アーメルド観光とスリ
宿屋に戻り、町中を観光することにする
『エビリアとクレスタは、こういう風に観光するのは初めてかな?』
マルスが言うと
『交易都市は初めてです』
『行きたい所は無いのかな?』
『船が見たいです』
エビリアが言う
『交易船?』
『いつか、旅をしたいです』
『旅が好きなの?』
『色々な物を見るのが好きです』
エビリアは頷きながら言うと
『商人にも憧れていたよね。だから付与魔法を勉強して、旅先の旅費稼ぎにするって言っていたよね』
『しー!クレスタ!』
エビリアの言葉にクレスタはしまったという顔になる
『クレスタは何故、魔法使いに?』
『一族皆魔法使いなので、子供の頃から魔法使いになることを決められていました』
『本当は何になりたかったの?』
『え?・・・・・無いです』
『え!無いの?本当に?』
マルスはエビリアをチラッと見ると
『クレスタは裁縫が好きだったよね?』
『だけどそれじゃあ・・・魔法使いに必要ないから・・・』
『服、作ってみる?』
『え!だけど魔法使いに必要ないですよね・・・』
『作った服に付与魔法で付与すれば、いい服が出来るよね』
『そうですけど、私は刺繍が好きなので・・・』
クレスタが言う
『刺繍かー!趣味にするしか無いか・・・』
マルスは苦笑いするとリリシャが笑いだす
『マルスの商才でも何も考え付かないとはね』
『思い付かなかった』
『あのー、リリシャ様はどんな魔法が得意なのですか?』
エビリアが言うと
『今は攻撃魔法と回復魔法と付与魔法もかな?』
『え?全部ですか?』
『そうですよ』
リリシャが言うと
『凄いのです・・・・あ!回復魔法で助けてくれたから凄いのは間違いないですよね』
『師匠達は別次元の実力です』
ミリアが言うと
『リベリアに戻ったら、凄さがわかります』
アニーが言う
港を見ながら、出店で色々見ながら、買い食いしながら歩いていくと、キリシアにぶつかって来た子供がいた
『すみません』
子供はそう言って走って行こうとするが、キリシアが捕まえて
『盗みはダメですよ』
『くそーー!放せ!』
取られた財布を見つけてから
『詰め所に突き出そうか?』
『頼むからそれだけは・・・・』
涙を浮かべながら言うが
『罪はちゃんと償いなさい』
キリシアがそう言って、そのまま詰め所の方角に歩き出す
『許してお願いしますーー!!!本当に反省していますのでお願いします』
声に兵士がやってくる
『どうした!』
『スリね!どうしましょうか?』
『小僧・・・またお前か!』
『ごめんなさい、許してください!もうしませんので!!』
『とった財布を返しなさい!』
兵士が言うと
『これです・・・ごめんなさい』
キリシアは受け取り
『金額によって許すか決めるのですが・・・』
『中、確認していいよ』
キリシアが言うと、兵士は財布の中を見て
『嘘だろ・・・・・こんな大金!』
『今日は少ない方ですよ』
キリシアの言葉に兵士は怪しみながら
『この金はどこで!』
『冒険者だから、迷宮でですよ』
『冒険者がこんな大金持っているはず無い!ちょっと詰め所まで来てくれ!!』
兵士はそう言って詰め所に向かい、中でキリシアを問い詰め始める
『この金はどこで盗んだ!!言え!!』
『冒険者だから、ギルドに確認すればわかるでしょ!!』
『何だと!!どこで盗んだ言え!!』
『こんなことしてただで済むの?』
『何だと!!小娘!拷問してもいいんだぞ!!!こら!』
『領主とギルドに、許可を先にとってきな!!』
『この!!許さんぞ!!』
兵士はそう言うが上官がきて
『この者達が大金を所持していたのだな!』
『その通りです!絶対盗賊です!!』
兵士がそう言う
『これは盗んだ物か?』
