報告とヒストリア
気空挺で王都に向かうと、城門に向けて降下する
『国王陛下に至急会いたいので、よろしくお願いします』
ヒストリアが大声で言うと、騎士が急いで王宮に走っていく
『時間が無いからこのまま向かおう』
キリシアが言うと気空挺は王城の裏に向かって進み、訓練場に着陸する
『アリシア様、英雄殿!』
『時間が惜しいから、すぐに国王陛下に会いたい!』
キリシアが言うと、騎士団長が苦笑いしている
『行きますわよ』
アリシアが笑顔で言うと、みんなで王城に入っていく
部屋に向かっていると、ヘルトがやってくる
『アリシア、どうした?』
『ヘルトお兄様、緊急事態ですわ!隣国から緊急の援軍要請でしたわ』
アリシアが笑いながら言う
『は?援軍要請?』
ヘルトが苦笑いすると部屋に向かう
『アリシア、どうしたのだ?』
国王が苦笑いして言う
『これですわ!』
アリシアが書状を国王に渡すと、国王が読み出して青ざめ始める
『属国でも良いから援軍を要請するとは、かなり逼迫しているのか?』
『そうですわ!』
アリシアが笑顔で言う
『説明しますね、隣国エレストリアクレイス王国外交担当と第2王子レグロイスが来訪しました、王国の主力騎士団で対応したようですが、大蜘蛛により後退を続けているそうです。また、他の国へも援軍要請はしたようですが、良い返事が無く、泣き付いて来たようです。交渉はこれからになりますが、相手は最悪属国でも良いから助けて欲しいと言われております。又発生地点が遺跡の可能性も有りますので、ヴァンパイアが絡んでいるか、魔族の可能性も有ります。』
クレシアが真剣に言う
『そうか・・・どのぐらいの被害なのだ?』
『王国の1/3が壊滅していると聞いています』
『既に存亡の危機か』
国王が真剣に考え始めると、前国王と王妃がやってくると状況を聞く
『猶予は無いのだな』
『援軍を出した方が良いとは思いますが、大蜘蛛相手で戦える騎士はロイドか?』
『大蜘蛛だと、勝てないと思いますが、ロイドなら可能です』
騎士団長が苦笑いして言う
『後はリベリア警備隊ですね』
『リベリア警備隊なら可能か・・・悔しいが事実だな』
騎士団長が苦笑いして言う
『5人で国境を守っていますわ』
アリシアが笑顔で言う
『はぁー・・・リベリア警備隊は強いからな』
国王が溜め息を吐く
『キリシア様が鍛えた警備隊ですから当たり前です』
クレシアが微笑みながら言う
『後は魔法使いか』
国王が苦笑いして言う
『マルス殿達以外だと宮廷魔術師が能無しだから困る』
騎士団長が苦笑いしている
『マルス、どうする?誰が行くかだよね?』
『気空挺の維持にリシリアさんとフローネ先生はいないといけないから、難しいよね』
マルスが真剣に考えながら言う
『大蜘蛛相手で倒せる実力無くても良いのかな?』
『警備隊隊員の怪我の治療と援護射撃だよね。だから数人必要だよね』
『レディナちゃんとイリアちゃんには、人の死を見せたくないから・・・ライオスとクララかな?』
リリシャが考えながら言う
『クララだけだと、回復魔法がまだまだ未熟なのかな?』
『そうだよね。ライオスも闘気をまだ使えないから、止めた方が良いね』
キリシアが真剣に言う
『そうすると、リーベル様とルキアとカミラとナディアに頑張ってもらう?』
マルスが真剣に言う
『ルキアちゃんだと回復魔法が未熟だけど、貴族ですから王国の為に戦う義務も有るけど、不安ですね』
リリシャが真剣に言う
『クレスタも行って貰う?』
『そうですね、クレスタが居てくれた方が安心も出来ます』
リリシャが真剣に言う
『ちょっと待ってください、クレスタさんは解りますが、ナディアさんは何者ですか?』
国王が真剣に聞く
『ナディアは私の弟子です。まだまだ未熟でレディナちゃんとイリアちゃんと一緒に修行しています』
リリシャが微笑みながら言う
『リリシャ様の弟子・・・宮廷魔術師にならないか?』
『ならないと思います』
『残念だが、クララと言うのは?』
『リシリアの弟子で、キリシアの村の出身です』
マルスが笑顔で言う
『無茶させたら怒るからね』
キリシアが真剣に言う
マルスは急いでクレスタとナディアとカミラを呼ぶと援軍に同行してもらうことを伝える
『解りました。一緒にヴァンパイア討伐出来ないのは残念ですが、頑張ります。』
クレスタが笑顔で言う
『未熟ですが頑張ります』
ナディアが真剣に言う
『私も頑張ります』
カミラが緊張しながら言う
『若い者ばかり、戦場に向かわせる事になるとは・・・』
国王が真剣に呟く
『騎士団と魔法師団が不甲斐ないから仕方無いだろ。建て直しが出来てないのが悪い』
前国王が言うと、騎士団長を見ている
『申し訳ありません・・・』
騎士団長が苦笑いしている
『護衛はヒストリア以上の実力者を付けてくださいね』
マルスが微笑みながら言う
『わかった!それは間違いなく付ける』
騎士団長が笑顔で言う
『え!いるの?ヒストリア以上の実力者が!!』
キリシアが笑いながら言う
『あ!騎士団長一騎討ちで実力を確認するしか無いですね』
