クライソンの町
翌朝、村を出てクライソンの町に向かうと、夕方には町が見えてくる
『柵が有るだけの大きな村だね』
キリシアが呟く
『クライソンは子爵家ですが、この付近は産業が無いので余り発展していません』
メトリシアが説明すると町の入口の門が見え、門番が馬車を止める。
『何の用で来た!』
『リベリアに帰る途中、寄り道をして魔物を狩ったので、近いこっちの町に持ってきました』
キリシアが言うと、門番は後ろの村の荷台を見る
『ヒャーーー!』
門番は尻餅を付いて固まっている
『どうした!!』
他の門番が走ってくると荷台を見て尻餅を付いている
『通っても良いのかな?』
キリシアが聞くと、村人が説明を始める
『わわっわかった通って良し。ギルドは街の中央に有る』
門番が驚愕しながら通してくれると、町中を運んでいる荷台を見た住民が驚いている。
冒険者ギルドに到着する
『村で魔獣を倒してきましたので、確認と引き取りをお願いします』
キリシアは中に入り職員に言うと、職員は荷台を見て、イキナリ卒倒する。
『え!大丈夫!!』
キリシアが苦笑いしながら言うと、リリシャは他の職員を呼んでくる
『キャーーー!』
職員が見て悲鳴を上げて倒れるとギルドから続々と冒険者と職員が出てきて荷台を見て驚いている
『引き取りお願いします』
目を覚ました職員に言うと震えながら後ろを見て
『ギルドマスターどうしたら』
職員が助けを求める
『まさか・・・アナコンダに大蛇にグリズリー・・・どうしたら良いのか・・・』
ギルドマスターが苦笑いしながら言う
『キリシアが寄ってくれなければ、村は壊滅していたかも知れないです』
村人が言うとギルドマスターが苦笑いしながら話し始める
『申し訳ないがギルドカードを見せてください』
ギルドマスターが言うとキリシアがギルドカードを見せる
『は!ゴールド!!リベリアの英雄!!』
ギルドマスターが驚いて叫ぶ。
『大声で言わないでください。面倒なので』
キリシアが言うとギルドマスターが苦笑いする
解体出来る肉屋に持っていくと
『解体出来ないかも知れないが、引き取り頼む』
ギルドマスターが肉屋に言う
『どんな大物でも引き取るぞ!!』
主人が笑顔で出てくる
『なななななっなんだ!!この大きさは!アナコンダだと!!』
主人は青ざめている
『後ろも』
キリシアが笑顔で言う
『グリズリー!大蛇!!』
主人が青ざめている
『じゃあ後はよろしくね』
キリシアが笑顔で言うと主人は呆然としている
『は?・・・・無理だ!!この大きさどうすれば!!』
『お前しかいないのだから頼む』
ギルドマスターが言うと呆然としている
『あんな大きな魔物が・・・・』
少女が呟く
『冒険者殿が倒したのですか?』
男がキリシアに声をかける
『返り討ちにしたよ』
キリシアに笑顔で言う
『是非領主の館で宴でもどうですか?』
『面倒だからいかない!』
キリシアが言う
『は?何故ですか?』
領主が言うが、騎士が苦笑いして領主と話し始めると、驚いてキリシア達を見ている
『騎士さん、ありがとう』
キリシアが笑顔で言うと宿屋に向かう
宿屋に青年と少女がやってくる
『やっぱり!!覚えていますか?リベリアの迷宮で助けてもらった者です』
青年が笑顔で言う
『ん?誰だっけ?』
キリシアが言うと、エビリアとクレスタが出てくる
『あ!やっぱり!!久しぶり』
エビリアとクレスタが笑顔で言う
『え!エビリア!クレスタ!何故?』
『王都でリリシャ師匠に会い、弟子になりました』
エビリアとクレスタが言うと仲良く話し始める
『まさかエビリアとクレスタがいるなんて・・・魔法が使えないのに・・・』
青年が言う
『え?治ってリリシャ師匠とマルス師匠に魔法を教わって魔法も使えるよ』
エビリアが笑顔で言う
『不治の病だぞ!!魔法学院でも王都でも探しても治らないと言われたのに!!』
青年が驚きながら言う
『治ったから治る人もいるよ』
クレスタが笑顔で言うと青年は羨ましそうにエビリアとクレスタを見ている
『お兄様、仲が良いのですね』
少女が微笑みながら言う
『魔法学院で一緒に学んだ仲だから・・・』
『お兄様と一緒に?リベリアにも一緒に行かれたのですか?』
『そうだよ・・・この人達に危ない所を助けられたから命の恩人だよ』
青年は笑顔で言う
『お兄様を助けて頂き、ありがとうございます』
少女は笑顔で言う
『あ!思い出した!あの6人の1人だ!確か助けを待てば良いと言っていた!誰も助けに来れないのにね』
キリシアが言うと青年は苦笑いする
『はい、あの時は申し訳ありません』
