王太子妃来訪
夏休みも終わりに近付いてくると、家の前に数台の馬車と騎士が到着する。アリシアと侍女が家にくる
『アリシアお姉さま、どうしたのですか?』
メトリシアが驚き聞く
『エミールさんに話が有って来ました』
アリシアが言うとリビングで話をすることにする
『エミールさん、単刀直入に言います。エミールさんは魔法学院の講師になる気は有りませんか?』
『え!!講師にはなりたくないです』
『しかし、あなたは既に魔法学院の講師より上の実力の持ち主です。誰も教えられる人がいません。何故通っているのですか?』
アリシアが真剣に言う
『魔法学院に通うのが夢だったからです。師匠達が夢を叶えるために送り出してくれました。私には師匠達しか家族はいません』
エミールが答える
『え!・・・魔法学院に通う事が夢・・・』
アリシアが唖然としている
『お姉さま?』
『あ!ごめんなさい、予想外過ぎて・・・エミールさん魔法学院で研究室を立ち上げて研究をしませんか?』
『研究室は興味有りません』
『研究室を作って私にも魔法を教えてください』
アリシアが真剣に言うとメトリシアが苦笑いしている
『私は半人前ですので人に魔法を教えることは出来ません』
『エレーヌさんには教えていますよね』
『え!弟子になったので教えています』
『私も弟子にしてくれないですか?』
『無理です!師匠が許しません』
エミールが言うとリリシャとマルスを見る
『・・・・・無理なの』
『アリシアお姉さま、魔法を教えて貰うためにエミール先輩を利用したらダメです』
『メトリシア・・・あなたが私の師匠になって!』
アリシアが笑顔になって言う
『断ります!それにエミール先輩を講師にするには魔法学院の認定が必要な筈です!』
『あ!忘れていました』
書状を出してエミールに渡すと、エミールが読み始めてマルスとリリシャを見る
『どうしたの?』
マルスが聞く
『見てください』
エミールが書状を見せると、マルスとリリシャとフローネが見て苦笑いする
『アリシアさん、内容は知っていますか?』
フローネが苦笑いして聞く
『エミールさんに講師就任依頼と聞いています』
アリシアが笑顔で言うと一人の女性が入ってくる
『え!!お母様!!何故!!』
メトリシアが驚き、声をあげる
『本当なら夫か父が来るのが筋ですが、アリシアを利用させて貰いました』
王太子妃が笑顔で言う
『え?お母様、どう言うことですか?』
アリシアが驚いて言う
『完全に利用されていますね』
マルスが言うと、エミールにアリシアに手紙を渡すように言うと、アリシアが手紙を見て驚いている
『お祖父様!』
アリシアが手紙を見て声をあげると
『救国の英雄様に是非王都にて会食をしたいとの事ですが、現国王陛下は戴冠するつもりですので、その前に極秘で面会をしたいとの事です』
王太子妃が微笑みながら言う
『面倒事は断ります』
キリシアが苦笑いして言う
『騎士団長が言われる通りですね。面倒にならないように家族のみで会いたいと思います。メトリシアの快気祝いですので誰にも文句は言わせません』
『これは一度、お会いした方が良いですね』
フローネが苦笑いして言う
『フローネ先生が言うなら良いけど、面倒になったら帰るよ』
キリシアが笑顔で言うとメトリシアが笑い出す
『私は利用されただけ?悔しい!!』
アリシアが呟く
『アリシア、突き進むから利用されるのですよ。気を付けなさい』
『お母様!悔しいです!』
『もう少し考えて行動しなさい。メトリシアを見習い、国を救う事を考えなさい』
『え?どう言うこと?』
アリシアが困惑すると
『メトリシアはブレイトリアス侯爵家とトリエスト子爵家の件で報告に戻ってきていましたので、リザード襲撃時にリベリアにいませんでしたが、リベリアからの緊急の使いに気が付き、国王陛下に直ぐに伝えたのもメトリシアですよ。更にリベリアに戻り、南東の探索から魔族討伐まで同行したのですよ』
『え?は!!!』
アリシアは驚き、メトリシアを見る
『お母様、話して良いのですか?』
