エレリアとエミール
太守の館に到着すると、柄の悪い男が大声で騒ぎだす。声を聞いた太守が出てくる
『これはどう言うことだ!』
太守が怒りを込めて怒鳴る。
『こいつはあんたの手先かな?』
キリシアが笑顔で言うと、投げ飛ばす
『どう言うことだ!!こいつらを捕らえよ!!』
太守が怒り、怒鳴ると兵士が出てくる
『こいつの罪状全て取り調べて処分しなさい!』
メトリシアが真剣に言う
『なんだ!!貴様!こんな事をしてただで済むと思うなよ!!』
『貴様、その口の聞き方!許さん!!』
騎士が怒鳴る
『なんだ!!貴様!太守である私に楯突くか!!問題にするぞ!!』
『もう問題になっている!!こいつを野放しにした責任を取って貰う!!』
騎士が怒鳴る
『こいつらを捕らえて牢屋にぶちこめ!!騎士等恐れるな!!』
太守が怒鳴ると兵士が苦笑いしながら周囲を包囲する
『こいつと同罪で良いのね』
キリシアが笑顔で言う
『早く捕らえて牢屋にぶちこめ』
太守が怒鳴ると、兵士が困惑している
『この馬鹿者を捕らえて、余罪を取り調べて報告してくださいね』
メトリシアが笑顔で言うと、騎士と海兵が太守の方に歩いていく
『何様だ!!』
『こちらにいらっしゃるのは、メトリシア第2王女様です。それを捕らえようとするなど、反逆罪です!』
ヒストリアが大声で言う
『は?めめめめメトリシア姫様!!』
太守が青ざめて崩れ落ちると、兵士が慌てて片膝を付いて頭を下げると震えている
『つまらないな・・・やっぱりこいつらお仕置きだね』
キリシアが言う
『人目につかない所でやりましょう』
メトリシアが笑顔で言うと、騎士と海兵が苦笑いしている
数日後、騎士が王都に到着すると報告に向かう
『国王陛下お伝えします!エリゼトス太守がメトリシア様を害そうとしてお仕置き中です』
騎士が報告に向かうと、国王と騎士団長が青ざめると苦笑いして見合わせる
『エミール殿の叔父と名乗るものが、エミール殿を金貨3枚で賊に売ろうとして、英雄様がキレました』
騎士が苦笑いして言うと手紙を出す
『エミール殿を・・・金貨3枚・・・あり得ないな・・・金貨30000枚の間違えではないのか?』
国王が苦笑いする
『ちょっとエリゼトスまで行ってきます・・・これはやりそうで怖い』
騎士団長が手紙を見て言うと、国王に渡す
『エリゼトスの町を消滅させるか・・・やるな』
国王が呟く
『取り敢えずで太守の館を消し飛ばしに向かおうとされていましたが、マルス殿が太守の罪を認めさせる為に賊を連れていき、結局、賊と太守はお仕置きになりました・・・マルス殿がいなかったら、もう消滅しています』
騎士が説明をする
『早く行って、調べ尽くしてきてくれ』
国王が苦笑いしながら言うと、騎士団長が出ていく
『何が有りましたの?』
王妃と前国王とヘルトが不安そうに聞く
『まだ愚か者が居たようだ・・・エミール殿を奴隷として売ろうとした愚か者も』
国王が苦笑いして言うと手紙を見せる
『金貨3枚?30000枚の間違いじゃないか?』
前国王が言う
『エミール殿の美貌と実力・・・ヘルトの第2夫人として、国の半分でも安いですね』
王妃が笑いながら言う
『今度打診してみるか?』
『良いですわ!!メトリシアのライバルが減りますね』
王妃が笑い出す
『無理だろうがな』
前国王が笑い始める
『この程度、平和ですね』
ヘルトが安心して言う
『エミール殿の叔父は正確に処分するように、エミール殿が気に病まないように頼んだぞ』
前国王が真剣に言う
『見てみたいですね、どんな愚か者か』
王妃が興味本位で言う
『次の太守、誰にするか悩む所です』
国王が苦笑いする
『ジエルは正解だったな』
前国王が真剣に言う
『性格が良いので、良かったです』
国王が笑顔で言う
