レーゼンとケーレスとサーリンとエリカ
翌日、マルスとケニスとクエリスとカミラとミリアは何でも屋に向かう
「キルエスはいますか?」
「これはマルス様、どの様なご用件ですか?」
「屋敷も完成しましたので、下女と下男を紹介して欲しいです」
マルスが苦笑いしている
「あ!使いを出し忘れておりました。すぐに向かいましょう」
キルエスが苦笑いして慌てる
「解りました」
マルスが微笑む
「警備担当の件ですが、中々良い人が見つかりません」
「そうですか・・・カミラさん達を見付けたので今は大丈夫かな?」
マルスが微笑みながら言うと、ケニスが頷いている
孤児院に到着すると、院長が出てくる。キルエスが説明をしている
「若いのですが、大丈夫でしょうか?」
院長が心配そうに見ている
「え?あ!大丈夫です」
マルスが言うと
「これでも王国有数の冒険者であり、食と服は間違いなく不自由しません」
ケニスが微笑みながら言う
「そうですか・・・解りました」
院長は不安そうに言うと孤児達を紹介してくれる
「あの子は?」
マルスが院長に聞く
「実は不治の病と判明しておりますので侍女など不可能です」
院長が申し訳なさそうに言う
「不治の病?」
「かなり悪い様で時々歩けなくなるぐらいです」
院長が言うとマルスは少女に話しかける
「魔法を使って不治の病に?」
「え?・・・はい、こんなことにならなければ・・・」
「もしかして、どこかの貴族なのかな?」
「え?何故?・・・もう構わないでください・・・早く死にたい」
「エビリアに似ています」
ミリアが笑顔で言う
「え!エビリア様を知っているのですか?」
「エビリアの一族なのかな?」
「あ!・・・もう家の事は聞かないでください。絶縁されたので・・・・」
うつむき、泣き始めると、マルス達は院長の元に向かう
「院長さん、この人がここに来た経緯を教えてください」
「え!それは知り合いから引き取りました。貴族の子だとは思いますが、理由は不治の病だからです」
「ミリア、どうする?」
「可哀想です」
ミリアが呟くとケニスを見る
「クエリスさん、侍女にしたらダメかな?メトリシアよりは軽いから大丈夫だけど」
「マルス様が気に入ったのであれば仕事は教えます」
クエリスが微笑みながら言う
「私は異論有りません・・・恐らくはエビリアの従姉妹です」
ケニスが言う
「今度エビリアに聞けば解るね」
「はい!師匠」
ミリアが微笑みながら言う
「他は決まったかな?」
「下男は2人選びました」
カミラが笑顔で言う
「カミラと同意見でしたので大丈夫です」
ケニスが微笑んでいる
「侍女は1人は決めています。あの子ですが、料理が好きとの事で、知識も有りますので即戦力です」
クエリスが微笑みながら見ているとケニスが頷いている
「じゃあ決定かな?」
マルスが笑顔で言う
「院長さん、決めましたので連れてきて貰っても良いですか?」
「え!決めたのですか?大丈夫ですか?本当に大丈夫なのでしょうか?」
院長は不安にキルエスを見ている
「マルス様、判断が早いとは聞いてましたが、本当によろしいのですか?それも不治の病の者も引き取って・・・」
「魔力持っているから、魔力補充係り出来るからね」
マルスが微笑みながら言う
「え?魔力補充係り?何ですか?」
「気にしないでください。マルス様は常識外の方ですので、聞き流してください」
ケニスが微笑みながら言うと、ミリアが笑い始める
「宜しいのであれば良いのですが」
キルエスが苦笑いしている
「4人も引き取って財力は有るのでしょうか?」
「え?財力?大丈夫ですけど」
マルスが言う
「本当ですか?本当に?」
院長は不安げに言う
「騎士団長か冒険者ギルドマスターに聞いて貰えれば確認は取れると思いますので、確認を取って頂ければ解ると思います」
ケニスが微笑みながら言う
「え?騎士団長!!何故騎士団長まで出てくるのですか?」
「知り合いだからです」
「ただの冒険者なのですよね」
「色々有りますので」
マルスが苦笑いしていると、院長は使いを出して騎士を呼んできてもらう
「院長、何か用ですか?・・・え!マルス殿!!」
騎士が入ってきて驚いている
「この方が下女と下男を養う財力が有るか確認をしたかったのです。騎士団長と知り合いと言われておりましたので確認をしたかったのですが・・・」
院長が不安そうに言う
「え?下男と下女?もしかして屋敷の下働きですか?」
騎士が笑顔で言う
「そうだよ」
