世界旅行と肉屋
翌朝、魔工王国の王都の城門の外にキャス号が着陸すると、騎士が出迎えにやってくる
『荷車お願いします。獲物を冒険者ギルドに運んで解体して貰います』
マルスが笑顔で言う
『は! すぐに』
騎士が姿勢を正して言うと、しばらくして荷車を数台持ってくる
マルス達が荷車に獲物を乗せていくと、騎士が呆然と見ている
『後3台お願いします』
マルスが笑顔で言う
『え! こんなに・・・』
騎士が苦笑いしている
『レッドベアが中々見付からなかったから』
マルスが笑顔で言うと、騎士達がマルスを見ている
『見付からなかったから・・・』
騎士が呟く
(魔物も不憫だな・・・英雄様に見付かるなんて)
騎士に荷車で運んで貰い、冒険者ギルドに到着する
『依頼達成の確認をお願いします』
レティナが冒険者ギルドに入って職員に言う
『この依頼ですか? 依頼達成の部位は?』
職員がレティナを見て微笑みながら聞く
『外の荷車です』
レティナが笑顔で言うと、職員を連れて外に出る
『え・・・』
職員が荷車を見て瞬間固まっている
『レッドベアはあそこですよ』
『・・・・』
『どうしたのですか?』
レティナが職員を見ている。職員は、呆然と魔物を見ている。冒険者達が出てくると、噂話を始めている
他の職員とギルドマスターが出てくる
『何をしている、早く確認を・・・』
ギルドマスターが苦笑いしながら職員に言うと、荷車を見て苦笑いしている
『解体もお願いします』
マルスが笑顔で言う
『は? この数・・・解体? 何故この数に?』
ギルドマスターがマルスを見て聞く
『レッドベア探しに山に行ったら、アウルベアーを見付けて狩ったよ、別の方角の山に入ったら、最後にレッドベアを見付けて、依頼達成したよ・・・夜ご飯を食べ終わったら畑にボアが現れたから、お兄ちゃんが倒したよ、レッドベアが見付からないから、沢山狩っちゃった』
レティナが笑顔で説明すると、ギルドマスターが苦笑いして考えている
(間違いで討伐したのが、アウルベアーとグリズリーとサーベルタイガー? どれも討伐依頼して良い魔物だが・・・これはどう処理したら?)
『どうしたの?』
レティナがギルドマスターを見ている
『依頼書は・・・』
ギルドマスターが職員を見て聞くと、職員から受け取り、読んでいる
『早く解体してほしいな、晩御飯にしたいから』
マルスが笑顔で言う
『すぐに案内してこい』
ギルドマスターが職員を言う
職員の案内で肉屋に到着すると、職員が肉屋の主人に説明をして出てくる
『獲物はどれだ!』
主人がマルスを見て言う
『運び込むから、早く解体してね』
マルスが笑顔で言う
『ん? まさか・・・』
主人がマルスを見てから荷車を見て青ざめている
『魔物も災難です・・・』
職員が苦笑いしている
『無理だ!!』
主人が慌てて叫ぶ
『みんなで運び込むよ』
マルスが笑顔でアウルベアーを運んでいくとナディア達も次々と運び込んでいる
『ちょっと待てーーー 入りきらない!!』
主人が慌てて叫ぶ
『手伝いますので、早く解体して下さい・・・盗まれたら、大変な事になりますので』
騎士が苦笑いして言う
『やるしか無いのか? 前よりも多いのに』
主人が青ざめてマルス達を見ている
『厄災が来たと伝えたのに』
『何の依頼を頼んだのか?』
『え! それはレッドベアの討伐です』
『は? レッドベアの・・・どう見てもアウルベアーの討伐依頼じゃないのか? レッドベアなんてこの中で脅威にもならない』
主人が苦笑いして言う
『そうですが・・・この人達ですので・・・ついでが多すぎます』
職員が苦笑いして話している
日が暮れる頃、アニーとレセナとマルス達が肉屋に肉を受取に向かう
『馬車が数台』
レセナが不思議そうに呟く
『貴族が横取りに来たのかな?』
マルスが呟く
『譲る気は無いのですか?』
レセナが笑顔で聞く
『キリシアが知ったらどうなるかな?』
『お仕置きと言いますね』
レセナが笑って言うと、マルス達が肉屋に入いる
執事が店員に詰め寄り、話している。主人がマルスに気が付いて歩いてくる
『引き取りに来たのか?』
『解体出来た分で晩御飯だよ』
マルスが笑顔で言う
『早く持っていってくれ、うるさい奴等が多いから』
主人が苦笑いして言うと、執事たちがマルス達に近付いてくる
『ボア肉を譲るように!!』
執事が大声で言う
『断る! 欲しければ自分で狩ってきて下さい』
マルスが笑顔で言うと、レセナ達が微笑みながら見ている
『この無礼者が!! この国に居れなくなるぞ』
『どうぞ』
『は? 本当に居れなくなるのだぞ』
『騎士さん脅されちゃった、後でキリシアがお仕置きに行くよ』
マルスが騎士を見ている
『すぐに帰るように! これ以上の無礼は許さない』
騎士が執事を睨んでいる
『我が主が激怒するぞ!!』
『国王陛下の命令です。すぐに引き上げないなら、反逆罪で捕縛します』
騎士が睨みながら言うと、執事が驚いている
『早く排除して下さいね、この無礼者を』
レセナが微笑みながら言う
『なんだ!女文句有るのか!』
執事がレセナを睨んでいる
『マルス様、睨まれています。怖いです・・・この国の騎士は無礼者達を捕らえられないなんて』
レセナが笑みを浮かべて言う
『騎士さん、無礼者を捕縛しておいて下さい、後で外交担当を通して、抗議しておきます。レセナ王女様に怒鳴るなんて、最早外交問題です』
メリアが笑顔で言うと、騎士達が驚いて、レセナを見てから、顔を見合わせて執事達を捕らえ始める
(今、王女様と・・・国王陛下が怯えそうだ・・・連行して報告をしないと・・・)
騎士が執事達を連行していくと、マルス達が馬車に肉を積み込んでいる
『また、明日引き取りに来ます』
マルスが笑顔で言う
『わざわざ来て貰わなくても、配達します・・・先程王女様と聞こえましたが・・・』
主人が頭を下げながら言う
『王女なんて1人や2人居ても変わらないよ』
マルスが笑顔で言う
『しかし、無礼を働いたら・・・』
『怒らなければ大丈夫です』
マルスが笑顔で言うと、キャス号に帰っていく




