22話 ランプ作り
迷宮の入り口に向かうと4人の青年が入り口の係員に追い返され戻ってくる
『あの4人は?』
『ギルドカード持っていなかったので追い返しました』
係員は苦笑いして4人の方を見ている
4人はマルスを見てボソボソ話している
『じゃあ行ってきますね』
キリシアはそう言って迷宮に入って行くそして最短距離で11層を目指す
キャタピーとバタフライを次々狩っていく
『キリシア一人でも余裕になってきたね』
『あまり脅威を感じなくなってきた。ギレリムの槍も使いやすい』
キリシアはそう言いながら、見つけたキャタピーに突っ込み、数発突き、反撃を許さず倒すが、影に隠れていたキャタピーの糸を正面にくらい
『キャー』
思わず声を出して後ろに逃げる
リリシャがファイヤーアローを放ち、倒す
『油断大敵』
キリシアは少し顔を紅くして呟く。そして糸が消えるのを待っている
『キャタピーとバタフライは一回の失敗で形勢不利になるよね』
リリシャはそう言って苦笑いしている
殲滅しながら回り
『そろそろ帰ろうか?』
『結構集まったからね』
『糸を10本と魔石20個はフローネ先生用だから後はギルドに買い取ってもらおう』
2層に戻っていたとき、悲鳴が聞こえてくる
『何か有ったのかな?』
『どっちだろう?』
『こっち』
キリシアは走り出す
カークロッチに包囲されている青年達を見つける
『あ!入り口にいた人達だね』
リリシャも頷く
キリシアは歩きながら、『手助け必要かな?』
青年達に声を掛ける
『たっ助けてくれ!!』
青年は必死に叫ぶ
キリシアは槍を構える。次々と倒していく。数匹のカークロッチが後ろから来たのを見つけたマルスも瞬殺する
『す、凄い!』
青年達はキリシアを見て唖然としている
『ありがとうございます』
青年達は頭を下げてくる
『あまり無理しないようにね』
そう言ってキリシアは階段に向かう
『魔石は拾わないのですか?』
『いらないからあげる』
『ちょっと待ってください。自分達も付いていきます』
急いで魔石を拾い集めて後ろを追いかけてくる
『外に向かうのですよね』
『そうだよ』
青年達は安堵の表情に変わり付いてくる。入り口まで戻り、別れてギルドに向かう
『ヘザーネ、買い取りよろしく』
『キリシアさん、リリシャさん、マルス君、お帰りなさい』
ヘザーネは笑顔で魔石と糸を数える
『中魔石が72個で糸が30個ですね。金貨14枚と銀貨4枚です。糸の預り証にサインをしてくださいね』
『ヘザーネ、もう驚かなくなったね』
『もう大抵の事では驚きません』
ヘザーネはニッコリ笑う
翌日、フローネ先生の家に向かい
『フローネ先生いますか?』
『いらっしゃい』
フローネは迎え入れてくれる
魔石と糸を渡し
『糸と中魔石です』
『今日は簡易ランプを作りますよ』
『ランプですか?』
聞くと見本を出してくれた
『中魔石と小魔石を繋ぐのに糸を使うのですね』
リリシャは観察しながら言う
『糸は魔力を通すので安価なランプも作れます』
『まずは中魔石に小さい穴を2ヶ所空けて、小魔石にも小さい穴を空けましょう』
皆で一つづつ穴を空けていく、糸は桶に入れてマジックポーションに浸しておく
『穴を空け終わったら、糸を通して結んでくださいね。糸は数本束ねて使ってください』
適当な長さで糸を通して結んでいく
『フローネ、はいるぞ』
ギレリムが箱を持ってやってきた
『ギレリムちょうど良かったわ』
『久しぶりに作ったから気合いいれたぞ』
ギレリムは笑いこっちを見る
『引退してから作って無かったですからね』
フローネは、箱からランプの外装を取り出して確認する
『綺麗に出来ていますね。ありがとうギレリム』
『出来たランプはどうするんだ?』
『売れそうならば売りましょうか?』
『はい!うう売り物になるように頑張ります』
リリシャはそう言って並べられた魔石を見る
『買いたい奴は沢山いるからな』
ギレリムはニッコリしながら言う
『リリシャ、付与魔法の魔方陣はこれです。中魔石は魔力制御充填型です。小魔石は光系制御型です』
フローネは説明してリリシャを見る。リリシャは魔方陣を見ながらどういう風に書き込むか思案している
『練習の為に中魔石に付与してみてください』
リリシャは頷き、魔石を置き、魔方陣を発動すると丁寧に魔方陣を書き込み始める。出来上がった魔方陣をフローネが確認する
『フローネ先生、どうでしょうか?』
『歪みもなく綺麗にかけています。完全に機能するレベルです』
微笑みながらリリシャを見て、リリシャは次に小魔石に書き込みを始める
『小魔石も大丈夫そうですね』
フローネの言葉にリリシャは嬉しそうに笑う
同じようにマルスも中魔石と小魔石に書き込みをする
『マルスも大丈夫そうですね。2人とも魔力制御が上手いからもっと複雑に書き込みが可能です』
リリシャとマルスは喜ぶ
『ここからが本番です。2つの魔石を書き込みましょう。休憩出来ないので一気に書き込みましょう』
リリシャは、魔方陣の中に糸で繋がった魔石を並べて魔方陣を発動して書き込みを始める
『終わった。上手く出来たかな』
『中魔石に魔力を充填してくださいね』
フローネはそう言って、リリシャは魔力充填を始める
『点灯と良いながら中魔石に触れてください』
『点灯』
中魔石に触れると小魔石が輝きだす
『光った!』
リリシャは成功に喜び、フローネを見る
『付与魔法成功です。中魔石に触れながら消灯と言ってください』
『消灯』
小魔石の光が消える
『成功ですね。リリシャとマルスは付与魔法を続けてください』
『キリシアは一緒に外装に組み込みましょう』
3人共頷く
ギレリムは完成したランプを満足そうに点灯消灯操作している
『付与魔法、確実に出来るようになっているとは流石だな』
ギレリムの言葉にリリシャは喜ぶ
『フローネ先生のお陰です』
『リリシャの努力があったからですよ』
フローネは微笑みながらリリシャを誉める
『これで武器の付与魔法ができるな』
『もう少しで準備完了ですので、作成しましょう』
フローネがそう言うと、リリシャは少し緊張した顔になり
『頑張ります』




