15話 12層階層主
『今日は何処まで潜る?』
『ん・12層にするよ』
キリシアはリリシャに言ってリリシャも頷く
最短距離で向かい
バタフライと遭遇すると、キリシアは闘気を纏い一気に近づき飛び上がり槍を叩きつける
『ドン』地面に叩きつけられたバタフライは黒い煙を出して結晶になる
『キリシアさん!また強くなった?』
『闘気を練り続けていたから』
キリシアは笑顔を向けて、魔石を拾って袋に入れる
バタフライを3匹発見し、リリシャがスモールファイヤーボールを放つが避けられてしまう、続いてマルスがファイヤーアローを連射して次々仕留めていく
『リリシャはマルスの真似?』
『うん!避けられるから爆風で動きを制限した』
リリシャが笑顔で説明している
バタフライ4匹を見つけ、アクアボールをバタフライの上の天井に放ち水の雨を周囲に降らし、動きが鈍った所にフリーズアローを連射して次々命中させる
『新しい魔法だね』
『先生のお陰だよね』
キリシアとリリシャは微笑みながら見つめてきたので、自分は頷く
次々倒しながら進んでいくと嫌な感じを受ける。
『いつもと違うね。嫌な感じがする』
マルスが言うとキリシアが
『そう?いつもと同じようだけど?』
リリシャも頷く
大きな部屋にキャタピーやバタフライが大量にいるのを確認して入り口で中を確認する
『奥に大きな繭がある』
キリシアはそう言って指を指す
『大きい』
リリシャも呟く
『ファイヤースト・・・』
魔法を発動しようとした瞬間、繭から光が漏れ『バキバキ』音が響く
『え?』
繭から大きなバタフライが孵化してきている
『デカイ!!』
あまりの光景に、止めてしまった魔法を急いで部屋全体に放つ『ファイヤーストーム!!』
リリシャも少し遅れて『ファイヤーストーム!!』
2つの炎の柱がキャタピーとバタフライを飲み込んでいくが突如吹き飛ばされる
『え?』
大きなバタフライは飛び立ち、風を巻き起こしていた
急いでファイヤーボールを放つが掻き消される
『炎が効かない』
リリシャが呟き、直ぐに
『アクアカッター』
しかしかわされる
『速い』
魔法を放つもかわされてしまう
『先にキャタピーとバタフライを倒すよ』
キリシアがそう言うと突撃して行く
凄い勢いで動き出した大きなバタフライに、アクアボールやアクアアローを放ち、フリーズストリームを放つも、大きなバタフライの羽ばたく風により当たらないが、周りのバタフライとキャタピーは殲滅出来た。リリシャもファイヤーボールを放ち、氷を吹き飛ばし、大きなバタフライを狙うが弾かれる
『どうすれば・・・』
自分の呟きにリリシャも困惑している
『キィーーイーーー』
大きなバタフライは大きな奇怪な音をあげ空気を振動させる
『ん、なんだー?』
大きなバタフライ以外を倒したキリシアがこっちをみる
後ろに気配を感じ振り返るとバタフライが物凄い早さで近づいていている
『ファイヤーストリーム』
通路に魔法を発動する
異変を見たキリシアがこっちに走ってくる
『モンスターを呼び寄せた?通路は任せて』
キリシアはそう言うと槍を構える
『大きな方は自分が』
闘気を纏い突撃する
大きなバタフライに接近して剣を振るうが、かわされ、突風を巻き起こされる。耐えるが、体勢を崩された所に大きなバタフライは突進してくる。ウイングボールを放ちながら横に跳ぶ。ウイングボールが当たり、大きなバタフライの軌道がそれ、ギリギリで『ビュー』と音をたてて通りすぎる
振り返り、旋回している大きなバタフライの前に炎の柱が形成されるが、巻き込まれる前に『ゴーー』突風を起こして回避している
『ストーンアロー』
