世界旅行と釣り 後編
ヒストリアがキャットフィッシュに近付き、闘気を剣にまとわせると、横に走りながら、キャットフィッシュの口から尾びれまで腹を一直線に切る
『ヒストリアさん見事です』
アニーが腹から出てきた内蔵を見て言う。男爵達は呆然と見ている
『早く解体しろーーー 料理を作る時間が無くなるだろ!!』
キリシアが大声で怒鳴ると、包丁を持った人達と兵士が内蔵を掻き出して、樽に入れ始める。噂を聞き付けた町人達が門から見て騒いでいる
解体が進み始めると、男爵と夫人と重臣達がキャス号の方に歩いてくる
『英雄様、どうしてあの怪物を捕まえたのですか?』
男爵がマルス達を見て聞く
『キリシアが食べられそうになったから』
マルスが笑顔で言う
『あんなのが居たら、湖で遊べない!! 下からいきなり、来たらよけれない』
キリシアが大声で叫ぶと、男爵達がキリシアを見て苦笑いしている
『あんなのが居て、被害が無かったのですか?』
リリシャが微笑みながら男爵を見ている
『え! 湖で漁をしていた者が行方不明になった事は昔から有るが・・・』
男爵が考え込んでいる
『食われたのかな?』
マルスが笑顔で言う
『あんなの野放しにしていたら、美味しい魚全部食べられちゃいますね』
リリシャがキリシアを見て言う
『え! 全部・・・許さない!! 全部狩ってやる』
キリシアが大声で叫ぶ
『面倒だよ』
マルスが苦笑いしている
『次の獲物を探しましょう・・・まだ大きいの居るかも知れないですから』
リリシャが笑いながら言う
『狩るぞ』
『キリシア、釣りだけど』
マルスが苦笑いしている
『何でも良い!! 次の獲物探すよ』
キリシアが笑顔で言うと、男爵達が苦笑いして見ている
(怪物を狩りなのか? 釣り? 捕まえる理由は・・・食料の恨みなのか? 止めれないが・・・捕まえたらどうすれば良いのだろうか? イーレシアに連絡をした方が良いのか?)
解体が進むと、レセナとアニーが解体をしている人達の方に歩いていき、ウェンナーセがキャットフィッシュの大きな肉を板に乗せてもらっている
『中々の肉質ですね』
アニーが切り身を見ている
『元々脂も乗っていて旨い物だからな・・・この大きさは初めて見たが』
解体している人が苦笑いしている
『これなら、フライとソテーと煮込みでも・・・』
アニーが笑みを浮かべている
『片っ端から作りましょう』
レセナが笑顔で言う
『この量は解体が終わらないぞ』
解体している人が苦笑いしている
『頑張って下さいね、沢山食べる人がいますから』
アニーが微笑みながら言うと、キャス号に歩いていく
『革とか素材はどうしたら・・・』
解体している人がアニーに言う
『後でメリアと相談して下さい』
アニーが笑顔で言う
『解体だけはするが・・・この町で買い取れる人はいないぞ・・・』
解体している人が苦笑いしながらアニー達を見送っている
日が暮れる頃、キャス号の前にテーブルを並べて、アニー達が料理を大量に運んでくる
。男爵達が並べられる料理を食い入るように見ている
『もう少ししたら食べますよ』
メトリシアが男爵を見て言う
『こんな豪勢な料理に・・・』
男爵が料理を見て呟いている
『キリシア師匠がきっと言います』
メトリシアが笑みを浮かべて、キリシアを見ている
『何をでしょうか?』
男爵がメトリシアを見て震える声で呟く
『キャットフィッシュ狩りをすると』
メトリシアが嬉しそうに言うと、男爵が苦笑いする
(さっき、既にやる気になっているだろうに・・・ しかし、料理の量が半端ない・・・)
キリシアが食べ始める
『旨い!! もっと狩るよ』
キリシアが大声で叫ぶ
『キリシア師匠手伝います』
エミールが笑顔で言う
『釣るぞ』
『釣るとクーレセス号だけが活躍します』
エミールがキリシアを見て言う
『え! 食い付くまで糸は監視してやる』
『みんなで交代で監視しましょう』
『あの倍の大きさの化け物を探そう』
キリシアが大声で言うと、みんなキリシアを見ている
『倍になったら、クーレセス号で持ち上げれないかも』
マルスが苦笑いしている
『そうしたら、半分に斬ってやる』
キリシアが豪快に笑っている。男爵達がキリシアを見て苦笑いしている
(もしかして、食料になったから、狩るのか? 素材はどうするつもりだろうか? 誰に交渉を・・・)
翌朝からマルス達は再び魔導具を湖に投げ込んで、キリシアが糸を監視している
『もういないのか』
キリシアが日が暮れる頃になってマルスを見て呟く
『そう簡単に釣れないよ』
マルスが考え込んでいる
『美味しい料理沢山食べたら、王都に帰る?』
『あと2か国だけど、王都に寄って、クリス様を連れていきたいよね』
『船旅にするの?』
『え! 時間が掛かるから・・・それに帰ってあげないと、ライオスとクララが留守番しているからね』
『あ!! 忘れていた!!』
キリシアが大声でいうと、糸が急に引っ張られる
『え! 掛かった?』
キリシアが慌てて糸を掴み、引っ張れるか確認しようとするが、糸は勢く引っ張られている
『クーレセス、上昇』
マルスが大声で言うと、クーレセスが上昇していき、魚影が水面から飛び出て森に落ちていく
『夜の方が釣れるのかな?』
マルスが魚影を見て呟く
『夜の方が? あ! 夜行性』
キリシアが大声で言う
『何匹か釣れるかな?』
マルスが笑みを浮かべている
『沢山釣るよ』
キリシアが嬉しそうに叫んでいると、クーレセス号が大きなキャットフィッシュを吊るして門の方に飛んでいく




