ミーレスとレーゼンの事情 中編
翌朝、レーゼンを連れてマルスとリリシャとエミールとエレーヌとミリアが仕立屋に向かう
『御用は何でしょうか?』
店員がマルス達を見ている
『仕立を至急お願いします。店主を呼んで下さい』
マルスが笑顔で言うと、店員が怪しむ様に見ている
『店主は忙しいので、面会の約束は?』
『約束はしてませんけど、緊急なので、取り次いで下さい。マルスと言えば解ると思います』
マルスが笑顔で言う
『マルス? どちらの家のマルスですか? 店主は会わないと思います』
店員が嫌々そうに言っている
『まずは聞いてきて下さい、それでも会わないなら、後でクエリスさんから呼び出して貰います』
マルスが笑顔で言うと、レーゼンがキョロキョロしていると、店員が嫌々そうに奥に向かう
(この人引かなそうですね・・・仕方ないですから報告だけでも)
『面倒そうな・・・客です・・・申し訳ありませんが・・・追い返して良いでしょうか?』
店員の声が店まで聞こえている
『いつも通りすれば良いだろ? 名前は?』
『マルスとしか言ってません・・・家柄が解りません・・・』
『マルス? ・・・美人の女性が数人居たか?』
『え!何故解るのですか?』
店員の驚いた声が聞こえていると、リリシャとエミールが顔を見合わせている
『マルス様! 本日の御用向きは』
店主が笑顔で出てくると、店員が驚いている
『店員さんが嫌がっていたから帰ろうかな? 帰ってから呼び出そうか?』
マルスが苦笑いしながら言うと、リリシャとエミールとミリアが笑っている
『嫌がってません!! 面倒な貴族避けです! 魔法学院の横のマルス様と言ってくれたら、店員でもすぐに解ります』
店主が笑顔で言うと、店員が驚いたようにマルス達を見ている
(え! この人が店主が良く話しているマルス様!)
『マルス師匠に家柄が無いから不審者にされてます』
エミールが笑いながら言うと、リリシャも笑っている
『そんな事は無いです!! 本日の御用は何ですか?』
店主が笑顔でマルスを見ている
『レーゼンを連れて今から王城に向かうから、緊急で何か仕立てられるかな?』
マルスがレーゼンを見て言うと、店主がレーゼンを見てすぐに奥に向かうと、店員が驚いている
(え!! おおおお王城に!! この人何者ですか!!)
何着か持って戻ってくる
『背格好からこの辺りが良いと思います』
店主が勧めると、レーゼンに着替えに向かう
『マルス様・・・ボタンが』
レーゼンが苦笑いしていると、胸元が見えている
『素晴らしい筋肉です。そうなると・・・』
店主がレーゼンの胸筋を見て慌てて奥に向かい、戻ってくると、レーゼンが着替えに向かう
何度かレーゼンが試着をして戻ってくる
『レーゼン君、貴族に見えます』
エミールが微笑んでいる
『レーゼン君立派に・・・』
ミリアが嬉しそうにレーゼンを見ている
『ミリア、凄く嬉しそうだけど・・・もしかして惚れたのかな?』
マルスがミリアを見て言う
『え! マルス師匠ーーーーー レーゼン君は可愛い弟です』
ミリアが慌ててマルスを見ていると、エミールとリリシャが爆笑している
『弟か・・・この場合息子かな?』
マルスが笑顔で言う
『息子? 歳が変わらないのに? そんなに歳が違うと見えるのですか? マルス師匠・・・』
ミリアが泣きそうになっている
『マルスの息子ですね・・・ここまで立派に育てたのですから』
リリシャが笑いながら言う
『育てましたけど・・・親子に見えるなら・・・どうしよう』
ミリアが泣きそうな声で言う
『親子には見えませんよ、実質は引き取った孤児ですから、息子ですね』
エミールが微笑んでいる
『そうですけど・・・そんなに年上に見えるのですか・・・』
ミリアが泣きそうになっている
『ミリアの方が年下に見えるよ』
『え!本当ですか!!』
ミリアが嬉しそうにマルスを見ている
『手の掛かる妹ですよ』
エミールが微笑んでいる
『はい!エミール御姉様』
ミリアが嬉しそうにエミールを見ていると、リリシャが爆笑している
(手の掛かる妹と認めていますよ)
『取り敢えず、これとレーゼンに合う貴族様風の服を2着仕立てておいて下さいね』
マルスが笑顔で言う
『マルス様、畏まりました。 貴族様の子息様なのでしょうか?』
店主が考えながら聞く
『来年貴族様になるか、家臣になるか・・・国王陛下次第かな?』
マルスが笑顔で言う
『畏まりました。オルクスに奪われる前に仕立てておきます』
店主が笑顔で言うと、店員が驚いている
『代金どのぐらい?』
『合わせて金貨3枚です』
店主が笑顔で言うと、袋から金貨を出して手渡して、仕立屋を出る
マルス達が王城に向かうと、メトリシアとミーレス達が待っている
『レーゼン君、似合ってますね』
ケニスが微笑んでいる
『マルス師匠よりは下です』
メトリシアが笑顔で言う
『ミーレスちゃんどうかな?』
レーゼンが照れながらミーレスを見ている
『カッコいいです』
ミーレスが嬉しそうに言う
王城の部屋に向かうと、国王と王妃が待っている
『メトリシアが用が有るなんて珍しいですね』
王妃が微笑みながらメトリシアを見ている
『ミーレスちゃんの事ですから早く相談しないといけなかったから』
メトリシアが微笑みながらミーレスとレーゼンを見ている
『確か・・・門番をしていた子ですね』
王妃がレーゼンを見ている
『国王陛下、王妃様、実はミーレスとレーゼンが付き合う事になっています。将来を誓ったので許可を貰いに来ました』
マルスが笑顔で言うと、メトリシアが説明している
『ミーレス殿の横に信頼がおける人が居るなら良いだろうが、家の再興となると・・・家柄なども問題に』
国王が考えながら王妃を見ている
『レーゼン君の両親は居ません。孤児院から引き取ったので、自分達が保護者です』
マルスが笑顔で言う
『ミーレス殿は公爵となると、最低でも・・・』
『マルス殿が保護者なら侯爵ですから、問題ないですね・・・騎士団長とどっちが強いですか?』
国王が言おうとすると、王妃が笑顔で聞く
『騎士団長なら余裕で倒せます。デストラも楽勝で叩き潰します』
メトリシアが笑顔で言うと、みんな頷いている
『問題ないですね、ミーレス殿は宮廷魔術師クラスの魔法使いでレーゼン君は英雄騎士隊並の実力なら、国境も守りに良いですね』
王妃が微笑みながら言う
『そうだな・・・あの地は、英雄殿の国だから自由で良いか・・・貴族達も煩くても後ろ楯ぐらいはする』
国王が笑顔で言うと、前国王とヘルトとクレシアが入ってくる