『ギーィーー』
石が刺さり奇怪な音をあげながら突進してくる
かわしながら、ストーンアローを放ち
何か有効な策がないか考えながらかわし続ける
キリシアは、通路からくるバタフライとキャタピーを次々確実に仕留めていた『パキーン』甲高い音がして
『え?』
『折れた・・・』
槍の先が折れて、キリシアの顔色が悪くなる。槍で叩きつけながら応戦しているが、数に押されてジリジリ後退している。『ファイヤーストリーム』リリシャが魔法で援護し、何とかモンスターを食い止める
マルスの目に、入り口まで後退していている二人を見て『このままでは・・・』焦りの表情が浮かぶ
どうすればと考えを巡らしながら魔力を収束し、大きなバタフライをかわし続ける
大きな火の玉を作りながら、火の玉を急激に圧縮する。手の平の大きさまで圧縮して、全身に闘気を纏い、大きなバタフライの正面から突っ込む。玉砕覚悟で突進し、飛び込む
『くらえーー』
大きなバタフライの胴体に火の玉を叩き込む
『ドカーーン』
圧縮された火の玉は急激に膨張して爆発する
熱気と爆風で弾き跳ばされる。そして壁まで弾き跳ばされる『ドンー』大きなバタフライは炎に巻き込まれて羽がヒラヒラ舞いながら黒い霧を漂わせながら落ちていき、大きな結晶を残して消える
リリシャは後ろで大きな爆発音に驚き振り返ると、光を帯ながら壁に跳んでいくマルスと巨大な炎に燃やされる大きなバタフライを見て『え!!』信じられない光景に一瞬我を忘れる、キリシアを見てファイヤーストリームで通路を封鎖してリリシャはマルスの方に走る
『マルス大丈夫?』
マルスを見て急いで回復魔法を準備する。マルスの右腕は血だらけになっていた。回復魔法をかけ続ける
キリシアはマルスの剣を持ち向かってくるキャタピーとバタフライを迎撃する
『う!』
呼び掛けに目を開けリリシャを見る、リリシャの目は少し潤んでいた
『マルス気が付いた?大丈夫?』
右腕は血だらけになっているがリリシャの魔法で痛みはやわらいでいる
『まだ痛いけど大丈夫だよ』
リリシャは安堵の表情で
『無茶して・・』
少し離れた所にいるキリシアも心配そうに見ている、立ち上がり手が動くのを確認する
『どこか痛いところはある?』
『背中が少し痛いかな』
リリシャは背後にまわり回復魔法をかけてくれる
キリシアは周りを確認しながら魔石の回収を始める
『かなりの量があるね』
キリシアはそう言いながら魔石を集めて袋につめている、リリシャと自分も魔石を集める
『モンスター来なくなったね』
『もしかしたらこの階層のモンスター全部倒したのかな?』
キリシアは苦笑しながら言う
『大きなバタフライの魔石凄い大きいね』
『今までで一番大きいね』
リリシャはそう言うと微笑む
魔石と糸を集め終わり
外に向かって歩き出す
ギルドに入るとヘザーネがこっちを見て
『キリシアさん、リリシャさん、マルス君大丈夫ですか?』
急いで駆け寄ってくる
『ちょっと辛い・・』
キリシアがそう言うと
『ちょっと待っていてください』
ヘザーネが手招きすると職員達があわただしく動きだし
『バタン』
ほぼ同時に3人共崩れるように倒れ、3人を奥の治療室に運び、治療をし始める
『3人はどうですか?』
ギルドの治療師にヘザーネが問いかけると
『少女の方は疲労が原因だろう、少年は右腕にかなりの火傷はあるが全体的に軽い。背中も怪我しているが適切な処置がされているから、問題も無い。傷跡も残らないように治療しておいた』
ヘザーネは安堵の表情になり後ろにいたゼタルを見る。ゼタルは
『今日はゆっくり休ませてやれ』
と言って部屋をあとにする