『人材が乏しいのが、危機的だな』
前国王が溜め息をする
騎士団長がエリゼトスに到着する
『ん?騎士団長、遅い!!』
キリシアが笑顔で言う
『英雄殿これでも王都に使者が来て・・・』
『こいつの罪状調べてあるから、こちらをどうぞ』
マルスが笑顔で言うと書類を見せる
『は?・・・・そんな』
騎士団長が苦笑いする
『太守が手先になって賊を守ったらダメだよね』
『その通りです・・・』
騎士団長が落ち込み始める
『ヒストリア、あの柄の悪い人の罪状を説明して』
マルスが笑顔で言うと、ヒストリアが書類を見せて説明を始める
『後は任せてくれ・・・ヒストリア、良い報告書だ』
騎士団長が真剣に言う
『こんな悪い人が、太守と組んでやり放題なんて、なんで取り締まれてないのですか?』
『え?それは報告が無いからだ』
『本当に民衆が可哀想ですね』
メトリシアが笑顔で言う
『それは・・・どうしたら』
騎士団長が苦笑いする
『信頼できる騎士に領内調べてまわらせれば?』
メトリシアが笑顔で言う
『そうだな・・・・』
『あ!ごめんなさい!信頼できる騎士がいませんでした!!』
メトリシアが笑顔で言う
『う!!それは!!ほとんどいない』
騎士団長が落ち込み始めると騎士達が苦笑いしている
『団長が物解り良くて良いですけどね』
マルスが微笑みながら言う
『もう慣れた・・・英雄殿との付き合いも長くなったからな。そのお陰でよく王都を離れるようになったけど』
騎士団長が呟く
『愚か者が多いからですね』
マルスが笑顔で言う
『アハハ・・・その通りだ・・・愚か者ほど態度がデカイ』
騎士団長が苦笑いして言う
『エミール殿の叔父はどれだ?』
騎士団長が真剣に聞く
『こいつね』
キリシアが笑顔で投げ飛ばす
『こいつか・・・こいつの家族はどうしている?』
『捕まえてないよ。騎士団長次第だね』
キリシアが笑顔で言う
『念の為、調べて有りますが・・・特に悪い噂は有りません、奥さんと息子は働きながら暮らしていますが、この愚か者が遊び呆けて資産を使い果たした様です。』
騎士が報告する
『そうか・・・一度会って確認するぞ』
騎士団長が言うと、リリシャが睨み始める
『一緒に行きますね。騎士団長がいきなり問いただしたら、怖がりますので』
マルスが微笑みながら言う
『そそっそうしよう』
(殺気・・・怖い)
騎士団長がリリシャを見て慌てて言うと、マルスとエミールと騎士団長達で向かう
家に着くと痩せた女性が出てくる
『どちら様ですか?』
『もう噂は聞いていますか?』
マルスが真剣に言う
『え!・・・はい、夫が騎士に捕らえられた事は伺いました』
女性が涙目で言うとその場に座り込み、頭を地面につける
『お願いします!夫は愚かな事をしたかも知れませんが、子供達だけはお見逃しください』
震える声で必死に言う
『ルーセリア様の資産を継いだ時、エミールを追い出したのですか?』
マルスが真剣に言う
『え?それはどういう事ですか?エミールちゃんが自分の受け継ぐ分も夫にくれて、何処かに出て行ったのでは無いですか?』
『そう聞いていたのですか?』
『え?違うのですか?』
女性が真剣に言うと、騎士団長が驚いている
『今回こうなった理由は、解りますか?』
『何かやったのですよね・・・海兵が凄い勢いで捕まえて連れ去ったと聞いていました』
『エミールを奴隷として売り飛ばそうとして、間違えて、高貴な女性に無礼を働いた事が、今回の連行の理由です』
マルスが真剣に言う
『え?エミールちゃんを!!!何て事を!!沢山の資産を頂いた恩人に!!』
女性が泣き始めると、奥で聞いていた子供達も泣き始める
『騎士さんどうする?信用出来るかな?』
『一度しっかり調べる必要が有るが・・・可哀想だな』
騎士団長が真剣に言う
