ゴブリン夜襲
『ん?』
『どうかしたの?』
『今、サーチに魔物反応が有ったけど、すぐに北に向かって消えた』
『もしかしてゴブリン?』
『可能性は高いと思うよ』
マルスが言うと
『ガシリオから北側を見張っている人に確認して貰おうか?』
『そうだね。もし足跡や痕跡が残っていたら今夜か明日、攻撃に来るからね』
キリシアにマルスが回答すると、キリシアはガシリオの所に行く
『ガシリオ、お願いがあるんだけど』
『どうかしたのか?』
『マルスが北側で気配を感じたと言っているんだけど、ゴブリンの痕跡が無いか確認して貰っても良いかな?』
キリシアが言うと
『解りました。確認して貰います』
『ありがとう、ガシリオ。もし有ったら今日か明日には襲ってくるから大切な確認になるよ』
キリシアが言うと
『後手に回らないようにしませんとな』
『よろしく』
キリシアは微笑みながらガシリオを見送る
『こっち側でゴブリンの気配を感じたが森の辺りを確認してくれますか?』
ガシリオが言うと
『は?なんだそれ、自分で見てこいよ!何で騎士の俺達に言うんだ!』
騎士はそう言ってガシリオを追い返す
『では、副団長から直命を出して貰うので準備しておいてください』
ガシリオがそう言って副団長の下に向かう
『お前なんかの言うことに耳は貸さないと思うがな!』
騎士はそう言って追い返す
『副団長、よろしいですか?』
『ガシリオ、どうした?』
『実は、マルス殿が北側でゴブリンの気配を感じたので、念の為、北側の調査をお願いしたいのですが・・・・』
『本当か?マルス殿なら間違いないだろう!討伐の際に、次々とゴブリンを見つけていたからな!』
『しかし、直接北側の騎士にお願いしたのですが、自分からの依頼は聞かないどころか、自分で見てこいと言われたのでこちらにお願いに来ました』
『何だと!ガシリオを追い返したのか!!どいつだ!』
副団長は怒りながら立ち上がり、数人の騎士を連れて確認に向かう
『あの者達ですが、多分あの者達では、見に行っても何もならないでしょうね』
ガシリオが言うと副団長は苦笑いする
『自分達で見た方が良いな!見ていて腹が立つ!』
副団長は騎士の様子を見てからそのまま前線を監視している兵士の下に向かう
『森の付近で何か見えなかったか?』
『先ほど騎士様に伝えましたが、森の付近で動いた様に見えましたが、それ以降は何も!』
兵士が答えると
『まさか!』
副団長は、数人の騎士とガシリオと一緒に森の付近を確認する
『あ!足跡!数人はいたと思われます!』
騎士が言うと
『こんなのを見落としていたら大変な事だぞ!!』
副団長が言うと
『夜通し戦闘準備と巡回させた方が良いですかね』
ガシリオが言うと
『確かに必要だな!お前達はどう思う?』
『三人一組で20組、等間隔で配置と巡回部隊を配備しましょう!』
騎士達はそう答える
『あの馬鹿どもを最前線だな!森の一番危険な所にしてやれ!』
副団長は笑いながら言うと
『了解しました!』
戻りながら兵士に
『ご苦労!しばらく任せるが、近くにゴブリンが来ていたから直ぐに部隊を配備する!』
騎士が言うと
『え?まさかあれが間違いでなかったのですね』
『もう少しで痛い目に遭うところだった!これからも監視してくれ!』
副団長が言って騎士達の下に向かう
『何をしている!!!馬鹿者!』
『ふっ副団長!』
『お前達が見逃したから見てきたが、間違いなくゴブリンが接近していたぞ!!馬鹿者!!貴様達何様だ!!!』
『え!申し訳ありません』
『今夜来るかも知れないから直ぐに迎撃態勢に移る。準備せよ!』
副団長が言うと
『周りの部隊も集めました』
騎士が言うと
『直ぐに配備せよ!』
副団長の側近達は直ぐに兵士と騎士を配備する
『副団長、報告します。再配備完了しました』
『ご苦労』
『使い者にならなそうなのを外側に置いておきましたので、ゴブリンと遭遇したら逃げ出すと思われます』
『まさかな!』
『対ゴブリンの戦力は中央の五百人です』
『だと良いんですけど・・・・』
騎士は苦笑いする
『騎士団の再建が大変だな・・・・』
『ごっゴブリン!』
ゴブリンを見つけた騎士は直ぐに逃げ出すと
『何故戦わない!』
『馬鹿か?なんで騎士である俺が戦うんだ!兵士に任せておけばいい!!』
『貴様!』
『ギャァーーー』
ゴブリンに刺されて倒れこむ騎士を無視して逃げ出す騎士達と兵士を追いかけるゴブリン
『副団長!ゴブリンの襲撃です』
『状況は?』
『前衛は逃げ回っています、中衛が今、戦っています』
『は?・・・・このままだと危険だな!』
『その通りです。本隊でゴブリンと戦いましょう!』
『よく聞け!ゴブリンごときに遅れをとるな!確実に仕留めて進むぞ!!』
『おう!!』
副団長の檄に兵士達は進み、ゴブリンに襲いかかる。そして、連携を取りながら次々とゴブリンを討ち取っていくが、ホブゴブリンが現れ、押され始める
『副団長!お下がりください』
『このままでは・・・』
騎士が副団長を後ろに逃がそうとするがホブゴブリンは両断されて倒される
