食事会前編
メトリシアは3階の部屋を見て、荷物を部屋に運び込んでいる。侍女が一人付き添うことになったが、団長を始め護衛は帰っていく
『メトリシア、良いかな?』
マルスが言うと
『はい、どうぞ』
メトリシアが部屋を出てくると
『え?ミリア!』
『メトリシア、病気と噂は聞いていたけど、まさか不治の病なんて思わなかった』
ミリアが言うと
『え?何故?亡くなったと聞いていたのに・・・』
メトリシアが涙目になる
『ミリアも事情が有って弟子になったからメトリシアの姉弟子に当たるよ』
マルスが言うと
『え?はい、本当ですか?解りました』
メトリシアは、少し驚きながらも答える
『だから当面は、ミリアにいろいろ相談してね』
マルスがそう言って下に降りていくと、ミリアとメトリシアは仲良く話し込んでいる
『メトリシア様があんなに楽しそうにしているなんて何年振りでしょうか・・・』
ケニスが呟く
『ケニスさんもよろしくお願いします。剣術の使い手ですよね』
『え?何故解るのですか?』
『隙が少ないからです、護衛は頼んだよ』
マルスが微笑みながらケニスに言うと
『了解しました』
ケニスは笑顔で返事をする
下に降りると、大体予定通り食事の準備が終わり、リビングでみんな集まっている
『ミ・ド・ル・どういう事か説明してね』
キリシアが言うと
『え?あのー王宮に納品に向かい、侍女に不治の病が治る可能性が有るか聞かれまして、治った人はいると答えたら、鍋の報告と献上に謁見後、メトリシア様から呼ばれて事情と紹介を頼まれました・・・・』
『へぇーそれで簡単に請け負ったって事だね』
キリシアが睨みながら言うと
『陛下からも頼まれてしまい、騎士団長も護衛で来訪すると言われてしまってどうにもなりませんでした』
『そもそも、不治の病が治るなんて何で言ったのかな?』
『え?あ!それは・・・・・』
ミドルは黙り込む
『何故かな?病気の人はすがる思いでくるよね!何で広めているのかな?誰のせいかな?』
『申し訳ありません。全て私の責任です』
ミドルは泣きそうな顔で頭を下げる
『キリシアさんそのぐらいで、ミドルも不注意が原因だから、他の町に行く時は注意しなさい』
フローネが微笑みながら言うと
『師匠、申し訳ありません』
『あの状態、気になります。魔力量はエビリアさんと同じぐらいなのに、制御は素人ですから』
フローネが言うと
『先生、あそこから治すのはやっぱり難しいですよね』
リリシャが言う
『地道に訓練しか有りませんね』
『そうですね』
『両隣の奥様が来られました』
イリアが伝えに来たので、みんな外に出て迎え入れる
『今日は楽しんでくださいね』
キリシアが言うと
『どんな物を見せて貰えるか楽しみで、朝から落ち着きませんでしたから』
奥様達は笑顔でテーブルに向かうとテーブルの上の鍋を見て不思議そうに見つめている、門を見るとギレリムとカセテイとライラとラーケンが入ってくる、その後ろに警備隊隊長と奥様と子供達がくる
『早速鍋を並べているな』
『鍋?あんな風に置いたら中が冷めてしまいますよ』
ライラが心配そうに言うと
『冷めない!逆に熱く出来るから良いんだ』
ギレリムが笑い出す
『え?何故ですか?カセテイ』
『魔道具ですよ』
カセテイが答えると
『え?魔道具?ランプみたいな物ですか?』
『そうですよ。後で教えて貰えば解りますよ』
カセテイは微笑みながら言うと
『ライラ、後で鍋で作る料理を考えてね』
キリシアが微笑みながら言うと
『解りました。キリシアさん』
ライラが笑顔で言うと席に付いてから周りのランプを見つめている
『さっきは悪かったな』
隊長が言うと
『隊長も知っていたなら教えてよね』
