アリシアと伯爵家 前編
ウンディーネ号を先頭に、護衛艦が軍艦を曳航して進み、伯爵領の町が見えてくる。港には数隻の軍艦や交易船が停泊しているのが見えている
『あれ? まだ気が付かない様です』
エビリアが双眼鏡で覗きながら言う
『先手必勝かな?』
マルスが笑顔で言う
『えーーーーー 折角ゆーらゆら、やれそうなのに』
リリシャが笑顔で言う
『船員乗ってなくても、すれば良いよね? この際全部の船を奪おうかな?』
マルスが笑みを浮かべると、外に出ていく
『マルス師匠、一緒に行きます』
エミールが慌てて追いかけていくと、リリシャとミリアとエレーヌが後を追いかけていく
『出番は無しか・・・』
キリシアがつまらなそうに言うと、エビリアとクレスタが笑っている
マルスがエミールとエレーヌ3人で魔導バイクに乗り、リリシャとミリアが2人で魔導バイクに乗って疾走していき、港に近付くと、マルスは剣片手に次々と船を繋いでいるロープを斬っている
『沖に持っていきますね』
リリシャ達が微笑みながら、アクアコントロールを使い船を動かして、沖に向けて流していく
マルスが全ての船のロープを斬り終わり、魔導バイクで沖に向かうと、港には多くの兵士が集まり、呆然と見ている
『マルス師匠、人が数人乗ってますね』
エミールが船から弓矢で狙っている人を見ながら言うと、エミールがバリアを張って放たれた矢を防いでいる
『ゆーらゆらしている間に、アリシア様にお仕置してきて貰おう』
マルスが笑顔で言う
『マルス師匠が乗り込んだら、瞬殺になりそうですけど』
エミールが笑いながら言う
『ギャーーーー!』
マルスがアクアコントロールで船を揺らしながら、運び始める。船から悲鳴が聞こえてくる
『お兄ちゃん、やりたい』
レティナが客船から身を乗り出して笑顔で言うと、クリスとイリアとミーレスとシーリスとサトメルとリリアが笑顔で見ている
『レティナちゃん、交代でやってくださいね』
リリシャが微笑みながら言う
『レティナちゃん、始めましょう』
メトリシアが微笑みながら言う
『はーい、王女様』
『え! 御姉様と呼んでも良いのですよ』
メトリシアが期待したように言う
『メトリシア王女様です』
レティナが笑顔で言うと、イリアとクリスとシーリスとリリアがメトリシアを見ている
『お願いだから、御姉様と呼んで』
『えーーー うーーん メトリシア王女様です』
レティナが笑顔で言うと、レセナ達が笑っている
『そんな・・・お願いだから』
『やっぱり、メトリシア王女様です』
『ケニスーーーーいじめる』
メトリシアががっかりしながら言う
『メトリシア様、王女様なので仕方ないです。レティナちゃん、身分関係なく、メトリシア様と接して下さいね』
ケニスが微笑みながら言う
『はーい、ケニス御姉様』
レティナが笑顔で言うと、メトリシアを見ている
『え! ケニスまで御姉様と呼んでくれるのですか! レティナちゃんお願いします』
メトリシアがレティナを見つめて言う
『メトリシア王女様です』
レティナが笑顔で言うと、メトリシアが泣きそうになっている
ナディアが割り振りをして、レティナとシーリスとイリアが船を揺らし始めると、クリスとミーレスは、アクアコントロールの練習を始めている。マルスは、護衛船に飛び移り、アリシアとレオナルオと打ち合わせをしてから、軍艦を港に向けて、アクアコントロールで動かしていく
『ウルシナ公国公太子レオナルオである。反逆者達よ、容赦はしない! 大人しく罰を受ける者は武器を捨て、投降せよ』
レオナルオが大声で言うと、港に集まった兵士達は、弓を構えている
『力の差を知りなさい! 海兵蹴散らしなさいですわ』
アリシアが大声で言うと、海兵が6人飛び降りて、桟橋から歩いていく
海兵達は、矢をかわしながら進み、持っている金属の棒で兵士達を殴り、弾き飛ばしていく
『え! あれが海兵? 強すぎる』
レオナルオが青ざめている
『ゼオン海兵隊は、マルス様の門下ですわ!雑魚相手で負けませんわ』
アリシアが笑顔で言うと、レオナルオは周囲の海兵を見て苦笑いする
火の玉が海兵に向けて放たれると、海兵達はかわし、兵士に近付いていく
『魔法使いですね・・・実戦は初めてですが、取り敢えずパンシーで無力化してください』
アーセルが微笑みながら言う
『行ってきます』
宮廷魔術師2人が歩いていく
『・・・・パンシー』
『・・・・パンシー』
宮廷魔術師達が次々と魔法を放って、魔法使い達が次々と倒れていく
『レオナルオ様、もう少しで終わりますわ。兵士に拘束をお願いして下さいですわ』
アリシアが笑顔で言うと、レオナルオが唖然とアリシアを見ている
(簡単に無力化・・・実力差がありすぎる。これがクライドルト王国の実力なのか?その気なら、我が国は簡単に占領も・・・)
レオナルオがウルシナ兵に指示を出して、兵士達が拘束を始める。町中の住民達は、不安そうに見ている




