王都での平和な日々
2日後、王都の門が見えてくると馬車は並んでいる馬車の横を進んで行く
『王族だと並ぶ必要無いんだね』
キリシアが外を眺めながら呟く
『早く入れて良かった』
マルスが微笑み、門番が姿勢を正して並んでいるのを見ながら、門を通りすぎて町中を走っていくと、大きな屋敷に入っていく
『師匠、到着です』
メトリシアが笑顔で外で呼んでいる
『こちらの屋敷で本日は休んでください』
王太子妃が微笑みながら言うと、メトリシアを残して馬車に乗り、王城に向かって帰っていく
『こちらへどうぞ、馬車は護衛を付けておきますので安心して休んでください』
出てきた侍女が笑顔で言うと荷物を下ろしてから、衛兵が馬車を納屋に移動させる
『凄い豪華な部屋だね』
キリシアが笑顔で言う
『これは迎賓館ですね』
フローネが微笑みながら部屋の中を見て回る
『こんな部屋に泊まって良いのでしょうか?』
エミールがキョロキョロしながら言うと、エレーヌがエミールの裾を掴んでいる
『当たり前です。王家のお客様ですから』
メトリシアが笑顔で言う
『子爵家の部屋より凄いね』
キリシアが笑いながら言う
『ランプが無いから暗いです』
レティナが呟くとマルスが頭を撫でている
『迎賓館より家の方が明るいですからね』
フローネが微笑みながらレティナを見る
『はい、フローネ様』
用意してくれたご飯を食べた後、メトリシアは王城に向かう
『お祖父様、ただいま帰りました』
メトリシアが部屋に入ると国王が笑顔で迎え入れるとみんな険しい顔をしている
『お祖父様、どうなさいましたか?』
『暗殺未遂の件だが、まさか近衛兵の者から情報が漏れるとは思わなかった』
『こうなると何かしら罰を与える必要が有るが、知らぬと言われて逃げられる』
王太子が苦笑いしている
『英雄殿達にまで迷惑をかけてなんて言えば良いか』
『お祖父様、師匠達はその様な事で怒らないと思います。もし怒っていたら、首謀者を倒してしまうけど・・・』
メトリシアが苦笑いする
『侯爵か・・・あれは驚いたが魔族を倒す実力者だから、怒らせたら終わりだな』
国王が苦笑いする
『面倒事は嫌います、名誉も名声も地位も要らないから一言内密にと言ったら笑いながらわかったと言ってくれます』
メトリシアが笑顔で言う
『確かに言うだろう。何かほしい物は無いのだろうか?』
『飛空艇や飛行に関する魔導書はマルス師匠が喜んで研究すると思いますが、キリシア師匠とリリシャ師匠は、どちらかと言うと今の生活を壊されると怒ります』
『誰も読む者はいないから、自由に読む事を許可しよう』
国王が笑顔で言う
『マルス師匠の研究が進みます』
『メトリシア、馬車は譲って貰えないかしら?』
王太子妃が微笑みながら言う
『マルス師匠次第ですが、貸してはくれると思います。多分ミドルに任せた!と言われますけど』
メトリシアが笑いながら言う
『そう言う事ですか・・・家に有った魔道具も全部作ってくれますか?』
『全部?ライトと何ですか?』
『風呂!!後肉を焼いていた窯とパンを焼いていた窯も見ていましたが素晴らしかったです』
アリシアが笑顔で言う
『そんなに素晴らしいものを作ったのか?』
国王が驚きながらメトリシアを見る
『マルス師匠だからです!王城が不便と思うぐらい素晴らしい魔道具を作ってくれました』
メトリシアが嬉しそうに話している
『やはり・・・宮廷魔術師も魔法研究院も必要無いな・・・』
『私より実力があれば良いのですが、来年、魔法学院が崩壊したら考えてください』
メトリシアが笑顔で言う
『本気だな・・・アリシア講師になって魔法を教えて貰うように』
国王が笑いながら言う
『お祖父様、教えて貰えるように頑張ります』
アリシアが嬉しそうに言う
『生徒に魔法を教わるなんて・・・魔法学院は終わりだな』
王太子が苦笑いするとみんな笑い出す
翌日の夕方王城からの迎えの馬車に乗り、王城に着く
『ようこそ、お待ちしておりました』
侍女が案内した部屋に入ると、国王と王太子夫妻とヘルト王子とアリシアとメトリシアが待っている
『お初にお目にかかります』
みんなで挨拶をする
『キリシア殿、リリシャ殿、マルス殿には感謝の言葉を尽くしても言い現せないぐらい感謝している』
国王が笑顔で言う
『父の我儘で在任中にどうしても会いたいと言う願いを叶えていただき、ありがとうございます』
王太子が笑顔で言う
『今日はゆっくり楽しんで行ってほしい』
国王が言うと、食事が並ぶ部屋に移動して、食事が終わりデザートを食べ始める
『マルス殿、来年魔法学院に入学をすると聞いているが、何故入るのか?』
『まだ未熟だった時に魔法学院に入ると決めていたので、今では入るのも楽しみですね』
マルスが言う
『しかし魔法学院に行く必要が有るのか?』
国王が苦笑いしながら
『全く無いと思います』
マルスが笑いながら言うとフローネを見る
『マルスはこの際だから魔法学院を崩壊させる為ですね。この年齢で無詠唱まで使えますから』
フローネが微笑みながら国王を見る
『無詠唱か、この国の魔法の基礎が間違っているのは本当なのか?』
『かつて魔法学院の強化の為に、基礎を省いて魔法学院で応用のみ教える様になったので、いつの間にか基礎が無い人に魔法が教えられなくなり、基礎を教える教え方も出来なくなっていますね』
フローネが答える
『そうなのか・・・基礎が無い者に教えられない魔法学院か・・・』
『不治の病も基礎が出来ていれば、発症する事は少ないですが、残念です』
『不治の病の原因は魔力と言うことなのは本当か?』
『マルスは原因を突き止めましたので、エミール、エビリア、クレスタ、リシリアも立派に魔法を使える様になりました』
フローネが微笑みながらみんなを見る
『全員不治の病になったのか・・・魔法の基礎とは何か教えて貰えるか?』
『魔力制御ですね。この子達は全員、完全魔力制御で全身の魔力を自由に出来るので、古代魔術師の魔法を使いこなしています。王太子妃様も見た様にバリアフィールドの魔法まで使いこなします』
『あ!あれは魔道具では無かったのですか!!』
王太子妃が驚くとアリシアが固まっている
『バリアフィールドとはどんな魔法なのか?』
国王が不思議そうに言う
『古代魔術師の魔法で、結界の魔法です』
フローネが説明する
『失われた魔法・・・古代魔術師級か・・・魔法王国の魔法使いの再来だな』
『マルスとリリシャはそのレベルに達しています。そして弟子達も近い内になると思います』
フローネが微笑みながら言う
『それで素晴らしい魔道具を次々と作れるのか、素晴らしいな』
『マルスが特殊過ぎます。付与魔法に関しては追随を許しませんね。リリシャとミリアも凄い付与魔法使いですね。私等とっくに越えていますが。まだ一人前では無いと言うのですからね』
フローネが苦笑いして言う
『フローネ師を越える実力者が一人前ではないとするとどのレベルが一人前なのか?誰が半人前なのか?』
国王が聞く
『私は半人前です』
全員が一斉に言うと笑い出す
『後で魔法を見せて貰っても良いか?国を預かる者としてはどのぐらい違うのか知りたいと思う』
国王が言う
『後で少しだけなら』
マルスが言うとリリシャが笑っている