『所で、フローネ師とリーベル師とレズオス師は知り合いですか?』
『え!フローネ様もレズオス君も昔お会いしました。リーベルさんと確か、ルーセント君も時々使いに来ていましたが、ルーセント君とレズオス君も追放されてから会っていません』
女性が真剣に言う
『もしかして、弟子だったのですか?』
『はい、そうですが・・・才能が無くて、今では、酒場で働いています』
女性が涙目で言う
『少し事実を話しますね』
マルスが真剣に言うと家の中に入り、子供達にも聞いて貰うことにする
『エミールの件ですが、資産を譲ったのでは無く、家から追い出され、親戚を周り、ルーセリア様が残された手紙を便りに、1人でリベリアまでフローネ師を頼ってきました。』
『え!!そんな!!まだ13歳の子供ですよ!!そんなことに!!』
女性が驚くと、子供達も驚いている
『フローネ師が弟子に出来ないと言われて、宛もなくフローネ師の迷惑にならないように、出て行こうとしましたが、フローネ師の知り合いの冒険者の魔法使いの弟子にして貰う提案を受けて、冒険者として生活しています』
マルスが真剣に言う
『そんな苦労を・・・フローネ師に感謝したいです・・・エミールちゃんにも謝って、時間は掛かりますが、資産を返したいです』
女性が真剣に言うと、子供達も真剣に同意する
『莫大な資産だと思いますが、良いのですか?』
『はい、何十年掛かっても返します!!償いはいくらでもします』
女性が真剣に言うと、騎士団長が泣き始める
『こんな良い人で、あんなロクデナシの夫なんて可哀想ですね』
マルスが呟く
『師匠の頼みだったので・・・師匠は私が孤児で奴隷に売られそうな時に拾ってくれて、育ててくれました。実の母親と思って恩返ししています』
女性が真剣に言うと、マルスがエミールを見る
『マルス師匠、ありがとうございます・・・エレリア叔母さんが悪い人じゃないと証明してくれて、ありがとうございます』
エミールがフードを取って言う
『え!!もしかしてエミールちゃん!!』
女性が驚いて言う
『叔母さんお久しぶりです。今まで凄く恨んでいましたが、叔母さんは変わっていないと解ったので嬉しいです』
エミールが笑顔で言うと涙を溢す
『エミールちゃんごめんなさい!!夫が酷い事をしたのは、謝ります!!何十年掛かっても償います!!』
女性が真剣に言うと涙を流し始める
『騎士団長、どうする?本当ならなんて言わないよね』
『これを聞いたら!何も言えん!!後はキリシア殿が認めるかどうかだ!!』
騎士団長が真剣に言うと、騎士達が真剣に頷いている
『一度太守の館に行きましょうか?』
マルスが真剣に言う
『解りました・・・』
女性が真剣に言うと両手を出すと子供達も手を出す
『ん?なんだ!』
『連行ですよね』
女性が真剣に言う
『違いますよ。フローネ師に会ってください』
マルスが微笑みながら言う
『フローネ師が来ているのですか!!高齢なのに長旅をしてわざわざ来て頂いているなんて!!』
『ルーセリア様の墓参りに来た所でした』
マルスが笑顔で言う
『フローネ師にお礼を言わさせてください』
女性が真剣に言うと太守の館に戻る
『フローネ師、エミールちゃんの事は聞きました!!本当にありがとうございます!!』
女性と子供達が頭を下げて言う
『もしかしてエレリア?どうしたのですか?そんなに痩せて』
フローネが心配そうに言うと、マルスが説明をする。フローネが真剣に女性を見ている
『フローネ師、本当にありがとうございました!!師匠の墓参りに来て頂いた事も本当に感謝します』
エレリアが涙を流しながら言う
『あなたの監視が緩かったからですね。私も人の事は言えませんが・・・エミールは許したのですか?』
フローネが真剣に言う
『はい、エレリア叔母さんは昔のままでした。悪いのは叔父さんだけです!』
