新しい槍、風天の魔槍
翌朝、ゆっくりみんなでくつろいでいると
『ミドルさんが来ました』
イリアが伝えに来る
『ミドルさんいらっしゃい』
『帰ったと連絡を受けましたので挨拶に来ました』
『ミドルさんも元気で良かったです』
『昨晩、馬用の馬具を貸し出ししてほしいと警備隊から連絡を受けましたので相談に来ました』
ミドルが言うと
『もうガシリオが漏らしたのですね』
『効果を確認したからですね。本当に3日で北の領主の町まで到着したのであれば、誰でもほしいですよね』
『そうだね!じゃあ作ろうか?』
マルスが言うとみんな微笑む
『その前にランプも作りましょう』
『あ!そうだね。だけど、その前にギレリムに槍を作って貰わないとね』
マルスがキリシアに言うと
『槍早くほしい』
キリシアが言う
『キリシアさんの槍ですか?どうかしたのですか?』
『ヴァンパイアに砕かれたの』
リリシャが言うと
『構造強化された槍を砕かれたのですか?』
ミドルは驚きながら言う
『魔法を消し飛ばされた様な感じだね』
『付与魔法が破られるなんて・・・・』
ミドルは驚きながら呟く
『そういえば、ギレリムから昔の槍を借りて、その間に作って貰おうか?』
『あ!それだ!!』
キリシアは笑顔になり家を飛び出そうとする
『キリシア待って!』
リリシャが言うと
『早く行こう!』
『急がないでも大丈夫だから』
リリシャがキリシアを説得して
『槍の方が大事そうですね。ランプを作るにも槍は必要ですから早く作ってもらってくださいね。あと出発前に頼まれていた難民の援助の件はわからない様にしておきました。』
『あー!内緒でしょミ・ド・ル・!』
キリシアは赤くなりながら言うと
『あ!すいません。聞かなかった事にしてください』
リリシャとマルスは微笑んでいる
『えーと・・・では失礼します』
ミルドはそう言って苦笑いしながら帰ると、キリシアは直ぐにギレリムの鍛冶屋に向かう
『ギレリムいるかな?』
『帰ってきたのか!』
『ギレリム、槍貸して!』
キリシアはそう言うと
『ん?どうした?』
『ギレリム、実は槍を砕かれて、キリシア用の槍が必要になった』
マルスが説明すると
『丁度良かったな!』
ギレリムは笑いながら奥に行き1本の槍を持ってくる
『ゴーレムの鉱石で作った槍だ!』
『ギレリム!!』
キリシアは喜んで槍を受け取り、微笑んでいる
『凄い喜び様だな!』
ギレリムも笑いながら言う
『ヴァンパイアに砕かれるとは思わなかったので、キリシア落ち込んでいたからね』
リリシャが言うと
『マルス、早く帰って付与魔法して!』
キリシアは帰ろうとする
『ギレリム、ランプの外装は出来ているのかな?』
『魔石の準備が出来たら持っていくぞ』
ギレリムは笑いながら言うと
『ありがとう』
マルスはそう言って帰ることにする
家に帰り、マルスはキリシアの槍の準備をする
『うーん、やっぱり魔力の通りが良いな』
マルスは呟きながら魔力制御を使って準備をしていき、準備を完了させる
『リリシャ、ちょっと確認して』
『マルス、もう準備できたの?』
『気合い入れたからね』
リリシャも魔力視を使い確認する
『大丈夫だね』
『久しぶりだから、ちょっとテストしてから書き込むね』
マルスはそう言って工房に戻る
『あのー見学して良いですか?』
エビリアとクレスタがやってきて言う
『良いよ』
マルスはそう答えてから魔方陣を発動させ、中魔石に魔方陣を書き込み、魔方陣の出来を確認する
『リリシャ、確認して』
マルスはリリシャに渡して確認してもらう
『完璧ですね』
リリシャは微笑み
『じゃあ槍に付与魔法するね』
マルスはそう言うと、槍を魔方陣の中に置いて魔方陣を発動させる。槍の魔石に魔方陣を書き込み始める
『リリシャ、出来たから確認して』
『いつも通り完璧ですね』
リリシャはそう言って魔力を通して槍全体に魔力が行き渡るのを確認する
『完成だね』
マルスはそう言うと槍を受け取り、振り回してみる
