騎士団の逃亡者達
翌日、領主と副団長は、追加の討伐報告を騎士団長向けに使者を出すことにした
『領主殿、使者の方ありがとうございます』
『副団長殿、今は戦力が必要ですから、戦力にならない兵士に任せるのが1番です』
『冒険者殿は、やはり強いですね』
『本気を一瞬見ましたが、最早、団長以上の強者です!』
『若者に戦場を任せるのは心が痛みますが・・・頼むしか有りませんからね』
『騎士としては、前線で戦うのが当たり前ですが・・・悔しいが、私以上の強者を目の前にしては、あの者達が出来ない事をやるべきと思っています。しかし、逃亡した馬鹿どもをどうにかしないといけないです』
『何のために騎士になったのですかね』
『残念ながら、権力と名誉の為ですね』
『冒険者殿と正反対ですね』
『誠に残念で申し訳ありません』
『リベリアの他の冒険者も、町中の巡回に…昨夜も別の門の警戒に集まっていました』
『逃げた騎士より優秀かもしれないですね』
副団長と領主が話していると
『領主様、騎士団と魔法師団員が戻ってきて、早く門を開けろと騒いでいます』
兵士が報告にくる
『戻ってきただと!!』
『待たせるように』
副団長は怒り、領主は冷静に兵士に命令を言う
領主の下にみんな集まって話し合いをする
『逃亡した騎士団と魔法師団員が南の門に現れました。そして開門を要求しています』
領主が言うと
『すぐに捕らえて王都に送るべきだ!』
副団長が言うと騎士達も頷いている
『どうせならば、更に罪を確定してから捕まえれば』
キリシアが言うと
『何故だ!』
『罪状は直接見ていないでしょ。言い逃れされちゃうよ』
『そんな事・・・・・』
『中には貴族もいるんでしょ』
『そうだな・・・・』
キリシアの言葉に副団長は周りを見る
『どうする?』
ガシリオが言う
『ガシリオと冒険者と兵士で迎え入れて、権力をかさに言ってくるのを待つ!出来れば暴力と略奪するのをね』
キリシアが言うと
『そんな事しないだろう・・・』
『したらどうなる?例えば国王の命令だとか騎士団の命令とか言って反逆者だとかね』
『それは・・・』
『更にガシリオに騎士団長と副団長の命令で君達には権限は無いと言った上で外で待機を命ずるとか、指揮下に入る命令書を無視させるとかね』
『命令違反は重罪だ!』
副団長は言うと
『命令書、よろしくお願いします』
キリシアがニッコリすると
『今から書きます』
副団長はそう言って命令書を作成する
『じゃあ準備しよう?』
キリシアは笑顔で言うとみんなニンマリ笑っている
『この指示書も使いますか?』
ガシリオは命令書を騎士達に見せる
『騎士団長の指示書!それも前線全指揮権譲渡!!』
騎士達は笑う
『ガシリオ、完璧!!』
キリシアが言うと副団長は苦笑いして
『団長の言っていた対策ですね・・・』
『そう言うことですね』
ガシリオが笑いながらみんなを見る
『使う気無かったでしょ』
キリシアが言うと
『当たり前です。面倒だから!』
ガシリオがマルス達を見回して言うとみんなが笑いだす
『キリシアに感化されたな!』
ゼタルが大笑いする
すぐに門の周りに冒険者と兵士を集めて門を開ける。そして騎士団と魔法師団が入ってくる
『何故早く開けない!!反逆罪にするぞ!!!』
騎士の先頭の奴が言う。そして
『そこをどけ!道を開けろ!!命令だ!』
騎士達はそう言いながらくる
『あなた方にその権限は有りません!』
ガシリオが言う
『何だと!!貴様!反逆罪だ!!』
騎士は逆上していう
『騎士団長及び騎士団副団長より前線の全指揮権限は私が持っています』
ガシリオは団長の命令書を掲げる
『馬鹿な!!ふざけるな!』
『騎士団団長の名代として命ずる!門外で待機せよ!明日の作戦も追って命ずる』
ガシリオはそう言って門から出ていくように命令する
『貴様の命令など聞けるか!!』
『聞かないのであれば!命令違反で拘束及び懲罰とします!!』
ガシリオが宣言する
『命令書を見せろ!』
先頭の騎士はそう言って副団長の命令書を受け取り見てから破り捨てる