エミールが笑顔で言う
『それなら良いですね』
フローネが嬉しそうに呟く
『フローネ師、申し訳ないのですが、夫が無礼を働いた高貴な方にお詫びをしたいのですが、紹介して頂けないですか?』
『え?何処まで聞いたのですか?』
フローネが驚き、詳しく聞くと、マルスを見る
『高貴な方はこちらのメトリシア様とクレシア様ですね・・・他にも全員ですが・・・』
フローネが苦笑いして言う
『本当に御無礼してしまい大変申し訳ありません!!私はどうなっても構いませんが、子供達はどうかお許しください』
エレリアが頭を床につけて謝り出すと、子供達も床に頭をつけて謝り出す
『エミール先輩が認めたなら、構いません』
メトリシアが笑顔で言う
『どうして、あんなロクデナシと結婚を・・・それも相当苦労している様ですが・・・』
リリシャが真剣に聞くと事情を聞いてキリシアが泣きそうになっている
『一生償うにしても、このままだと不味いよね』
マルスが真剣に言う
『あの!!エミールお姉ちゃん!!私を弟子にしてください!!お兄ちゃんもお姉ちゃんも仕事が有ります!だから・・・私が一生かけて償います!!もし使えなかったら!奴隷として売り払ってください!!だから!!お願いします!!!』
一番下の娘が真剣に言う
『何を!!シーリス、何を言うのですか!!絶対に許さない!!私が償うから!妹は許してください』
『お姉ちゃん!!彼を悲しませたいの!!お兄ちゃんも!』
シーリスが真剣に言う
『私の弟子に出来ません!まだまだ半人前ですので!!』
エミールが真剣に言う
『エミール、ごめんなさい!!急に娘が変な事を言って・・・』
エレリアが泣き始める
『エレリア叔母さんは悪くないですが、生活が厳しいのですよね』
エミールが真剣に言う
『それは・・・』
『かなりの借金が有るのですね』
マルスが真剣に言うと、エレリアが事情を話し始める
『あーーー!ムカついてきた!!お仕置きしてくる!!』
キリシアが大声で言うと出ていく
『酷いな・・・』
騎士団長が呟くとヒストリアを見ている
『マルス師匠・・・』
エミールが呟くが何も言わないで黙る
『フローネ先生、良いかな?』
マルスが真剣に言う
『エレリア、一生かけて償う気が有るなら、エリゼトスを離れる覚悟をしてください。リベリアでエミールの為に働きなさい!ルーセリアも許してくれるでしょう・・・沢山尽くしたのですから・・・それに今回の罪は、許されるものでは無いですね』
フローネが真剣に言う
『え!・・・解りました、エミール、良いかしら・・・』
『え!!しかし・・・お婆様はエレリア叔母さんが幸せになる事を願っています!だから!全員が幸せになる事を考えましょう』
エミールが笑顔で言う
『エミールちゃん・・・うっ・・・』
エレリアが大粒の涙を流し始める
『騎士さん、借金について調べてきてね』
マルスが笑顔で言うと、騎士が笑顔で頷いて出ていく
『マルス!!大変!!こいつとんでもない事をしていたよ!!』
キリシアが慌てて来ると、騎士団長と向かう。エミールの両親を殺した事を叫んでいるとエレリアが唖然とする
『嘘!!なんで!!なぜ!!』
エミールが驚いている
『見下すからだ!!あいつらが悪い!!』
叔父が怒鳴る
『何故!!お姉さまやお兄さんを!!この!!!!』
エレリアが大声をあげなら掴み掛かると、勢い余って壁に頭をうって泣き崩れている。見ていた子供達が崩れ落ちて泣き始めると、エミールは子供達を抱き締めている
『騎士団長、後は頼んだよ!もう私は関わりたくない!!』
キリシアがエミールを見て泣きそうになっている
『解りました・・・後は責任を持って、騎士団が処罰します』
騎士団長が真剣に言うと、騎士達が真剣な顔で連行していく