ヘルトがニヤリとして言う
『は?』
騎士団長がマルスを見て青ざめ始める
訓練場に向かうとヒストリアがやってくる
『マルス師匠、お呼びですか?』
『ヒストリアの実力がどのぐらいになったか、確認したいそうだよ。全力で叩き潰してきてね』
マルスが笑顔で言う
『はい!マルス師匠』
ヒストリアが笑顔で言うと、ヘルトが笑い始める。訓練場に入る
『え!お父様が相手ですか?よろしくお願いします』
ヒストリアが驚きながら真剣に言うと、騎士達が苦笑いしている
『騎士団長、ヒストリアの実力を確認して騎士団から援軍に向かう護衛を決めるように』
国王が笑顔で言うと、騎士団長とヒストリアが向かい合う
『お父様、未熟ですが、全力でいきますので、よろしくお願いします』
ヒストリアが真剣に言う
『ヒストリア、どのぐらい強くなったか楽しみにしているぞ』
騎士団長が真剣に言うと、剣を構える。ヒストリアも構える
『はじめ』
国王が言うと、ヒストリアが打ち込む。騎士団長は受け止め、打ち合いを始めると、ヒストリアは騎士団長の剣をかわしながら反撃をしていくと、徐々に追い詰めて、騎士団長の剣をかわして腕に剣を当てる
『え!一本取れました』
ヒストリアが驚きながら満面の笑顔になる
『嘘だろ・・・可愛かったヒストリアがこんなに早く動くなんて・・・』
騎士団長が落ち込み始める
『あーぁー騎士団長、本気を出さないから、ヒストリアに負けちゃった!騎士団不甲斐ないね』
キリシアが笑いながら言うと、国王が苦笑いしている
『もう一回だ!!今度は負けない!!』
騎士団長が真剣に言う
『もう一回ね。ヒストリアも本気で叩き潰してね。大蜘蛛を倒した時みたいにね』
マルスが笑顔で言う
『はい!マルス師匠!!頑張ります』
ヒストリアが笑顔で言う
『は?待て!ヒストリアが大蜘蛛を倒した!!』
騎士団長が驚く
『はい!お父様!一対一なら倒せます!』
ヒストリアが笑顔で言うと、騎士団長が青ざめ始める
『逃げられないから、早く始めてね』
キリシアが笑いながら言うと、騎士団長は闘気を纏い始める
『はじめ!』
合図と共に騎士団長は次々と打ち込み、ヒストリアはギリギリでかわしながら、時々反撃を始めると、高速で次々と騎士団長が打ち込み始める。ヒストリアは一瞬の隙に剣を振り抜くと、騎士団長の胴に当たり、騎士団長が後ろに吹き飛ぶ
『え!!当たった!!やったー!!』
ヒストリアが満面の笑顔で言うと騎士団長が放心状態で寝転がっている
『やった!騎士団長を倒したぞ!!』
ヘルトがガッツポーズする
『騎士団長、ヒストリア以上の護衛はいるか?』
国王が苦笑いして言う
『・・・・』
『え?お父様、大丈夫ですか?』
ヒストリアが心配そうに顔を覗き込む
『だだ大丈夫だ』
騎士団長が青ざめながら起き上がる
『あれれー騎士団長がまだ騎士学院1年生に負けちゃった!どうしてかな?』
キリシアが満面の笑顔で言う
『そそそそれは!』
騎士団長が青ざめながらヒストリアを見る
『まぐれでも勝てました』
ヒストリアが笑顔で言うと、騎士団長が落ち込んでいる。
『面白いですわ!娘に負けて、なんも言えない騎士団長ですわ』
『アリシア御姉様、王国騎士団は不甲斐ないですね』
メトリシアが笑顔で言う
『本当に口先ばかりですわ』
アリシアが笑顔で言うと、騎士達は苦笑いしている
『騎士団長、護衛だがいないのだな?』
国王が苦笑いして言う
『ロイド以外いません』
騎士団長が悔しそうに言う。
『じゃあガシリオさんに頼みましょうか?』
クレシアが微笑みながら言う
『それしか無いな』
国王が苦笑いして言う
『マルス師匠、どう言うことですか?』
ヒストリアが疑問に聞く
『援軍のクレスタ達の護衛にヒストリア以上の実力者を要求しただけだよ。騎士団長が負けちゃったから、ロイドしかいなくなっただけだね』
『もしかして、勝ったら悪かったのですか?』
ヒストリアが苦笑いしながら言う
『ヘルトが仕組んだから、勝って良かったんだよ。鍛練が足らない騎士達ではどうにも出来ないという事が解ったからね』
マルスが微笑みながら言う
『ちょっと待て!さっきからマルス師匠と言う事は!マルス殿の弟子になったのか?』
騎士団長が慌て出す
『あれ?聞いてなかったかね、マルスとケニスと私の弟子だからね』
キリシアが笑いながら言う
『は?キリシア殿の弟子?』
『訓練で手応え有るから楽しいんだよね。動きが凄く良いんだよね』
キリシアが笑顔で言う
『騎士団長、無用心だ。精鋭騎士が負けるぐらいの実力が有るのだから、もっと警戒しないとね』
ヘルトが笑いながら言う
『はぁー?聞いてないぞ!』
騎士団長が苦笑いする
『デストラの配下も負けたよね』
マルスが笑顔で言う
『デストラ!もっと正確に報告してくれ』
騎士団長が叫ぶと、国王が笑い始める
『あのーやっぱり勝ったらいけなかったですか?』
ヒストリアが心配そうに騎士団長を見て言う
『いや・・・強くなったな・・・嬉しいぞ』
騎士団長が苦笑いしながら言うと、王妃が満足そうに笑い始める