魔導具馬車
『キリシア、ちょっと作りたい物が有るから工房に籠るね』
マルスが微笑みながら言うと
『良いよ!何作るの?』
『馬車を自作するよ』
『ん?馬車?南東に行くから?』
『魔道具にするから・・・大きな魔法陣が必要だけど』
マルスが言うと
『取り敢えず、隣の家の納屋に魔法陣を作ります』
リリシャが笑顔で言うとフローネを見る
『手伝いますね。リシリアも手伝いなさい』
フローネが苦笑いしながら言うと、リシリアも頷いている
マルスは集められている木に魔石の粉をまぶし、魔石の粉とマジックポーションを混ぜてから木にかける
『モデリング』
木材が徐々に形を変え始め、球体を作り、馬車のパーツを1つずつ作り、ゴーレムの鉱石もモデリングを使いパーツを作っていく
キリシアとルメイルとメトリシアとケニーとロイドは同行する騎士達を鍛える為?に警備隊詰所に向かうと訓練所で一日中騎士達の躾を始めている
『先生、掃除はこのぐらいで良いですか?』
『魔法陣を書いていきましょう』
フローネが言うと、リリシャとリシリアとエビリアとクレスタが魔法陣を書いていく。フローネは1つずつ確認していく
『この人数だと早く書き込めますね。それも王国最高レベルの付与魔導師ばかりなんて凄いですね』
『師匠・・・私はまだまだ半人前です』
リシリアが真剣な目で言うと
『私達もまだまだ半人前です』
エビリアとクレスタも言う
『リベリア名誉魔導師が揃って半人前と言うなんて・・・目指す師匠達が成長をやめないからですね』
フローネは嬉しそうに笑って言うと、リリシャがレビテーションで材料を浮かせながら魔法陣を書き込んでいる姿をみんなで見ている
『私もまだまだ追い付かれません』
リリシャが笑顔で言う
『常識を教えきれませんね。常識外過ぎて、それ自体が常識になっていますから』
フローネが笑いながら言うとみんな笑い始める
『アニー、ここの椅子の配置はどうかな?』
マルスは馬車の内装に移ると、アニーに次々と聞きながら作成していく
『椅子の間隔と大きさは大丈夫です』
アニーが言うと、マルスは4列椅子を設置する。目線の位置に窓を作り、ガラスをモデリングで作製して嵌め込んでいく
『この高さと大きさも良いかな?』
『素晴らしいです』
アニーが微笑んでいると、マルスは後ろに棚と魔導具を設置するスペースを作る。アニーは嬉しそうに笑っている
『高さはこれで良いかな?』
『はい!簡単な料理が作れますが、こちらはどうするのですか?』
『簡易窯を作ろうと思っているよ。パンも食べたいと言いそうだから』
マルスが笑いながら言うと
『あ!絶対言いますね』
アニーが笑い始める
マルスは完成した馬車をレビテーションで浮かせてリリシャ達の所に向かうと
『え?もう完成したのですか?』
フローネが驚きながら言う
『はい!気合い入れました!上手くいくと良いのですが・・・』
マルスが笑顔で言うと
『まずは書き込みの試し書き込みからですか?』
『はい!そうするつもりです』
マルスはそう言うと魔法陣を発動して大魔石に魔法陣を書き込んでいく
上級構造強化、衝撃吸収、耐火防火、魔力遮断、魔力貯蔵
『これで完成かな?見てください』
マルスが魔石をフローネに手渡すと
『え?何ですか?この複雑な魔法陣は・・・綺麗に書き込めていますが、内容が解りません』
フローネが苦笑いすると、リリシャとミリアが内容を確認していく
『これは魔力遮断ですよね』
ミリアが笑顔で言うと
『構造強化だとは思うけど、上級?』
リリシャが呟く
『え?あなた達、解るのですか?』
フローネが驚く
『これは耐火と防火を合わせて作ったよ』
マルスが笑顔で言うと
『燃えないと言うことですね』
ミリアが笑顔で言う
『・・・・』
(え?作った・・・本当に新しい魔法陣を作ったの・・・改変と言うレベルではもう無いのですね)
フローネは苦笑いしている
『先生、どうかしましたか?』
マルスが笑顔で言うと
『1つ1つの魔法陣が王国に報告が必要と思いましたが、ミドルに内緒にしましょう』
『ミドルさん、青ざめますね』
