ヘルゼレス王国出発
ウンディーネ号の出航準備をしている
『マルス様、セレスバイン様が港で待っています』
海兵がマルスを呼びに来ると、メリアがマルスを見ている
『セレスバイン様が? あれ? メトリシア親書預かったのかな?』
マルスがメリアを見て聞く
『預かってないと思います。メトリシア様を呼んできます』
メリアが笑顔で言うと、歩いて行き、メトリシアを連れて戻ってくると、マルス達は小型魔導船に乗って港に向かう
『メトリシア様、こちらの親書をお願いします』
セレスバインが笑顔でメトリシアに親書を手渡している
『セレスバイン様、御父様に渡します』
メトリシアが笑顔で受け取る
『マルス様、メリア様、ガベラス王国とリオンド・ベラクード王国に行かれますか?』
セレスバインが笑顔でマルスを見ている
『メトリシア帰ったら世界旅行するから、寄ります』
マルスが笑顔で言うと、セレスバインの後ろの騎士が2つの箱を持っている
『一緒に親書を預けたいのですが、宜しいですか?』
『え! マルス師匠が小間使いに!!』
メトリシアが驚いて叫ぶ
『親書の配達の依頼ですか? 冒険者ギルドを通した方が良いのかな?』
マルスが考えながら呟く、メトリシアがマルスを驚いたように見ている
(え! マルス師匠が受けるのですか? 冒険者の仕事するの?)
『この場合、ヘルゼレス王国からの指名依頼です。対価はどうしますか?』
メリアが笑顔でセレスバインを見ている
『行くから、貸しで良いかな? 対価面倒だから・・・土地を貰ってくれとか、領地をとか、爵位何て要らないし・・・金貨も沢山稼げるから』
マルスが笑顔で言う
『そうですね。もし神聖王国が喧嘩を売ってきたら、後始末して貰いましょう』
メリアが笑顔で言う
『あーーーマルス師匠が企んでいます!! 』
メトリシアが嬉しそうに言う
『貸しの方が怖いような・・・』
セレスバインが苦笑いしていると、ヒストリアが箱を受け取る
『セレスバイン様これをどうぞ』
マルスが袋を差し出すと、セレスバインが中を見て微笑んでいる
『中輝石・・・すぐに買い取らせます』
セレスバインが笑顔で言う
『あげます。使わないから』
マルスが笑顔で言う
『マルス様、この場合献上です』
メリアが微笑みながらセレスバインを見ている
『もっと欲しいですか? いらない輝石いっぱい有りますから』
メトリシアが笑顔で言うと、セレスバインが考えている
『これで十分です。2ヶ月間毎日迷宮に入っていたのは知っています。それにヴァルファーから輝石受け取っていますから、大きさも解っています』
セレスバインが苦笑いして言う
『え! 残念です・・・邪魔な輝石あげたかったのに』
メトリシアが残念そうに言う
『何か作ろう』
マルスが笑顔で言う
『はい!マルス師匠、楽しみです』
メトリシアが嬉しそうに言うと、セレスバインがほっとしている
(やっぱり押し付けるつもりだったか・・・危ない、押し付けられたら倉庫が足りなくなりそうだからな・・・あのデカイ輝石を山にされたら、大変な事になりかねない・・・)
マルス達は、小型魔導船でウンディーネ号に戻っていく
『マルス、何の用でしたか?』
リリシャとルシアナが笑顔で出迎えてくれる
『親書の配達のお願いだよ』
『親書の? どの国ですか?』
『ガベラス王国とリオンド・ベラクード王国だよ』
『世界旅行のついでですね』
リリシャが微笑みながら言う
『世界旅行楽しみ』
ルシアナが嬉しそうに呟く
『帰ったら国王陛下に親書を沢山書いて貰おう』
マルスが笑顔で言うと、出航準備を始めている
ウンディーネ号が旋回して北に向かって動いていく
『セレスバイン様、この程度の事で済んで良かった』
ヴァルファーが見送っているセレスバインに言う
『ヴァルファーか・・・英雄殿が来訪したら、何か起きていたからな・・・重臣も安心しているだろう』
セレスバインが笑顔で言うと、馬車に乗って帰っていき、ヴァルファーがウンディーネ号を見ている
(オルガー、オリス、イース・・・強くなりすぎだぞ・・・英雄の弟子が人を育てるのは、反則のような・・・全員が達人なんてもう来ないで欲しい)
『ヴァル、何を考えているのですか?』
ヴァルサが微笑みながらヴァルファーの横顔を見ている
『英雄殿の来訪は大変と思っただけだ』
『本当にそうですか? あんなに高価な贈り物を貰えたのですから、恩返し忘れないようにしましょう』
ヴァルサが笑顔で言うと、ヴァルファーの顔が引き攣っている
『高価な・・・あれは反則だろう・・・一生遊んで暮らせる価値だ』
『あれだけあれば、村の子供達も大人になるまで養えますよ』
『え! ・・・まさか・・・そうなのか? 英雄殿ならあり得る・・・孤児を1人前に育てろと・・・言いそうだな』
ヴァルファーがヴァルサを見て呟く
王城に戻ったセレスバインは、国王に無事に出航した事を報告している
『その袋は?』
国王が騎士が持っている袋を見ている
『英雄殿からの献上です・・・中輝石です』
『中身を確認したのか?』
『全部はしてませんが・・・』
セレスバインが急に不安になって袋を見ている
『すぐに全部確認せよ』
国王が慌てて言うと、騎士が袋から輝石を出して並べていると、騎士の手が止まり、袋の中を見ながら目を見開いている
『どうした?』
セレスバインが不安そうに騎士に聞く
『え! この大きさ・・・』
騎士が大きな輝石を出して、セレスバインと国王に見せる
『献上か・・・』
セレスバインが苦笑いしている
『この間の輝石より大きいか?』
国王が苦笑いしている
『国宝が増えたのか? 1個だけなら良いか・・・』
セレスバインが呟くと、騎士が袋の中から結晶を出している
『その結晶は・・・まさか! 魔光石!!』
国王が目を見開いて叫ぶ
『大きい・・・どれだけの価値が・・・英雄殿はこれを集めていたのか? この大きさの魔光石見た事もないが・・・』
セレスバインが苦笑いしている
『国宝を2個献上されたのか? 対価は何か与えるのか?』
『え! 断られています・・・どうしたら・・・』
セレスバインが苦笑いしていると、騎士が袋の底から紙を取り出して、セレスバインに手渡している
『は? そんな事を・・・孤児院で浮浪孤児を立派に育てろとは・・・この価値なら可能だが・・・』
セレスバインが驚きながら手紙を読んで呟く
『褒美が子供達の育成か・・・国が考える事だな・・・セレスバイン、すぐに資金を用意して、孤児院を増やすように・・・対価でどのぐらいの子供達が助かるのだろうか?』
国王が苦笑いしている
『重臣達に伝えます』
セレスバインが重臣を呼び出して、輝石と魔光石を見せてから、孤児院の設立の指示を始めている。重臣達は、驚きながらも、輝石と魔光石の価値を算出する話し合いを始めている