『キリシアに渡して使い勝手を確認してもらおう』
『そうだね』
リリシャも微笑む
『キリシア、槍の使い勝手確かめて』
キリシアは槍を受け取って、使い勝手を確かめる
『良い槍だね』
キリシアも微笑む
『良かった』
『名前は?』
『えーと風天の魔槍で良いかな?』
風天の魔槍の付与内容、中級構造強化、中級風属性、中級体力回復、中級生命力回復、中級腕力強化
『良いよ!』
キリシアは微笑み庭に出て行く
『あのーマルス師匠の付与魔法が凄いのは解るのですが、あの槍にはどんな付与をしたのですか?』
『鑑定してもらえば解るよ』
マルスは微笑みながら言う
『おそらく古代魔道具級ですから聞かない方が良いですよ』
リリシャが言う
『え?・・・私にもその内出来ますか?』
『無理ですね。私でもまだまだ不可能ですから』
リリシャが言うと
『そうですか・・・どのぐらい凄いのか解りません・・・』
『常識の範囲でしたら、フローネ先生に聞いてみると良いですね』
『解りました』
エビリアはそう言うと
『エビリアは魔力制御出来るようになったかな?』
『リシリアさんに教えてもらいましたから、出来るようになりました。』
『体の違和感は無くなったかな?』
『はい!本当に治りました。どうして治ったのですか?』
『体内の魔力が増えたのに、魔力を制御出来なかったから魔力が溜まり、体に異変が起きただけ。だから魔力制御が出来るようになったら治ったと言うことだよ』
『そんな原因なのですか・・・・』
『だからまだまだ魔力が増えれば魔力制御が必要だから、毎日やることが大事だからね』
マルスの言葉にエビリアは真剣に聞いている
『そんな事なら魔力制御ちゃんと教えてくれれば良いのに・・・』
『地味だからね。魔法研究している人は派手なことを求めるしね』
『そうですけど・・・』
『キリシアのあの調子だと、明日ぐらいから迷宮に潜りだすから、練習用の魔石を手に入れられそうだよね』
『間違いなく明日は迷宮ですね』
リリシャも微笑みながら言うと
『私も潜った方が良いのでしょうか?』
エビリアが言うと
『順番にやるから無理はさせないよ』
マルスが言うと
『それまでに魔力制御をもっと緻密に出来るようにしましょう』
リリシャが微笑みながら言う
『解りました』
エビリアが魔力制御を始める
『その程度で遊んでいるの?』
『え?・・・・魔力制御の訓練ですけど・・・・』
『ミリアいる?』
マルスはミリアを呼ぶとミリアがこっちにくる
『マルス師匠、呼びましたか?』
『ミリア、魔力制御の見本をエビリアに見せてあげて』
『はい!解りました』
ミリアは答えると、魔力制御を始める。右手に集めた魔力を左手に移動させたり、足に移動したり頭に移動させて魔力を自由に制御する
『ミリア、上手になったね』
リリシャは嬉しそうに言うと
『え?今のは何ですか?・・・・・魔力が色々な所に移動して・・・全て自由に動かすなんて・・・』
『制御が出来れば出来るようになるよ。努力次第だからね』
マルスが言うと
『まだまだ全然出来てないのですね・・・・・』
エビリアは泣きそうな顔で目に涙が溜まり始める
『ミリアやアニーに教えてもらえれば上達するね』
『はい!・・・ミリア先輩お願いします』
エビリアが頭を下げると
『え!えーーーーーー』
ミリアはぎこちなくマルスをみる
『ミリア、良かったね。年上の妹弟子が出来て』
マルスは笑いながら言うとリリシャも笑いだす
『私みたいな才能が無い人が教えるなんて無理です・・・・』
ミリアが涙目になる
『私からしたら、ミリアさんも凄い魔法使いです』
エビリアが言うと
『え!えーーーーーー』
ミリアが固まり
『私なんか魔法学院にすら入れないと言われる程の出来損ないですよ・・・・』
『ミリアは攻撃魔法と回復魔法が使える半人前の魔法使いだよね』
マルスが言うと
『え?攻撃魔法だけじゃなく回復魔法も使えるのですか?』
『はい!まだまだ師匠やエミール先輩の足元にも及びませんが』
