遺跡へ
森を戻りながら本陣に戻ると、騎士達は、まだゴブリンと戦っていた
『どうする?倒してくる?』
キリシアが言うと
『騎士達に任せてあげなよ』
『気になさらず。お好きにどうぞ・・・』
副団長の言葉を聞いて、キリシアは次々とゴブリンの頭を飛ばして進む、ルメイルも後を追って斬り捨てていく
『強い・・・近くで見て間違いなく強すぎる・・・・』
騎士は呟きながらついていく
『本当に全部倒すつもりなのか?』
副団長が言うと
『そのつもりでしょう』
ガシリオが言う
『本当に寝ている間の夜の警戒しかやることが無いのか・・・』『後は面倒な報告と調整ですね』
ガシリオが苦笑いしながら言う
『副団長に小間使いの仕事をやらせるとは・・・仕方ないが悔しい。騎士であのぐらい実力者が要れば・・・悔しいが育てられないとは・・・』
『ルメイルであの実力になるのですから、優秀な騎士ならもっと実力がつくでしょうね』
『あの若者か?』
『そうです。元警備隊隊員で、今はキリシア殿の弟子です』
『良い師匠に恵まれ、羨ましいな・・・』
副団長はそう言ってルメイルを見ている
『おかえりなさい』
リリシャが微笑みながら言うと
『雑魚ばかりだった』
『返り血は洗い流してから寝てね』
『マルス達は?』
『アニーが見ているよ。可愛い寝顔だよ』
リリシャが微笑みながらいうとキリシアは覗き込み微笑んでいる
『可愛いーずーっと見ていられる。ミリアも可愛い』
『良く考えたら2人ともまだ子供だしね』
『そうだね。しっかり睡眠取って貰おうね』
キリシアとリリシャは微笑みながら見ている
翌朝、騎士達はゴブリンの数を数えるために森を抜けていく
『凄い数だ・・・・』
『え?これって・・・・ウォーリア!』
『これって雑魚ばかりなのか・・・・』
騎士達は数を数えながら青ざめていく
『これを魔法で滅ぼしたんだよな・・・』
『とんでもない数だぞ!』
『あの短時間で・・・・』
騎士達は数え終わり、副団長に報告に戻る
『副団長報告します。昨日の戦果ですが・・・・』
騎士は副団長に次々と報告していく
『あれがウォーリアだったのか・・・丸焦げのウォーリアかオーガか解らないのが100体近くに、ゴブリンだけで1000体以上か・・・・』
『その通りです』
『やっぱり俺達は不要だな・・・・』
副団長がそう言って苦笑いする
『それを言ったら終わりです・・・だけど一匹も倒していないのも事実です・・・・』
『それ以前に足手まといだ!もしかしたら精鋭20人ぐらいを貸し与えるだけでゴブリン殲滅して帰ってくるだろう・・・・』
『確かに数はいらないですね・・・・』
騎士も肯定して
『もし、昨夜奇襲を受けていたら、間違いなく全滅していたしな・・・昨夜、ゴブリンを見逃した時点で終わっていた・・・』
『それを言われたら・・・・本当に夜の警戒すら出来ていないと言うようなものです・・・』
『帰ったら騎士団の再編も必要だな・・・有事に役に立たない騎士などいらないからな・・・・』
副団長が言うと
『正に今回、露呈していますね』
『同行する騎士を数名選んでおいてくれ』
『畏まりました』
『騎士がリベリア警備隊よりも弱いんだから、本当に報告要員だがな・・・・』
副団長はリベリア警備隊に負ける騎士達を思い浮かべて溜め息を吐く
『何故でしょうか?』
『リベリア警備隊は、キリシア殿に一撃を与えるために、凄い訓練の鬼になっているとガシリオが言っていたが、本当だろう・・・』
『修練次第で強くなるのは解りますが、何をしたのでしょうか?』
『この件が片付いたら、お前にはリベリア警備隊に出向して体験してきてくれないか?』
副団長は真剣に伝えると
『了解しました』
騎士は頷きながら答える
『副団長、相談があります』
ガシリオがそう言うと
『遺跡に入ってみるつもりだろう』
副団長は答える
『そうだよ』
キリシアが答えると
『報告要員に騎士を連れてって欲しいが、良いか?』
『多いと行動しにくいから2人ぐらいかな?』
『出来れば3人は連れてって欲しいが・・・』
『わかった』
キリシアが答えて
『直ぐに向かうのか?』
『連れていくから、後で報告は全部やってね。面倒だし』
キリシアは笑いながら言う
『勿論、そうさせて貰うつもりだ』
『じゃあ直ぐに行こう』
『遺跡の入り口まで騎士達に案内させる』
副団長はそう言って指示を飛ばす
ゴブリンの足跡を見ながら進み、遺跡に到着すると
『間違いないね。ゴブリンの見張りもいるしね』
『他にも入り口が有りそうだね』
『じゃあ手っ取り早く倒して中を見てこよう』
キリシアそう言って見張りのゴブリンに突撃しようとするが
『・・・・ファイヤーアロー』
リリシャとマルスの魔法でゴブリンを吹き飛ばす
『キリシア、行こう』
マルスが言うと
『言われなくても突入するよ』
キリシアは微笑みながら入り口に向かう
『やっぱり暗い』
『持ってきておいて正解だね』
リリシャが言うと、みんなランプを取り出し、アニーとミリアと警備隊隊員とリリシャが持って、アニーは袋から出した小さな魔石を配る
『短時間ですが、この魔石を発動すれば輝きますので戦闘時に使ってください』
『こんなものまで用意していたのですか?』
騎士はそう言いながら受けとる
『付与魔法の練習で出来たものなので、使い所が無いものです』
リリシャが説明すると
『私達は・・・・何も用意していない・・・ありがとうございます』
『騎士団は行き当たりばったりで後手ばっかりだね』
キリシアが言うと
『ここまで何も用意していないとは、副団長も苦労しているな』
ガシリオが苦笑いしながら言う
『増援に来たのに、ポーションも何も持ってなかったからね』
『うっ!それを言われると辛いです・・・』
騎士は苦笑いしてガシリオを見る
『キリシア殿達は全て想定の範囲内で戦っているから、準備万端になっているが、騎士団はまるで想定が出来ていない!』
ガシリオが言うと
『ゴブリンロードまでは考えてない・・・』
騎士は言うと
『キリシア殿達はどこまで想定していますか?』
『最低でもヴァンパイアが一匹以上かな?』
キリシアが 微笑みながら言う
『え!!ヴっヴっヴァンパイア!!』
騎士達は持っていたものを落として呆然とする
『だからこの剣を用意していたのだな!』
ガシリオは笑い、警備隊隊員達は苦笑いする
『ゴブリンを操れる者は後は魔族とか?』
リリシャが言うと
『嘘だろ・・・・そこまできたら対応不可能だ・・・・』
騎士達はどうしたら良いか解らず、立ち尽くす
『想定だから外れる方が良いよね』
マルスが言う