レトリアル・クレトリアの異変 後編
黒い人形が黒い玉を作り始めると、リリシャ達がホーリーレイを放ち、消し飛ばしている
『ウワァァァァァァーーーーー』
黒い人形が奇声をあげ始めると、黒い靄が膨らむように全身を肥大化を始める。キリシアが突進しながら飛び上がり、槍を振り下ろすと、槍の闘気の刃が黒い結晶付近で見えない壁に当たって止まると、ケニスとルメイルが同時に剣を振り抜き、見えない壁が甲高い音も共に消える
マルスはキリシア達走っていく後を追い、ケニスとルメイルが突進していくのを見てから、闘気をまとい見えない壁が砕けた、隙に剣で突き結晶に剣が当たり結晶にヒビが入る
『え! 砕けない!!』
マルスが驚いている
『はーーー!!』
ヒストリアが気合いを入れて剣を振り抜き、青い閃光の様に光輝く剣が黒い結晶を横に両断すると、黒い結晶が砕け散る
黒い靄が光の粒子になりながら消えていき、マルスの視界に人影が現れると、周囲の音や動きが止まる
【憎い憎い憎い・・・我を称えよ!! 何故称えない!! 何故我に剣を向ける・・・世界を救ったのに何故人は我に剣を向けるーーー!! 何故だ!!!】
『え! この声・・・何故?』
マルスが驚いている
【我は闇を払い、全ての人々を救うために戦い続けたのに、何故? なぜ? 何故? 人々は称えない? 何故我に軍勢を向ける? 何故だーーーー】
『え? 何が? 何故?』
【お前も我に何故討伐に来た!! 憎い人間をたくさん救ったのに、何故人間は我を襲う】
『何が・・・』
マルスが考え込んでいる
【バーレスカも愚かなグゼリオンス王国も世界征服を目論んで戦争を始める前に止めたのに何故? 悪神として人から嫌悪された? 何故魔法結社や魔族が人々を襲う前に止めたのに、人々は感謝しない? 何故だ!!】
『もしかして・・・別の自分?』
【理解不能? 理解が出来ない!! 何故だ? 何故? 1人で世界を守っても守るべき者がもういないなんて!! 何故だ!!】
『・・・もしかして、誰にも何も伝えてないの?』
【全ての人々を救ったのに・・・それは間違いだった!! やはり全てを滅ぼすしか無いのか? 全てを一から作り直すしか無いのか? 人々は邪悪な存在なのか? 全ての人が我を恐怖の目でしか見ない・・・もう終わりにしたい!! 何回しても争いは終わらない・・・どれだけ苦労しても、人々は争い始める・・・世界を終わらせるしか無いのか?・・・・】
人影が頭を抱えながら叫び続けている
『1人で悩んでいるの? 誰か隣に居てくれないの?』
【孤独だ! 人は全て我を恐れ、近付かない】
『1人で戦ったの? 仲間は?』
【我が力は強大だ! 誰も付いてこれなかった・・・全てを教えても我が隣に並び立つ者は居ない・・・誰も・・・誰かに悩みを・・・ヴェルダンディーと共に居ても我が心は休まらない・・・子供を育てても我の命を狙い挑まれ、この手で・・・レティナも・・・何故だーーーー人間を滅ぼすしか無いのか!! どうしてこうなった!! やり直しても同じ結果しか無いのか? 教えてくれ!!】
『その姿は・・・後悔と妬みと怨みと憎悪と嫌悪・・・その結果?』
【身体が崩れる・・・お前もすぐに解る・・・我らの・・・結末は・・・・】
人影が崩れる様に消えていくと、視界に光輝く粒子が動き始める
キリシア達が集まってくる
『マルス、もう少しだったのに!!』
キリシアがマルスを見て叫ぶ
『キリシア・・・人影見なかったの?』
マルスが驚きながらキリシアを見ている
『マルスどうかしたの?』
キリシアがマルスを見ている
『いや、何でもない・・・ヒストリアに良いところ持っていかれたけどね』
マルスがヒストリアを見ている
『ヒストリア!! 横取りし過ぎ』
キリシアが笑顔でヒストリアを見ている
『え! 隙が有ったので』
ヒストリアが慌ててキリシアを見ている
『今度こそ1人で倒す!!』
キリシアが笑顔で叫ぶ
『マルス様、悔しいですが、届きませんでした』
ケニスが微笑みながら言うと、ルメイルが苦笑いしている
『もう少しだったね・・・だけど、今までで1番早く倒せたかな?』
マルスがケニスを見ている
『早さよりも・・・いつもより何か違いました』
ケニスが微笑みながら考えている
『違いか・・・』
マルスが考えていると、ヒストリアがマルスの横に来てマルスの顔を見ている
『ヒストリアどうしたのですか?』
ケニスがヒストリアを見ていると、キリシアとルメイルもヒストリアを見ている
『マルス師匠・・・』
ヒストリアがマルスを見詰めながら呟く
『え? ヒストリア・・・良くやったね』
マルスがヒストリアの頭を撫でていると、ヒストリアが嬉しそうに笑みを浮かべている
(マルス師匠が褒めてくれた・・・エヘヘ、一緒に寝たいな・・・あ!! メトリシア様に見付かったら大変な事に・・・マルス師匠の子供ほしい・・・あ! セクラ様の様な考え方を!! いけない!! リリシャ御姉様、どうしたら? えーと、どしよう? 今だけは良いですよね?)
シルフィード号が着陸すると、リリシャ達がマルスの元に集まる
『マルス、集めますか?』
リリシャが微笑みながら聞くと、メトリシアが睨んでいる
『ヒストリア!! 1人だけ撫でて貰ってズルい!! ケニスなんとか言って』
メトリシアがヒストリアを睨んでいる
『メトリシア様、マルス師匠に褒めて貰いました! 嬉しいです』
ヒストリアが満面の笑顔で言うと、エミールとミリアが笑っている
『ヒストリア!! ズルい!!』
『はぁ・・・手が掛かるのですから・・・第4夫人ですから、マルス様に抱き付いても文句は言えませんよ』
ケニスがため息をしてメトリシアを見ていると、エビリアとクレスタが笑っている
『ケニスまで!! 私からマルス師匠を奪わないで!!』
メトリシアが大声で叫ぶ
『メトリシアのマルスではないですよ』
リリシャが微笑みながらメトリシアを見ていると、マルスの横に行き腕に抱き付いている
『マルス師匠ーーーーー 私も褒めて下さい!!』
メトリシアがリリシャを睨んで叫ぶと、みんな笑っている