『え?誰も助けに来れない?そんな所なのですか?』
少女はビックリする
『調べずに無茶して潜った罰が不治の病だ・・・』
悔しそうに青年は言う
『お兄様は自分のせいと言われるのはそう言う事だったのですね』
少女が悲しそうに言う
『すまない・・・そのせいで魔法の先生がいなくなってしまって・・・』
『いえ!お兄様から教われていますから気にしないでください』
少女が少し悲しそうに言う
『だけど・・・魔法学院に行けなかったら・・・』
『その時はアルに謝ります』
少女は悲しそうに言う
『マルス師匠、リリシャ師匠、少しだけ魔法を見てあげても良いですか?』
エビリアが真剣に言う
『少しだけですよ』
リリシャが微笑みながら言う
『1日ぐらいなら大丈夫でしょう。もしかして今年受験ですか?』
フローネが微笑みながら言う
『はい、今年受けます』
少女が不安そうに言う
『どこか魔法を放てる場所は有りますか?』
マルスが微笑みながら言う
『町の外ですが、魔法練習している場所が有ります』
青年が言うとリリシャ達は行くことにする
『まずは今使える魔法は有りますか?』
リリシャが微笑みながら言う
『はい、アクアしかまだ使えません』
少女が恥ずかしそうに言う
『使って見てください』
リリシャが言う
『・・・・・・・アクア!』
少女が魔法を使う
『やっぱり全くダメですね』
リリシャが苦笑いすると、エビリアとクレスタが苦笑いしている
『え!すいません』
少女が落ち込む
『まずは魔力制御は出来ますか?』
リリシャが言うと少女は魔力を手に集める
『魔力が少ないですね・・・魔法を使うためには足りないから魔法が使えないのですね』
リリシャが言う
『やっぱり才能が無いのですね』
『これから魔力制御を毎日やってくださいね。それが出来れば、来年魔法学院に入ってから楽になりますので、約束出来ますか?』
リリシャが微笑みながら言う
『え!はい!毎日魔力制御をやります』
少女が笑顔になり言う
『杖の先に魔力を集められますか?』
『え!こうですか?』
少女は一生懸命魔力を集める
『次は魔法を詠唱する時は何を考えて詠唱していますか?』
『え!正確に詠唱出来るように考えています』
『それだけでは足りませんのでまずはここに魔力を溜めてください』
リリシャが言うと少女は喉に魔力を移動させる
『次は詠唱ですが、ゆっくりでも良いので、魔力に念じるように詠唱をしてください』
『え!はい!』
少女ゆっくり詠唱を始める
『・・・・・・・・・アクア』
杖から水が的に向かって飛んで行く
『え!何故!!』
少女が驚く
『これが基本です。魔力が少ないので、しっかり魔力制御をしてくださいね』
リリシャが微笑みながら言う
『基本・・・・正確に詠唱するのでは無いのですか?』
『詠唱も大事ですが、魔力が無くては魔法は使えませんよね』
『あ!はい!』
少女は笑顔で言う
『嘘・・・ほんの少しで魔法を教えるなんて・・・』
青年が青ざめている
『リリシャ様!私でも魔法使いになれますか?』
少女が笑顔で言う
『頑張れば魔力も増えてきますので、魔力制御で沢山の魔力を使える様になりましょうね。修行していけばエビリアやクレスタの様に魔法を使えますよ』
リリシャが笑顔で言う
『リリシャ様、エビリアさんとクレスタさんはどんな魔法が使えるのですか?』
少女が疑問に呟く
『エビリア、ファイヤーアローで良いので撃って見せてあげてください』
リリシャが言う
『はい!リリシャ師匠!』
『・・・・ファイヤーアロー!』
エビリアが魔法を放つと岩が砕けて熱風が立ち込める
『え!!!』
青年が驚いて尻餅をつくと少女は呆然と立ち尽くす
『凄い・・・・リリシャ様はいったいどのぐらいの実力なのですか?』
少女が聞く
『リリシャ師匠は王国で2番目に凄い魔導師ですよ』
クレスタが笑顔で言う
『え!王国で2番目!!凄いですが1番は宮廷魔術師長様ですか?』
『1番はマルス師匠です!!』
クレスタとエビリアが言うと、リリシャが微笑んでいる
『え!・・・・宮廷魔術師長様より凄いのですか!!』
『師匠達は宮廷魔術師長就任を断っています!自由が1番だからと言って!』
エビリアが言うとクレスタが笑っている
『凄いのですね・・・そんな方に教えてもらえるなんてありがとうございます』
少女が笑顔で言う
『今聞いたことは秘密にしてくださいね。有名になりたくないので、面倒な人が多いですからね』
リリシャが微笑みながら言う
『はい!リリシャ様!!』
少女が笑顔で言うと魔法を何回か放って練習をしている