『何が!・・・・』
騎士は驚き、次々と倒されるゴブリンを見つめている
『雑魚ゴブリン面倒』
『キリシア一度下がって、雑魚は兵士に任すよ』
リリシャがキリシアに言うとキリシアは後ろに下がる
『あの程度、キリシア殿達にとっては余裕か・・・・』
副団長は呟きながら、キリシア達の元に向かう
『キリシア殿ありがとうございます』
『苦戦したら教えてね』
『了解しました』
副団長は頷き辺りを見渡す
『副団長、前に出ては危険です。お下がりください』
騎士が言うと
『馬鹿者!ここが一番安全だ!』
『え?何故ですか?』
『キリシア殿達であれば、ゴブリン等敵じゃ無いからな』
ガシリオが言うと
『ちょっと大きな一団が来るね』
マルスが言うと
『どっちから?魔法で殲滅する?』
『あっちだね、ファイヤーストームでやっちゃって』
『・・・・ファイヤーストーム』
リリシャは魔法を放ち、火の柱が立ち上がる
『何だ・・・・・あの大きさは・・・・・』
騎士は呆然と立ち尽くす
『明るくなってゴブリンを倒しやすいかな?』
『そうですね・・・・火で照らされて、ゴブリンがよく見えます』
副団長はそう言うと
『ファイヤーアローでゴブリンを焼きながら進もうか?』
マルスがいうと皆頷く
『兵士達に我らについてこいと伝令だ!』
副団長の言葉に騎士達は伝令を伝えに走り回る。マルス達は森を突き進み、森を抜けると、そこにはゴブリンが大量にいる
『なんだ!この数は!!』
『全部焼き払おう』
『出力最大で焼き払うよ』
マルスの言葉にリリシャは頷きながら言うと
『・・・・ファイヤーストーム!!!』
巨大な火の柱が次々とゴブリンを焼き払う。そしてマルスとミリアも魔法を放ち、左右に火の柱が立ち上がる
『なんだ・・・・・』
副団長と騎士達は立ち尽くす
『あ!いただき』
キリシアは、見つけた大きなゴブリンを一撃で首を飛ばして倒す。そして周りを見渡すが、獲物がいないのを見てから戻ってくる
『全部焼き尽くした?』
『後は森の中のゴブリンだね』
『副団長、どうかした?』
『え?あの数を全滅させたのか?』
副団長は見渡しながらいう
『副団長、私は幻を見ているのですか?焼け焦げたゴブリンが無数に見えます・・・・』
騎士は言うと
『夢では無い・・・・現実離れした魔法だ・・・リリシャ殿の魔法はあり得ない威力だった・・・・』
『雑魚は雑魚だからね』
キリシアが微笑みながら言うと
『もしかして、私達は必要無いのか?』
副団長が聞くと
『んー足手まとい!』
キリシアが答えると副団長は苦笑いしている
『確かに足手まといだな!まだ剣抜いてないしな・・・・』
ガシリオが言うと
『確かに何もしていない・・・・それどころか助けられて後ろをついてきただけ?』
副団長は苦笑いしながら周りの騎士達を見る
『副団長・・・それを言ったら終わりです・・・・』
騎士が言うと
『だから戦わず、事後処理と報告だけしておけばいい、だ』
ガシリオが言うと
『確かにその通りだったな・・・・もう前に出ようとしないようにしよう・・・』
『副団長・・・それ言ったら、何故私達はいるのですか?』
『それはただの夜の警戒の頭数の為だな!』
ガシリオの言葉に副団長と騎士達は立ち尽くす
『話は終わった?また雑魚が集まってきたけどどうする?』
キリシアが言うと
『嘘だ・・・ホブゴブリンがあんなに・・・』
騎士達は絶望的な表情になる
『じゃあ行ってくるね』
キリシアは微笑みながら言うと歩き出す
『1人で良いの?』
マルスが聞くと
『私の獲物!』
キリシアは微笑みながら答えて手を振っている
『え?1人でやるつもりなのか!!』
副団長が言うと
『そのつもりみたいですね』
マルスが答える
『・・・・・・可能なのか?』
『あの程度なら余裕かもね』
マルスの答えに副団長はキリシアを凝視している
『グァオーーー!』
キリシア目掛けてホブゴブリンが突撃してくるが、キリシアは槍に闘気を纏わせて、次々と両断や貫きながら進み、襲ってくるホブゴブリンがいなくなると、キリシアは周囲を見渡して、獲物を見つけ次第倒しながら進む
『もういない・・・つまらない』
キリシアは呟きながら戻ってくる
『キリシア、お疲れさま』
リリシャが微笑みながら言うと
『弱すぎる。雑魚しかいなかった』
キリシアが言うと
『馬鹿な!ホブゴブリンの大群だぞ!』
副団長が言うと
『相手にならない!まだ警備隊隊員と訓練した方が楽しい』
キリシアが笑いながら言う
『ガシリオ、どんな訓練をしたらこんなに強くなるのだ!』
副団長はガシリオを見ると
『20階層を毎日殲滅して帰ることですかね?』
『は?・・・・常識外だ・・・これを見たら信じるしかないな』
副団長は周囲を見ながら言う
『じゃあそろそろ戻って寝ようか』
マルスが言うと
『そうしましょう』
リリシャが微笑みキリシアを見る
『えーーまだ倒したりないよー』
『雑魚しかいないのだからいくら倒しても満足しないでしょ』
『そうだけど・・・』
キリシアは文句を言いながら戻ることにする