ミリアが言うと
『既に宮廷魔術師並だと思いますが・・・・私は回復魔法使えないので・・・・』
エビリアが言う
フローネとリシリアがやってきて、クレスタも来る
『リリシャ、お邪魔するわね』
『フローネ先生、こんにちは』
『ミリアとエビリアが涙目になっていますがどうかしたのですか?』
フローネが言うと
『ミリアさんの魔力制御を見て、教わろうと思ってミリア先輩と呼んだら・・・・』
エビリアが言い
『魔法の才能が何も無いのに教えられないです・・・・』
ミリアが言うと
『ミリアさん、魔力制御見せてもらっても良いですか?』
フローネの言葉にミリアは魔力制御を始める
『はーーー、ミリアさん、あなたはマルスの魔力制御を学んで、どんどんマルスに似てきていますね・・・・』
『え?どうしてですか?』
ミリアが聞くと
『マルス!あなたはミリアまで宮廷魔術師級に育ててどうするつもりですか?』
フローネが言うと
『まだまだ半人前だよ』
『エミールの失敗をしたくないです。ミリア、常識の勉強をしますよ』
フローネはそう言うとミリアを見る
『え?どうかしましたか?』
ミリアが不思議そうに言うと
『ミリア、あなたは既に凄い魔力制御が出来ています。このまま放置したらエミールみたいに常識を知らない魔法使いになります』
フローネが微笑みながら言うと
『私は才能の欠片もない魔法使いですよ』
ミリアが言うと
『全てはマルスのせいです・・・・まさか!攻撃魔法も上達していますね!』
『はい!ファイヤーストームぐらいなら出来ます』
ミリアが自信を持って言うと
『・・・・・既に手遅れになっていないですよね・・・・本当に魔法学院入学前に無詠唱を覚えさせるつもりですか・・・』
フローネはマルスを見て苦笑いしている
『私なんか、そんな高等な魔法は使えるようにならないです』
『ミリアなら使えるようになるよ』
マルスが言うとリリシャが笑いだす
『え!えーーーーーー!』
ミリアが固まる
『ミリアなら、発動方法教えれば既に出来るようになっているよ』
マルスが微笑みながら言うと
『やはり本気だったのですね』
フローネは頭を押さえながら言うと
『マルスだから!』
リリシャが笑いながら言う
『仕方ないですね・・・』
『明日から迷宮訓練再開だろうしね』
リリシャが言うと
『はい!頑張ります』
ミリアが笑顔で言うと
『リシリアさんもエビリアとクレスタと一緒にやりますか?』
『はい、お邪魔でなければ!魔石もほしいので』
リシリアが答えると
『リシリア調子には乗らないように・・・・そうしないとあなたまで常識を失くしそうです』
フローネは心配そうにリシリアを見る
『怪我とかは心配しないのですか?』
リシリアが言うと
『この子達はほとんど怪我などしませんから、そっちは心配ないですね』
フローネが言うと
『あ!そういえば一度も攻撃を受けたこと無いです』
ミリアが笑顔で言うと
『え?まさか・・・・』
『近付いてきたらキリシアさんが全滅させてくれますから』
ミリアが言うと
『あの子も別格の達人ですからね・・・・』
フローネが微笑みながら言うと
『ゴブリンウォーリアを倒した後に弱すぎると叫んでいましたよね』
ミリアが言うと
『え?ご、ゴブリンウォーリアをですか?』
リシリアが驚きながら言うと
『オーガもザコと言っていたね』
リリシャが微笑んで言うと
『私でも倒せたからザコですよね?』
ミリアが真剣に言うと
『オーガを倒した!ミリアあなたの魔法で?』
『そうですけど?』
『短時間で・・・・宮廷魔術師クラスを育てるなんて・・・』
フローネは頭を押さえて呟く
『私はそんなに凄くはないです・・・・』
ミリアが言うと
『もうあなたの魔法を見るのが怖くなりました』
フローネが言うと
『師匠、大丈夫ですか?』
『大丈夫よ。リシリア、あなたは常識を忘れないでね』
『はい!師匠!』
リシリアがそう言う
その後みんなで魔力制御をする事にする