『アリシアは事態を知っておく必要が有ります。今回は本当に国の危機だったのに、自分の事しか考えていない行動をするのですから、夫も悩んでいましたよ』
『うそ・・・・』
『反省しなさいね』
『はい、お母様』
アリシアはうつ向いている
『マルス様、娘を助け、弟子にしてくれてありがとうございます』
王太子妃が頭を下げるとマルスが苦笑いしている
『お母様・・・』
メトリシアが呟く
『エミール達を送りに行くついでに王都観光してこようか?』
キリシアが笑顔で言う
『アーメルドに寄ってローブを作って貰おうか?』
『寄ろう!マルスとミリアとメトリシアとエビリアとクレスタとリシリアの分で良いよね』
キリシアが笑顔で言う
『そうだね。ついでに願書を魔法学院に出してこようか?』
『決まり!』
キリシアが笑顔で言う
『魔法学院に願書と言うとメトリシアの分ですか?』
王太子妃が疑問に呟く
『マルスとミリアの分もです』
リリシャがマルスを見て笑顔で言う
『はぁーーーーー!!!!』
アリシアが目を丸くして叫ぶ
『マルス様は15歳なのですか!』
王太子妃が驚く
『お母様、同い年です。ミリアも同い年ですが、私等足元にも及ばない実力者ですよ』
メトリシアが言う
『どうして魔法学院に?』
王太子妃がいう
『この子達は魔法学院をメチャクチャにしますね。崩壊させるでしょう』
フローネが笑いながら言う
『そうなりますか・・・・』
『間違った教育を直してくれます』
フローネが笑いながら言う
『間違った教育・・・基本が間違っているとメトリシアが言っていましたがそう言うことですか?』
『その通りです。魔法が退化している原因ですね』
フローネが悲しそうに言う
『是非作り直してください』
王太子妃が笑顔で言う
『お母様』
『宮廷魔術師も魔法研究院も使えない人しかいません。態度だけで本当に無駄です』
『お母様・・・私はその使えない人に教わっているのですよ』
アリシアが涙目になる
『王都にいないからですね。だからエミールさんに宮廷魔術師長に就任を依頼したいと思っていますが、今の状況ではエミールさんが可哀想です。アリシア、あなたが宮廷魔術師長になる為に修行しなさいね』
『え!私が!!』
アリシアが驚き
『来年からマルス様が王都にいるのなら・・・アリシア、卒業したら魔法学院講師になりなさい。メトリシアとミリアさんとマルス様の研究室の担任になれば教えて貰えますよ』
『あ!お母様!それで良いです』
アリシアが笑顔になりメトリシアを見る
『決定だけどミリアはちょっと不味いのかな?』
マルスが呟くとフローネとリリシャが苦笑いする
『何故でしょうか?』
王太子妃が疑問に聞くと、マルスはミリアを呼び、来て貰う
『お久しぶりです』
ミリアが苦笑いして挨拶をする
『え!!シルトバスのミリア!!亡くなったと聞いていましたが・・・』
『既にシルトバスとは関係は有りません・・・』
ミリアは手紙を見せると読み事情を聞く
『そう言うことですか・・・シルトバスから何か言ってきたら王家がシルトバス伯爵から守ります』
王太子妃が笑顔で言う
『ありがとうございます』
ミリアが笑顔で頭を下げる
『マルス様とリリシャ様は本当に魔法を教えるのが上手いのですね。ミリアを普通に魔法を使える魔法使いに育てるのは苦労したでしょう』
『お母様!違います!付与魔法も回復魔法も攻撃魔法も師匠達に一番近い実力者です。私もミリアに沢山相談して勉強しています』
メトリシアが笑顔で言う
『え?そんな実力なのですか?』
『古代魔導師クラスの実力者です』
メトリシアが断言するとフローネが微笑んでいる
『そんなに凄いのですか?副団長が全員凄すぎると言っていましたが、本当なのですね』
王太子妃が微笑む
話も終わり客間で家族会議をして貰っている間に食事の用意をすると魔道具だらけの食事に王太子妃とアリシアは唖然としながら食事をする
『一緒に行くとなると、馬車を1台作った方が良いかな?』
マルスがメトリシアに聞く
『そうですね・・・必要だと思います。普通の馬車では付いて来れません』
メトリシアが言うと、マルスはリリシャとミリアと一緒に工房で馬車を作り始める