クランドルの温泉 前編
アーメルドを出発して、クランドルの町が見えてくると、キャス号は降下していき、騎士の誘導で着陸する
『お待ちしてました。宿は貸切りにしています。セクラ王女様の滞在ですので、周囲は警戒します』
騎士が笑顔でマルス達を出迎えて、説明している
『楽しみです。 温泉なんて初めてですから、リリシャ御姉様』
メーレシアが微笑みながら言う
『メーレシア様もゆっくりしますよ』
リリシャが微笑みながら言うと、オルセント号からセクラも降りて走ってくると、オルセントの兵士達も呆れた様に見ている
『マルス様、町中に泊まるの楽しみでした』
セクラがマルスの元に来て笑顔で言う
『セクラ様、王女としての威厳を・・・師匠何とか出来ますか？』
ルーセントが諦めたようにフローネを見ている
『ルーセントゆっくりしなさい・・・マルスから離れないですから、それに領主も下手に近付きませんから』
『そうします・・・何故ですか？』
ルーセントがフローネを見ていると、フローネが前回何が有ったか説明して、ナリスを見ている
（は？ ナリスさんも訳有りなのか？ Sランクの魔法使いの親はなんて言うのだろうか？）
騎士の案内で宿屋に入ると、アーセルが微笑みながら出迎えてくれる
『あれ？ アーセル、ハルドも来ていたの？』
マルスがハルドを見ている
『国王陛下が休養も必要だろうと、出掛けるのを許可してくれました。 この距離なら何が有っても、すぐに使いが来ますから』
ハルドが笑顔で説明する
『良く考えたら２人で宿屋に泊まるのは初めてで嬉しかったです』
アーセルが微笑みながらハルドを見ている
『御父様も気が聞くことを』
メトリシアが笑顔でハルドを見ている
『それで・・・ふふふ、子作りでもしていたのですか？』
エミールが笑顔で聞く
『え！ そそそそっそれは・・・はい』
アーセルが慌てて真っ赤になっていると、リリシャ達も微笑みながら見ている
『子作り・・・マルス様・・・一緒に温泉で・・・エヘヘ』
セクラが妄想をしている
『セクラ様！！ 声に出ています！！』
ルーセントが慌てて叫び、ハルド達が笑っている
（リリシャ様とマルス様の部屋は、離れの特別室にしてあります・・・夜は２人でゆっくりして貰いましょう）
宿の部屋に荷物を置いて、リシリアの実家の道具屋に向かう
『リシリア！！』
リシリアの母親が笑顔でリシリアを見ていると、父親も出てくる
『お母さん、お父さんただいま』
リシリアが微笑みながら言うと、両親と話している
『紹介します。弟子のクララとナセリです』
リシリアがクララとナセリを紹介する
『本当に弟子なんて取って大丈夫なのですか？』
母親が心配している
『リシリアも立派な魔法使いですから、それにクララもナセリも結構実力派になってます』
フローネが微笑みながら説明している
『しかし、ミゼンド様の家と大違いですね・・・』
リシリアの母親が呟く
『何かありましたか？』
フローネが苦笑いしている
『王家の魔法使いランクでDランクとなり、信用がガタ落ちでもう指導もしてません・・・リシリアは、魔法使いランクはどのぐらいなのですか？』
リシリアの母親が説明しながらリシリアを見ていると、リシリアが魔法使いランクの証明書を見せている
『え！ Sランク！！ 最高ランクの魔法使いになっていたのか！！』
父親が大声を上げる
『当たり前ですね、この子はマルスとリリシャの弟子でも有りますから』
フローネが微笑みながら言う
『フローネ師はどのぐらいのランクですか？』
母親が驚きながら聞く
『師匠もSランクです』
リシリアが微笑みながら説明している
『ミゼンド家と大違いですね・・・まさか、最高ランクの人が２人も居るなんて』
『全員Sランクです』
リシリアがマルス達を見て説明を始めている
（え！ 魔法使いランクを作らせたのが、マルス師匠？ あの幼さが残っていた男の子が、立派になって・・・それよりもリシリアの服も良いローブで・・・良い生活をしているのですね・・・）
ミゼンドの墓参りをしてから、町中を見て回り宿屋に戻り、食事が用意されている部屋に向かう
『美味しそう』
キリシアが笑顔で言うと、みんな座り、食べ始めると、次々と料理が運ばれて来て、みんなで食べている
『みんなで温泉に行きますよ』
リリシャが食べ終わり言うと、みんな嬉しそうに部屋に戻っていく
『え！ マルス、隣ですか？』
リリシャが軽装に着替えて部屋を出ると、マルスを見て驚いている
『え！ハルドがこの部屋をと・・・ハルド』
マルスが苦笑いする
『ハルド・・・』
リリシャも赤くなっている
（ハルド、明らかに仕組みましたね！！ もう・・・どうしましょう？）
『早く温泉に行こうか？』
マルスが苦笑いして歩いていくと、リリシャも歩いていく
マルスが温泉に入ると、ハルドとルメイルが先に入っている。暫くするとテシウスとラーザとライオスとオルガーが入ってくる
『マルス様、旅に同行して良いのでしょうか？ 騎士学院休んで豪遊して・・・』
テシウスが考えてから言う
『テシウス君、騎士学院の学長から卒業まで休学で、師匠達と鍛練でも良いと許可が下りてます。理由は教えられる講師が居ないからだそうです』
ハルドが微笑みながら説明している
『まだまだ学ぶことが有ります』
『テシウス君、今回の旅行も必要な事です。 王族の結婚式なんて、何年に１度の大きな出来事です。 警備体制や他国の外交関係を知るのも、大変な勉強です。 それに剣術もラーザ君やライオスさんと練習した方が色々学べるでしょう』
ハルドが微笑みながら説明している
『お母さんに申し訳ないです』
テシウスが考えながら言う
『リベリアに１度寄って話をしてくると良いでしょう・・・レティナちゃんと仲も話した方が後々良いですから』
ハルドが微笑みながら言うと、マルスを見ている
『え！ えーと・・・はい』
テシウスが真っ赤になって頷き、マルスを見ている
（マルス様の前で言わなくても・・・どうしよう・・・マルス様になんて説明を・・・）
マルスが温泉から上がり、部屋に戻り、少しゆっくりしてから窓を開けると、温泉が有る
『部屋に温泉も有るのか・・・』
マルスが呟く
『え！温泉？ え！ マルス！！』
リリシャが窓を開けて外に出てマルスを見ている
『え！ この部屋』
『アーセル・・・離れている部屋を用意したのは・・・』
リリシャが真っ赤になってマルスを見ている
『リリシャどうする？』
マルスがリリシャを見ている
『マルス・・・一緒に入りますか？ 部屋は・・・一緒に』
リリシャが真っ赤になって言う
『そうだね・・・』
マルスが真っ赤になってリリシャに近付くと、リリシャがマルスに抱き付く
『リリシャ・・・』
マルスがリリシャを見詰めながら呟くと、リリシャがマルスを見て目を瞑り、マルスと口付けをする
『マルス少し温泉に入りましょう・・・今夜は２人で過ごしましょう』
リリシャが真っ赤になってマルスを見詰めている