「財力なんて聞かなくても、マルス様の屋敷なら国王陛下がいくらでも出してくれます。今も騎士団が警備に当たっています」
騎士が苦笑いしながら言う
「は?・・・国王陛下!!何故?」
「え!それは国家機密です」
騎士が気が付き、苦笑いする
「ミドルに言って、王城の魔道具貸出代金を回して貰えば財力の確認になるのかな?」
マルスが笑顔で言う
「あ!それなら間違いなく毎月金貨数十枚は有りますね」
ミリアが笑顔で言う
「は?金貨数十枚!!」
「あ!その通りです!騎士団からだけでもランプに馬具、合わせて200は有ります!!」
騎士が笑顔で言う
「あのー・・・この方は凄い人なのですか?」
「公表はされていませんが、団長に確認をするまでもなく、騎士団が保証します」
騎士が苦笑いしながら言う
「そう言えばシュルトから、代金が必要なら金貨数百枚なら即金で立て替えてくれと頼まれています。理由は聞かなかったのですが・・・」
キルエスが苦笑いしながら言う
「解りました。今連れてきます」
院長は孤児達を連れてくる
「全員荷物をまとめますが、この子達で宜しいですか?」
「カミラさん、クエリスさん、良いかな?」
マルスが笑顔で言う
「はい!しっかり教育します」
クエリスが笑顔で言うと、カミラが頷いている
「荷物の準備が出来たら一緒に屋敷に帰りましょう」
マルスが笑顔で言うと、孤児達は荷物を取りに行く
「屋敷まで護衛します。もし襲われたら後が大変ですので」
騎士が苦笑いしながら言う
「襲われたら叩き潰すだけだけどね」
マルスが微笑むと、ケニスが笑い始める
「マルス師匠を襲う馬鹿は地獄行きです」
ミリアが笑いながら言う
「だから後が大変なのです。今も王国中、捕り物で大変な状況ですので・・・」
騎士が苦笑いしているとみんな笑い始める
孤児達を連れて屋敷に戻る
「え!!こんな凄い屋敷なのですか!!」
孤児達は屋敷を見て呆然と立ち尽くしている
「あ!マルス師匠、お帰りなさい」
メトリシアが笑顔で出てくる
「メトリシア、この子達が新しい家族だね」
マルスが紹介すると、みんなリビングに行く。全員に挨拶をする
「秘密は守れるかな?」
マルスが笑顔で言う
「え?はい!勿論、守ります」
全員が答える
「まずは名前と夢など教えてね」
マルスが笑顔で言う
「レーゼンです。夢は騎士に成りたかったです」
「ケーレスです。夢は商人に成りたかったです」
「サーリンです。夢は料理が好きなので色んな料理を作りたいです」
「エリカです。夢は・・・人々を守れる魔法使いに成りたかったですが・・・」
エリカは涙目になる
「エリカは有名になりたかったのかな?宮廷魔術師や王国魔法研究院に入るような?」
マルスが笑顔で聞く
「え?権力闘争に興味は無かったです」
「宮廷魔術師長に就任依頼が来たらなりたい?」
「え!そんな・・・なりたくないです。出来ればリベリアの英雄様の様に、名前も名乗らず、人々を助ける人になりたいです」
エリカが真剣な目で言うとみんな微笑んでいる
「魔法使えるようになって、親や兄弟から家に戻る様に言われたらどうするかな?」
「え!それは・・・もし言われたら考えます・・・全てを剥奪されて孤児にされたので・・・あ!!」
エリカは黙り込む
「どうかしましたか?」
アリシアが聞く
「いえ!なんでも有りません」
「不治の病になって、家から追い出されたでしょ?家の名前はもう出したらダメと」
「え!!何故解るのですか?」
エリカはマルスを見る
「そういう人、何人も知っているからね」
「じゃあ私を養っても見返りが無いのは解りますよね」
エリカがうつ向きながら言うと、みんな笑い始める
「じゃあ有名になっても家族や親戚や友達から何言われても断れるかな?」
「はい!」
「逃げ出す事も無いかな?」
「逃げるにもどこにも行く所は有りません」
「じゃあ大丈夫だね」
マルスが微笑むと、メトリシアが微笑んでいる
「マルス師匠、弟子にするのですか?」
「リリシャとフローネ先生に確認を取ってからかな?それまでは家の魔道具の魔力補充係りと侍女の仕事を覚えて貰おう」
「あ!そうですね!!」
ミリアが笑顔で言うと、エリカは不安そうにしている
「カミラさんはレーゼンとケーレスに仕事を教えてね。クエリスさんはサーリンとエリカに仕事を教えてね。後部屋は用意して有る部屋で良いかな?」
マルスが言う
「はい!あの部屋でも贅沢なぐらいです。屋敷自体が常識外ですので驚きますね」
クエリスが笑顔で言うと、それぞれ部屋を案内してから仕事を教え始める