『これで命令書は無くなった!ワハハハ』
そう言ってガシリオ達に剣を向けて
『こいつらを反逆罪で捕らえろ!!殺して構わない!!』
ガシリオと冒険者に襲いかかる
『あーあ、命令書を破っちゃった。これは犯罪ですね!更に剣を向けて襲った時点で反逆罪?』
キリシアが言うと
『そうなります』
ガシリオが苦笑いする。襲ってきた騎士達は冒険者とリベリア警備隊に無力化されていくが、魔法師団員が魔法で警備隊隊員に攻撃をする
『この者達を反逆罪及び騒乱首謀及び殺人未遂及び公文書損壊罪及び命令違反で捕らえよ!!』
ガシリオが言うと、キリシアとマルスが次々と倒していき、全員ロープで縛る
『貴様!!こんなことしてただでは済まさない!!』
騎士が言うが
『私が全部確認した!!この馬鹿者共!!』
副団長は怒りを押さえながら怒鳴る
『何だ貴様!偉そうなことを!!』
『お前達、副団長に向かってその言いぐさ、許さん!』
愚かな騎士に言うと
『何故副団長がここに・・・・』
『お前達の罪は厳正に処分する!その前にお前達が持つ全ての権利と権限を剥奪する!全員牢屋にぶちこんでおけ!!』
副団長が言うと全員を連行していく
『副団長、大変だね。馬鹿ばっかりで』
キリシアが言うと
『ここまで馬鹿とは思いませんでしたが、厳正に処分します』
副団長が言う
『貴族から横やりが入るでしょ?』
『そうですね・・・』
『それならこれも使う?』
キリシアは手紙を見せる
『ハハハ・・・・これは正式にリベリア領主とリベリアギルドに報告義務ですね』
副団長は苦笑いする
『必要なら、ですよね』
『これを出されると騎士団とは言え正式に取り調べ報告をしなくてはいけませんから、秘密裏に処分が出来ません。逆を言うと貴族が処分を取り消す工作をしたら、それについての正式調査が必要ですから、それを公表する必要が有ります。』
副団長が言うと苦笑いする
『バイルから献上している献上品を取り消しにされたら、国王陛下に報告書を提出する必要があるからな』
ゼタルが言う
『追加で、自分達の魔石を魔術師団に回らない様に要求しますね』
リリシャが言うと
『その手もありか・・・・ワハハハ』
ゼタルが笑いだす
『何ですか?魔石の流通停止?』
『自分達が取ってきた魔石はギルド経由で流通しますが、買取り先を削除するだけです。魔法師団や宮廷魔術師は、それにより魔石を手に入れられないだけですから!』
副団長にマルスが言うと
『リベリアからの魔石の一部流通が止まると言うことですね』
『そうだな!だが中魔石以上が1つも回らなくなり、魔道具が作れなくなるだけさ』
ゼタルが言うと
『は?1つも回らない?まさか中魔石を取ってくるのはキリシア殿達だけなのですか?』
『そうだ!』
ゼタルの回答に
『キリシア殿達を敵に回す魔術師は、魔道具作成不可能になるのですね。貴族とはいえ、圧力をかけても、今度は国王陛下から報告書の提出義務を課せられ、圧力をやめないといけないと・・・絶対敵対したくない相手ですね』
副団長は笑いだす
『しかし有効だ!横やりを入れてきた貴族には使わせてもらいます。貴族にこれ以上に有効な攻撃は有りませんからね』
『じゃあ脅しに使ってね』
キリシアが言うと
『了解しました。どんな圧力にも屈する事はしません』
『これを使って首謀者を取り調べる?』
キリシアがギルドカードを見せる
『それは面白い!余罪すべて吐かせるのは良いですな』
ガシリオが笑いだす
『どうしたと言うのだ?ガシリオ!』
『人格破壊されて重罪人程、2度と牢屋から出て来なくなるぞ!そのぐらいの拷問になるぞ!だから最終手段に使うことだ!!』
副団長は疑問に思いつつガシリオを見ている
『内容は知らない方が良いぞ!見たら2度とリリシャと目を合わせたく無くなるぞ!』
ガシリオが言うと
『ガ・シ・リ・オ・どういう事かしら?』
リリシャが言うと
『え?・・・・・すいませんでした』
ガシリオがリリシャに頭を下げる。ガシリオの姿を見て副団長は苦笑いしている