表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/1407

2-4話 エミールの初めての迷宮

それから数日、エミールは魔力制御を続けていたが、一向に向上していない

『リリシャ、ちょっと試したい事があるんだけど、いいかな?』

『マルス、どうしたの?』

『エミール、最初よりは魔力を動かせる様になったけど、上達しにくいのは魔力の通り道が細いからかな、と思った』

『確かに、見たらそんな状態ですよね』

『だから、リリシャの腕の魔力の流れを見せてほしい。そして、魔力を自分が制御して動かせるかどうかを試してみたいんだけど、良いかな?』

『外から魔力を制御する?それもありだよね。マルスがやると凄いことになるかもしれないね』

リリシャは腕を出し、魔力制御して魔力を動かす。それをマルスが観察する

『少し触っても良いかな?』

『好きにして良いよ』

『はじめます。痛かったり、異変が有ったら言ってください』

リリシャは頷く


マルスは魔力の動きが少なかった所の魔力を、少しずつ動かしていく。徐々に早く動かし、流れを作る

『痛くなかった?大丈夫かな?』

『違和感と言うか、暖かかった』

『もう一度、魔力制御してみて?』

『どう?異変は有るかな?』

『大丈夫です』

『身体全体の魔力制御して動かして見て』

リリシャは体全体の魔力を動かす。マルスは、魔力視の感度を調節して大きな流れを見る。調節しながらちょっと触る。そして、動きが滞留していた所の魔力を動かす。じっくり、ゆっくりと、それからだんだん早くしていく