リリシャが笑い出すとみんな笑っている
『じゃあ本番の書き込み始めます』
マルスはそう言うと、まずは馬車から魔法窯を出して付与魔法を始める。魔法陣を次々と書き込んでいく
『なななっ何を作ったのですか?』
リシリアが声をあげると
『魔法窯を小さくしました』
『え?・・・・火の魔石は?』
『もう嵌め込んで有りますよ』
マルスは指差す
『え?まさか・・・とんでもない事を・・・それでも魔導具化出来たと言うことですか?』
フローネが驚きながら言う
『アニー、使ってみて、大丈夫だったら馬車の本体の付与魔法するから』
マルスが言うとアニーはパンを焼き始める
『次はもう1つの窯かな』
マルスは呟くと馬車から窯を持ってくると付与魔法を始める
『2個目?・・・・え?中が違う?』
『これは肉やパイ用かな』
『え?もしかして馬車の中で料理もするつもりですか?』
フローネが驚くと
『長旅になったら必要ですよね?パンを焼くのも』
『必要だから作ってしまったのですか?・・・あれは煙突?』
『掃除が大変かも知れないけどアニーが欲しいと言っていたので』
『既に完成形・・・・アニーさんの助言が有るから、どんどん新しい生活用の魔導具を作るのですね』
フローネは諦めて見ている
『師匠!大変です!火力が強すぎました、加熱は使わないで発熱だけで良かったと思います』
アニーがパンを焼き直し始める
『あ!微熱はどうかな?』
マルスが言うと
『加熱してから微熱で焼きましたが、加熱の火力が有りすぎます、発熱と微熱だけで十分パンは焼けます』
『窯が小さいから仕方ないかな?』
『はい!そうです』
アニーは微笑みながら火力を調整している
『ちょっと待ってください!何を付加したのですか!』
フローネが驚いて言うと
『え?火属性多段調節型に魔力遮断と魔力多段制御貯蔵型と中級構造強化ですけど、本体は上級構造強化、耐火防火、魔力遮断、衝撃吸収、魔力貯蔵ですね』
マルスが説明すると
『え?とんでもない事を・・・古代魔導具を簡単に・・・え?一日で作ったのですか!』
フローネが青ざめて言う
『窯が欲しくなったから作りましたから、思い付きですね』
マルスが笑顔で言う
『この馬車、とんでもない付与魔法をするつもりですか?』
『下回りはもう完成しています』
『何をしたのですか?』
フローネは嫌な予感に鑑定を始めると
『まさか!1つ1つ付加したのですか!!それもここで衝撃吸収と柔軟構造強化と魔力貯蔵と耐火防火と防汚で下からの衝撃を吸収するなんて・・・』
フローネは苦笑いし始めると、アニーがパンを持ってきて
『正常に使えます』
アニーが笑顔で言う
『じゃあ魔導具化してくるね』
マルスは馬車の本体の付与魔法の準備を始めると魔法陣を発動して大魔石に魔法陣を書き込んでいく
『終わりました。確認してください』
マルスが笑顔で言うと、フローネは魔法陣を見てから魔力を流す。馬車全体に魔力が流れ魔導具化する
『本当に出来るなんて・・・古代魔導具・・・再現してしまいました』
フローネが苦笑いしていると、リリシャが笑顔で中を見ている
『マルス師匠、残りの内装も終わらせますか?』
アニーが笑顔で言うと
『内装も終わらせよう』
マルスが言うと馬車をレビテーションで持ち上げて持って帰っていく
『まさかまだ魔導具を組み込むつもりですか』
『取り外してある部品を取り付けるだけです』
マルスが微笑みながら言うと、フローネは苦笑いしている。内装を取り付けていくと完成する
『馬車と言うより小さい家ですね。まさかライトまで組み込むなんて思いませんでしたが、魔力を大量に使いますね』
フローネが笑顔で言うと
『これなら楽に旅が出来るかな?』
『構造強化で馬車を攻撃されても中々壊せませんし、火も通用しませんから安全ですね』
フローネが言うとみんな微笑んでいる
『じゃあ試し乗りしよう』
マルスが言うと、ラーザ達が馬を用意してくれ、町中を一周してくる
『ガタガタしないですね。ゆっくりできます』
ミリアが笑顔で言う
『快適ですね』
フローネが笑顔で言うと、リリシャが嬉しそうに笑っている