『相手が悪かった。騎士団長が直々に来たら文句言えんだろ』
隊長が苦笑いしている
『ガシリオが騎士団の中隊長だったなんて初めて聞いたよね』
『実は知らなかった』
隊長も苦笑いしている
『レティナ、仲良く遊んでいてね』
マルスはレティナに言うと
『うん!よろしくお願いします』
『あ!よろしくお願いします』
隊長の子供とレティナが仲良く話し始めている
『あの子は?』
隊長に奥様が聞くと
『マルス殿の妹だ』
隊長の言葉に奥様も微笑んでいる
アニーは次々と料理を運んできて、みんな食べ始めるとガシリオとロイドとレイリアとナディアがやってくる
『本日はお招きありがとうございます』
レイリアとナディアが言う
『ようこそ、楽しんでいってください』
キリシアとリリシャが微笑みながら言うと、バイルとバイルの奥さんとヘザーネがやってくる
『ヘザーネ、いらっしゃい』
『キリシアさん、お招きありがとうございます。楽しみにしていました』
ヘザーネは笑顔で言うとテーブルに向かう。クラウスとグゼンとシュルトがやってきて、ミリアとメトリシアとケニスも出てくる
『今日は、食事会に参加していただきありがとうございます。今回は、風呂が完成しましたので、是非見ていってください』
キリシアがみんなに言うと反応がバラバラだった。両隣の奥様はフローネにどんなものか聞いている。マルスは暗くなってきたから、テーブルのランプを点灯させていくと
『え?これがランプですか・・・・』
ヘザーネとバイルが驚いている
『また新しいランプですか・・・』
クラウスとグゼンとシュルトは苦笑いしている
『リリシャさん、この鍋は冷めないのですか?』
ライラは不思議そうに言うと
『魔道具ですので、発熱にすれば煮込めます』
『え?本当に!これなら薪が要らなくなります』
ライラは驚きながら真剣に見ている
『まさか鍋まで・・・・魔道具にしているなんて・・・この子達はどんな事を考えているの・・・』
リーベルは頭を抱えて言うと
『リーベル様、大丈夫ですか?』
『リリシャ、リベリアに来なければ良かったと思い始めていますよ』
『え?何故ですか?』
『こんな完成された鍋を見せられたら、付与魔法使いを名乗れません』
リーベルは苦笑いしながら言うと
『風呂を作るために魔道具を作っていたものを、鍋に転用しただけですよ』
リリシャが笑顔で言うと
『え?まさか・・・・風呂も魔道具で・・・』
『お湯を沸かすのは魔道具です。だから薪は必要ないです』
リリシャが微笑みながら言う
『アハハ・・・お湯を沸かす為の魔道具から鍋を作ったと言うことですね』
『地下のあれも、部屋を冷やすだけのつもりが、強く冷えるからあのようになっています』
『え?・・・・とんでもない事ばかりですね』
リーベルは苦笑いしている
『あの・・・ここは貴族の屋敷ですか?』
ナディアがマルスに聞くと
『自分達は冒険者で魔法使いですよ』
マルスが言うと
『こんな凄い物ばかりで驚いています』
ナディアはキョロキョロしている
『内緒にしておいてくださいね。そうでないと騎士団と警備隊が忙しくなりますから』
マルスが言うと
『内緒にしてくれ・・・そうでないと牢屋が足りなくなる』
ロイドが言うとガシリオが苦笑いしている
『どうして?叔父さん』
レイリアが聞くと
『マルスを襲うと仲間まで捕まえるから、王国中捕物に追われる。強さも見た通りだから』
『凄く強かったですよねマルスさんは』
『違うここにいる人は、全員が桁違いだ!キリシア殿なんて警備隊30人を軽く叩きのめし続けるぐらいだ!』
ロイドが言うと
『え?そんなに強いのですか?』
レイリアは驚きながら言うとキョロキョロ見ている