世界旅行とレセナの帰省
孤児院を視察して回り終わると出発準備をしている
『副団長、気迫が無いですね』
メトリシアが見送りに来た副団長を見て呟く
『気迫が・・・若い騎士にボコボコにされ続けたら自信も無くすだろう』
副団長が落ち込みながら言うと、騎士達が副団長を見ている
『ヒストリア隊以上の騎士を育てて下さいね』
メトリシアが少し悪戯っぽく言う
『不可能だ・・・闘気を完全にまとい、素早く動きに付いていけない・・・どうしたら育てられる?教えてくれーーーー』
副団長が大声で叫ぶと騎士達が苦笑いしている
『闘気の鍛練を続ければ育ちますよ・・・騎士学院でも教え始めていますから、次々と実力者が育ちますよ』
『闘気か・・・どう教えれば・・・』
副団長が騎士達を見て呟く
『頑張って育てて下さいね。次々と優秀な騎士が育っていますから、閑職に追いやられますよ。元宮廷魔術師達みたいに』
『え! そそそそそっそれは・・・』
副団長が慌てた様にしていると、メトリシアが満足そうに微笑んでいる
キャス号に乗って、上昇していくと、レセナが外を見ている
『あ!メリア、どうかしましたか?』
レセナが笑顔でメリアを見る
『レセナ様が考え事をしているなんて、故郷に帰るのを考えていましたか?』
メリアが笑顔で聞く
『今晩の料理をどの調味料で作ろうか、考えていました』
レセナが笑顔で言う
『故郷に近付いて考え込んでいたと、思いましたけど』
『故郷でも、良く考えたら、思い出はマルス様の屋敷の方が多いです。 ヒリアとメリアが来てから本当に楽しい日々でしたから、帰っても会いたい人は、家族ぐらいです』
レセナが笑顔で言うと、メリアが笑っている
エレストリアクレイス王国王都が見えてくると、城門に近付く
『国王陛下に用が有ります』
ヒストリアが大声で言う
『どうぞ!! 英雄様』
門番が大声で言うと、兵士が走っていき、キャス号は、ゆっくり王城に向かい、騎士の指示で着陸する
王太子と騎士達が出迎えに来ると、マルス達が降りていく
『リベリアの英雄様、来訪歓迎します。国王陛下が待っています』
王太子が笑顔で言うと、レセナとメリアとアーセル達が降りてくる
『親書を持ってきました。それと・・・』
メトリシアが笑顔で言うと、振り返る
『レセナ!!』
王太子が笑顔で叫ぶと、騎士達がレセナを見て笑顔になっている
『御兄様、マルス様達の世界旅行に付いてきました』
レセナが笑顔で言う
『お母様も喜ぶだろう』
王太子が笑顔で言うと、王太子の案内で王城に入っていき、部屋に入り、国王と王妃と王太子妃と幼い子供が2人待っている
『レセナ!! 美しくなって』
王妃がレセナを見て驚きながら立ち上がる
『お母様、お久し振りです。お元気でしたか?』
『レセナも窮屈な生活、苦労が多かったでしょうに』
王妃が涙目でレセナを抱き締める
『苦労なんてしてません・・・毎日楽しく料理を作ってました』
レセナが笑顔で言うと、王太子が苦笑いしている
『メトリシア様、挨拶が遅れてすまない』
国王が王妃とレセナが落ち着くのを見てから言う
『気にしてません。こちらが親書です』
メトリシアが笑顔で言うと、アーセルが親書を差し出している
国王が親書を読み終えると、ため息をしてから、王太子達も読んでいる
『教会には遺憾と抗議を伝える・・・』
国王が苦笑いして言う
『ゆっくり観光しますね』
メトリシアが笑顔で言うと、みんな笑っている
『レセナが嫁ぐ前に故郷に帰れたのは嬉しいから、なるべくゆっくりしていって欲しい』
国王が笑顔で言う
『オテリオス王国は大丈夫なのでしょうか?』
王妃が心配そうに聞く
『何故ですか?』
『北の動乱に巻き込まれたと伺いましたが・・・』
『アーセル説明して』
メトリシアが面倒そうにアーセルを見る
『クライドルト王国、宮廷魔術師副師長アーセルと申します。 北の動乱はリベリアの英雄様のお陰で終わりました。 オテリオス王国は、北の国々からクライドルト王国への中間地になりますので、外交ラッシュになってます。レセナ王女様とクレオル王子様の婚姻を邪魔する人はもういません。 それに新たに北オテリオス公国の建国が進んでいます』
アーセルが現状と北の動乱の終結までの説明をしている
『リベリアの英雄殿に喧嘩を売ったら終わりだと解らないのか? 愚かな』
王太子が呟く
『安心して良いのでしょうか?』
王妃が少し心配そうに呟く
『護衛もいますから、大丈夫です』
レセナが笑顔でウェンナーセとエリーセを見ている
『護衛が居ても心配ですよ』
『カミラさんが鍛えてくれましたから、オテリオス王国最強の2人です』
レセナが笑顔で言うと、ウェンナーセとエリーセが顔を見合わせている
(最強では無いです!! そんなに強くないです)
『そんな最強の護衛には見えませんけど・・・』
王妃が苦笑いしている
『カミラ殿か・・・因みに屋敷を護衛している騎士とどっちが強い?』
王太子が苦笑いして聞く
『まだ1本取れません』
ウェンナーセが慌てて言う
『屋敷に来る騎士には勝てるのか?』
『はい、勝てますけど、あのぐらい簡単です』
ウェンナーセが疑問そうに言う
『そうか、達人の腕前か・・・後で騎士団長と一騎討ちを見てみたい・・・エリーセは、魔法使いか?』
王太子が笑顔で言うと、王妃が驚いている
『はい、カミラ様とソリナ様に教えて貰ってます』
『アーセル師、どのぐらいの実力者だ?』
『そうですね、魔法使いランクBランクになります』
アーセルが笑顔で言う
『魔法使いランク?』
『クライドルト王国で、魔法使いの実力を確認の為に作られたクラスです。Bランクは魔法学院卒業生クラスですね、Aクラスは宮廷魔術師がほとんどです』
アーセルが笑顔で説明している。王太子が思い出しながら苦笑いしている
(あのレベルなのか? 最強の護衛だろうに・・・来年帰ってきたら驚かすつもりだったが・・・実力を見せて貰うか? お母様も安心するだろう)




