浮揚の魔導具
マルスは残っている革でロイドとルメイルに合わせて男用のサイズを作り始めると、イリアに合わせて子供用も作る。マルスは一人になれる部屋に行き、ドローイングを使い改変を始める
『浮揚構造強化型、浮揚防水構造強化型どっちも出来た』
マルスは呟くとみんなの所に戻ってくる
『マルス師匠、剣の準備終わりました』
ミリアが笑顔で言う
『リーベル様、付与魔法しますか?』
『え?本当に・・・魔力の通りが良い・・・付与魔法します』
リーベルが魔方陣発動して構造強化の魔方陣を書き込み終わると魔力を通して魔導具化させる
『やっぱり・・・付加が強力過ぎる・・・納品出来ないかも』
リーベルが呟くとフローネに見せる
『良いデキですね。久しぶりに構造強化だけの剣を見ました』
『え?それだけですか?こんな凄い効果で!』
『もう普通ですよ。マルスに習うといつもの事になっています。簡単に多重魔方陣を作りますから、もう慣れました』
フローネが笑い出すとリーベルは苦笑いして
『師匠まで常識が飛び始めている・・・』
リーベルが呟く
『リーベル、リリシャとマルスに初めて会った時、いきなり無詠唱を使えるのに魔法の知識が足りないのは驚きましたね。今では知識も追い付いて来ましたが、社会常識に疎いのが心配です。もう普通の常識に囚われていたら、2人と付き合えませんよ』
フローネが微笑むと、リーベルは諦めた表情になる
マルスが付与魔法を始めると書き込み後、フローネに見せる
『は?綺麗に書き込めています・・・これはどんな効果ですか?』
フローネが苦笑いしながら呟くとリーベルも確認して唖然と見とれている
『迷いましたが浮揚構造強化型は辞めて浮揚防水構造強化型にしました』
マルスが言うと、リーベルが青ざめて涙目になっている。フローネは魔力を通して魔導具化する
『完璧ですね・・・どうするつもりですか?』
『全部終わったら丈夫な布でベストにして貰います』
マルスが微笑みながら言うと、早速次々と付与魔法で魔導具化していく
『しし師匠!いきなり改変するのですか!!あり得なすぎます!!それもさらりと2つの改変を同時にやった様な事を!!』
『マルスだからです!!基礎が古代魔導師ですよ!!何をやっても有りですね・・・百年かかることを簡単に出来てももう驚きません』
フローネが微笑みながら言うと、リーベルは苦笑いしか出来ないでいる
(手に追えない・・・次は何するの?)
『リーベル様この辺りですぐに作ってくれそうな人いませんか?』
マルスが聞く
『え?この手の物だと・・・付いてきなさい』
リーベルは不安になりながら言うと、マルスとキリシアとレティナとイリアとルメイルとミリアとアニーで出掛ける
一軒の家に着くと出てきた女性と話し込んでからベストを確認してくれる
『この革の服縫った後が無いね、どうしてだい?』
『これは特別製です』
リーベルが苦笑いして言うと女性はリーベルを問い詰めている
『魔法なのか、仕方ないね』
女性は呟くとベストを見てサイズを考えている
『これは色とかどうするんだい?』
『取り敢えず試作なので形になっていれば良いです。だけどなるべく丈夫な方が良いです』
『試作なら明日には仮縫いで作るけど、何に使う物?』
『魔導具化されていますが、人が浮き続けられるか試したいので、それから改良をします』
マルスが言うと、女性はリーベルを見る
『上手くいけば、船乗りが溺れずに済みます』
リーベルが微笑むと、女性は真剣な目になる
『最速で作るよ』
女性が笑顔で言うとマルス達はリーベルの家に帰ることにする
『馬車が停まっているね』
マルスが馬車を見て言う
『領主様の使い?』
リーベルが少し慌てて歩き出す
『リーベル様、お待ちしておりました』
騎士が笑顔で言うと家に入る
『昨日の件でお詫びをしたいと思いまして、本日は参りました』
騎士が頭を下げて言う
『何で騎士殿が謝るの?』
リリシャが聞く
『実はこちらに来る前に抜かれてしまい、先に到着が出来ませんでした。まさか馬車に抜かれるとは思いませんでしたが、魔導具には勝てませんでした』
騎士が苦笑いして言う
『あの馬車の実力解ったんだ。何で馬具を使ってないの?』
キリシアが笑いながら言う
『実は例の件でそちらに馬具を使われてしまい、使えませんでした』
苦笑いしている
『あ!そうですね、東に続いて西まで乱れたら大変ですから』
メトリシアが呟く
『まさか、来たら既に手遅れになってしまい、本当に申し訳ありません』
『別に良いよ、そのお陰で新しい魔導具を作れたから、あ!そうだ実験に付き合って欲しいな』
マルスが言うとみんな笑い出す
『じじ実験!私が役に立てるのでしたらお手伝いします』
騎士は苦笑いして諦めて言う
『明日の昼ぐらいに来てね』
キリシアが笑いながら言う
『畏まりました』
『実験結果はお祖父様にほ・う・こ・く・しておいてくださいね。どうせ師匠は報告しないのですから』
メトリシアが笑いながら言うとみんな笑い出す
『は?報告?』
『凄く重要!よろしくね』
キリシアが笑顔で言うと、騎士が苦笑いしている
『後、御詫びも含めて領主様より別荘で静養などは如何ですかと言っておりました』
『別荘?』
『海辺の砂浜で海水浴などゆっくり出来ますので、是非にとの事です』
『水着を買って遊びましょう』
リリシャが言うとメトリシアが笑顔で同意している
『決まったようですね』
フローネが微笑んでいる
翌日、完成したベストを受け取ると、男物を騎士に着て貰い港に行く
『このベストはどの様な物なのでしょうか?』
騎士は不安そうに言う
『何も考えないでね。無理そうならマルスが助けてくれるから』
キリシアは笑みを浮かべて言うと桟橋の先に立たせて蹴り飛ばすと騎士はそのまま海に落ちる
『ぎゃ!!なな何を!!』
騎士は慌てて手足をバタバタしている
『浮いてるね』
『成功かな?』
リリシャとマルスが呟くとロイドが後ろで苦笑いしている
『早く助けてくれ!!おお溺れる!!』
騎士はまだ理解しないでバシャバシャしている
『沈まないから成功だよ!冷静になって状況を把握しろ!!』
キリシアが騎士に怒鳴ると、騎士は浮いているのを不思議に思い、手足を止める
『ほほほ本当だ!何故!!』
『そのベストは浮揚の魔導具が入っています、だから実験です!溺れないかのね』
マルスが言うと騎士は苦笑いしていると同僚の騎士達は笑い始める
『お祖父様に報告しておいてくださいね。海軍が欲しがると思いますよ』
メトリシアが微笑みながら言う
『え?・・・確かに必要です・・・』
『次はあなたが鎧のまま飛び込んでね』
マルスが言うと騎士にベストを鎧の上から来て貰い、飛び込んで貰う
『浮いている!!凄い!』
騎士は喜び見上げている
『マルス師匠、増産ですか?』
メトリシアが微笑みながら言う
『今回はモデリング使っちゃったから、次は革職人に加工して貰ってから、リリシャに付与魔法して貰おうか?効果が違うかも知れないしね』
マルスが言うとリリシャは微笑んで頷く