよね』
マルスが笑顔で言う
『ルキアも聞いてショックで、泣いていましたからね』
ミリアが真剣に言う
『どこにいるか、王都中探しましょう』
メトリシアが笑顔で言うと帰る事にする
馬車で帰る事にすると、暫く王都の中を走り回り、屋敷に帰る事にする