翌朝、目を覚まして横を見るとキリシアはすでに闘気を練っている。リリシャはまだ寝ているようだった
『キリシアおはよう』
起き上がろうとすると体が重い
『マルスおはよう』
キリシアは笑顔になる
『ここは何処だろう?』
『ギルドの治療室だよ』
話しているとリリシャも目を覚ます
『ん!おはよう』
キリシアと自分を見て周囲を確認している
扉が開きヘザーネがやってきた
『キリシアさん、リリシャさん、マルス君大丈夫ですか?』
『ちょっと体が重い感じだけど、大丈夫だよヘザーネ』
『私も大丈夫』
『自分も大丈夫です』
キリシアとリリシャと自分が返事をすると
『もう少し休んでいてくださいね』
ヘザーネはそう言うと部屋をあとにする
応接室に入るとゼタルが待っていた。ソファーに座るとヘザーネが
『何があったのですか?』
『12層で大きなバタフライが孵化して戦いになり大量のキャタピーとバタフライが襲ってきた』
『大きなバタフライだと!』
『物凄く強かった・・・・』
『ボロボロになりながらもよく戻ってきてくれた』
ゼタルはそう言う
『マルスが倒したよ』
『へ?倒した?』
ヘザーネが驚き言葉を詰まらせる
『これね』
荷物の魔石をテーブルに置く
『こっこれはデカイ』
ゼタルが手に持って確認してヘザーネに渡す
『こんな魔石見たことありません』
3人でそれぞれの荷物から魔石と糸を出してテーブルに置く
『こっこれ全部ですか?』
ヘザーネは流石に異様な量に青ざめる
『まさか全部倒して帰ってきたのか?』
『マルスの治療が必要だったから片っ端から倒していた』
『3人でこの数を倒したのか・・・・歴代最多かな?』
ゼタルの言葉にヘザーネも頷く
『全部買い取りで良いですか?』
『武器作るのに少し必要』
『大きいのは武器を作るのに使った方が良いな、ギレリムが驚くぞ』
ゼタルがそう言うとヘザーネが頷き
数人の職員と数え始める
『中魔石が273個で糸が無傷な物が35個傷アリが62個です、金貨54枚と銀貨6枚です、糸は預かり書にサインをお願いします』
『凄い金額ですよね』
リリシャはそう言うと
『これに糸があるからとてつもなくなりそう』
キリシアが答える
『ここまでの糸が揃うと凄い金額になります』
ヘザーネが真面目に答える
『ギルドカードを預かりますね』
『何故?』
『階層主討伐の印を入れます』
ギルドカードを預ける
『明日までに用意しておきますね』
『ギレリムの所まで送っていくぞ』
ゼタルがそう言うと笑う
『ギレリムいるか?』
カセティが出てきて
『ゼタルそれに皆さんも』
奥からギレリムもやってくる
『ゼタル何の用だ。お前たちも一緒か!』
『ギレリムこれ』
『ん!こっこれは・・・』
魔石を見て震えながら
『まさか、階層主を倒したのか?』
『マルスがね』
キリシアが笑顔でいうと
『もう、怪物としか言えないな』
ギレリムが苦笑いする
『ギレリムの良い顔が見れて満足だ!』
ゼタルが笑いながら帰っていく
『ゼタルの奴め』
『その魔石でどんな武器作れるかな?』
キリシアが言うと
『これ程の魔石。付与が重要だな』
『う!頑張ります』
リリシャは苦笑いしながら答える
『武器は出来たかな?』
キリシアが聞く
『いくつかは加工終わっているぞ!フローネの所で下準備出来るぞ』
ギレリムはニッコリ
『槍折れちゃったから上手くいくと良いなー』
『槍折れた?』
『こんな風にね』
『完全に砕けているな・・・ちょっと待っていろ』
奥に行き槍を持ってくる
『しばらくはこれを使え』
『いいの!ありがとう』
キリシアは受け取り嬉しそうに笑う
『頑張れよ』
『宿で着替えたらフローネ先生の家にいこう』