『どうかな。もう一度魔力制御してみて?』

『違和感ないよ。大丈夫』

『良かった。確認だけど、腕のここの魔力の流れを見て、ここの魔力動かせる?』

『少しは動くよ』

『反対のここは?』

『動かせるよ』

『さっき動かして動きを良くしたところだよ』

『これは、エミールに使えるかも知れないですよね』

『すぐは使わないけど、様子を見ながらかな?』

マルスの言葉にリリシャは同意する

『明日は岩場で、エミールの魔法特訓してみようか?』

マルスの言葉にリリシャが頷く


エミールは魔法を発動する。次々試し撃ちする。マルスは一つずつ発動する時の魔力を見ている

『一通り放ちました』

エミールはリリシャに伝える

『先ずは、慌てずにゆっくり魔法を発動してみて?』

リリシャの言葉に、エミールはゆっくり正確に魔法を発動する

『・・・・・アクアアロー』

『何回かお願いね』

『・・・・・アクアアロー』

魔法を発動し、魔力が減った後、腹の辺りから魔力が流れてこなくなった。魔力は手に供給されている

徐々に体の中の魔力が減っている

『疲れたでしょう。休憩しましょう』

『はい!』

マルスは、エミールの魔力の流れをじっくり見続けていた。そして、魔力が回復する様子も

『迷宮で少し戦ってみる』

キリシアの言葉にエミールは

『はい!』

回答する

『3層から始めようか?』

『そうだね。動き遅い方がエミールには良いからね』

キリシアは同意する

『エミール中心に、前はキリシアで、後ろはリリシャ。もし、エミールに接近される様なら自分が対応で良いかな?』

マルスの提案にキリシアとリリシャは同意する


翌日、エミールを連れて迷宮に潜る

3層まで最短距離で進み、ワームを探す

『右のワームを狙って撃って』

『はい!』

『・・・・・アクアアロー』

『・・・・・アクアアロー』

接近されてマルスが倒す

『倒せませんでした』

エミールは悔しそうに呟く

『無理はしないようにね』

『疲れたら早めに言うのですよ』

『はい!』

エミールはそう言って魔石を拾う

その後も魔法で戦うが、エミールの魔力が尽きる前に休憩を挟み

『ここからは少しキリシアとマルスの戦いを見てくださいね』

『はい!勉強します』

マルスの剣の戦い方と魔法を見る

『マルス師匠は接近されたら剣で、遠目だと魔法で簡単に倒しています』

エミールが驚きながら

『マルスは特別。まだ本気出してない』

キリシアが言うと

『本気の速さ見せてあげて』

次のワームに対して

『行くよ』

マルスは遠目のワームに一気に接近して斬り刻む

『このぐらいかな?』

『マルス師匠速すぎて余り見えませんでした』

エミールは目を見開いている

『まだまだ、本当の戦いになったらあの速度で魔法も放つからね』

『本当ですか?』

『次はリリシャの魔法ね』

しばらく回って帰ることにした


ギルドに寄って

『エミール、魔石を換金してきてください』

エミールに魔石の袋を渡し、後ろを歩いて行く

ギルドの入り口で男にぶつかり

『すいません』

『あー、小娘、ぶつかっておいてなんだーコラー』

エミールを外に倒して魔石の袋を奪おうとする

『返してください』

エミールは手を離さなかった

『放せ小娘』

『人の物を奪おうとするなんて良いと思ってるの?』

『なんだー小娘』

キリシアを見て暴言をはく

『警備隊に突き出す?』

『そうだね』

マルスの言葉にキリシアは笑う

『テメーら死にたいのか?』

周りの冒険者が一斉に

『即謝れ!!!バカ野郎!!』

周りの声に動揺する男

『窃盗未遂と暴行って、どうなるの?』

リリシャが言うと

『牢屋だろうね』

キリシアが言う

『小娘ども、ふざけるなよ』

エミールに蹴りをいれる

『イタ!』

エミールが痛がる、

『パン!!』リリシャの平手が男の顔に炸裂するそして壁まで飛ばされる

周りの冒険者が唖然としている

『エミール大丈夫?』

『あ!はい師匠』

『痛かった?本当に大丈夫?立てるかしら?』

『はい!』

エミールが立ち上がる

男もふらつきながら立ち上がり、ナイフを抜き、刺しにくるが、キリシアが腕を掴み、止める

『仲間を蹴飛ばすなんて許すと思っていたのかしら?それも、ナイフで後ろから刺そうなんて許されると思っているの?』

キリシアは笑顔で男に言うと

『小娘はなせー』

男が片手で殴りにきたところ、股間を蹴りあげていた。ナイフを落として悶絶している髪を掴み

『エミールに謝りなさい』

『ごめんなさい許してください』

出てきた職員に

『この男、警備隊に付き出した方が良いかな?』

『そうですね!この頃、柄の悪い冒険者が増えていますので、付き出してください』

周りの冒険者達は

『こんな奴、冒険者の面汚しだ』

『コイツ冒険者なのかな?ギルドカード持ってる?』

キリシアの言葉に職員は男のギルドカードを確認する

『所持していません』

『お前、ギルドカードは持ってないのか?』

そっぽを向く

『言わないなら・・・どうなるか解るよね』

キリシアがニヤリとして腕をふる

『もう持っていません』

『以前は持っていたのね。取り上げられたの?』

『そうだ』

『後は警備隊に任せます』

『誰か警備隊連れてきて』

冒険者が走って呼びに向かう

『またやってるな』

ゼタルが出てきた

『可愛いリリシャの弟子から魔石の袋を奪おうとしただけでなく、突飛ばし、さらに蹴りを入れた』

キリシアの言葉にゼタルが

『リリシャの弟子になぁー、コイツよく生きてたな』

ゼタルが笑う

警備隊がやってきた

『状況を確認したいのですが・・』

経過を詳しく説明すると警備隊が男を連行する

『キリシア殿相手に・・・愚かだな。キッチリ調べて余罪も吐かせます』

『よろしく』

『キリシア殿もまた稽古をつけてほしいです』

キリシアはリリシャとマルスを見てから

『明日、時間有るから、訓練所行けば良いかな?』

そう言うと警備隊員は

『本当ですか?よろしくお願いします』

頭を下げて帰っていく


『エミール、本当に大丈夫?』

リリシャはヒールをかけながら言う

『師匠、大丈夫です』

エミールは笑顔になる

『ギルドに冒険者以外の者が入り、盗みをしようとは、考えなくてはいけないな』

ゼタルがそう言って中に入っていく

周りの冒険者もエミールに道を空けてくれる

『エミール、買取りをお願いね』

『はい!』

カウンターに向かい

『買取りをお願いします』

『わかりました』

袋の魔石を確認して

『小魔石が42個ですので、銀貨4枚と銅貨20枚です』

エミールは硬貨を受け取り戻ってくる

『帰りましょう』

リリシャはそう言ってギルドを出ようとすると


冒険者達が何か相談をしているのが聞こえる

そして、冒険者が自分達に

『ちょっと良いか?』

『良いですよ』

『冒険者だから少しの喧嘩ぐらいは見逃していたんだが、この頃、他所からきた冒険者が今回みたいな事をする。それでだ、今回みたいに弱い者イジメをしようとする奴を見かけたら止めようと思うのだが、騒ぎが大きくなってギルドに迷惑が掛かると困るから・・・』

『それは良いことだと思う』

キリシアが言うと

『ギルドマスターにも許可を貰いたい。だが、自分達は話したことがないので、話して貰えないか?』

『わかった。マスターを呼んで貰う』

キリシアがそう言うと

『ヘザーネ、お願いがあるんだけど』

『キリシアさん、どうしました?』

『ギルドマスターを呼んで貰える?』

『わかりました』

ヘザーネが奥に行きバイルとゼタルを連れてくる

『キリシアさん、用とは何ですかな?』

『冒険者達が、他所からきた冒険者で入り口とかで喧嘩売ったり、弱いものイジメをしている奴を見つけたら止めたいんだけど、騒ぎになってギルドに迷惑が掛かるから、マスターに許可してほしいって』

『わかりました』

バイルは冒険者達を見て

『冒険者は助け合いも大事です。困っていたら助け合ってください』

冒険者達は笑顔で頷き

『もう、今日のような事が起きないように注意するようにします』

冒険者が言うと周りの冒険者達が同意する

『よろしく頼みます』

バイルは頷きながら言って奥に戻って行く


『もう、悪事は許さないぞ』

冒険者達は笑顔で頷きあっている

『自分達は帰るね』

『気を付けてな』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 『冒険者達が、他所からきた冒険者で入り口とかで喧嘩売ったり、弱いものイジメをしている奴を見つけたら止めたいんだけど、騒ぎになってギルドに迷惑が掛かるから、マスターに許可してほしいって』 こ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