『冒険者だから迷宮で稼いだ物です!何度言わすの?冒険者ギルドに聞けば解るはずですよ!こんなことをして領主とギルドが許さないとは思いますけどね!』
『ギルドカードを確認したのか?』
『え?していません・・・』
上官の言葉に兵士が答えると
『ギルドカードを提示してください』
キリシアはギルドカードを提示する
『え!シルバークラス!!リベリアのキリシア様!』
上官は顔色を変えて兵士を睨みつける
『え?どうかしましたか?』
『リベリアのシルバークラスの冒険者なら持っていても可笑しくないですね!念のためギルドに確認しても良いですか?』
『いいですよ!さっきまで一緒に領主に会っていたから、まだ領主の館にいるとは思いますけどね!!』
『え?領主様と面会されていたのですか?』
『そうですよ!!そこの馬鹿兵士は許しませんから!!』
キリシアの言葉に上官は兵士を見ると外にいる兵士に伝言して戻ってくる。そして、しばらくしてギルドマスターと隊長がやってくる
『キリシア様、我々の兵士が無礼と盗賊としての扱いをしてしまい、申し訳ありません』
隊長がそう言うと
『大金を所持しているだけで捕えて、盗賊だと決めつけての取り調べは絶対してはいけないことです』
ギルドマスターが言う
『え!・・・・・・』
兵士は青ざめていく
『この兵士も愚か者と同じ刑にする?スリの子供を何回か逃がしているみたいだしね』
キリシアが言うと
『え!・・・・それは少額で・・・だから牢屋にいれる必要が無いから・・・』
『今回は?』
『えーと・・・・』
兵士は言葉を詰まらせて
『どうした!はっきり言え!!』
隊長が怒鳴ると
『・・・・・・』
『おい!まさか逃がしたのか?お前は!!』
上官が言うと
『すいません・・・・』
兵士が認める
『馬鹿者!!!』
上官が怒鳴り付ける
『ただで逃がしたの?そ・れ・と・も・何かもらうのかな?』
キリシアがイタズラぽく言うと
『そっそっそれは・・・・』
『ハッキリ言え!!』
上官が言うと兵士は懐から硬貨を出して
『すいません』
上官は兵士を殴り
『貴様ーーー!何てことを!!!』
『配下がこんな事を!それもリベリア領主が後ろにいる冒険者を盗賊呼ばわりするなんて・・・・』
隊長は頭を押さえ、ギルドマスターは溜め息をつく。
『兵士さん、他に同じことをしている人はいるのかな?あなた一人じゃスリする人が安心して仕事出来ないよね』
『それは・・・・います』
『何だと!!』
上官は兵士を睨むと
『すいません』
兵士は涙を流しなから頭を下げる
『他の犯罪者も、もしかして見逃しているのかな?金さえ貰えれば!!』
『私はしてないですけど・・・・先輩達は・・・・』
兵士が言うと
『あいつらか!!』
上官は隊長に頭を下げて
『大変申し訳ありません!!』
『取り敢えず、調査が必要だな!』
隊長が言う
『シルトバスと繋がっている人はいたのかな?』
『え?先輩は仲良くしていました・・・』
兵士の言葉に隊長は気が付き
『誰だ!言え!!』
兵士の首を捕まえて言うと兵士達の名前を言う
『くそーーー!!あいつも一味か!これじゃ見つけられない訳だ!!』
隊長は激怒して我を忘れている
『隊長!それ以上は秘密!』
キリシアが言うと
『申し訳ありません!取り乱して・・・』
隊長は我に返り言う
『だけど、突破口が見つかったみたいで良かったですね』
『はい!すぐに領主に報告して調査をします』
『私達は何も知らないので解りませんが、解決するといいですね』
キリシアが言うと
『本当に、キリシアさん達にちょっかい出すと大変な事になりますね』
ギルドマスターが苦笑いしながら言うと、隊長も笑いだす
『巻き込まれたくないから帰っても良いかな?町中を観光途中だし・・・美味しい物も食べたいよ』
『誰かに観光案内させます』
隊長がそう言って外の兵士に伝えて一人の兵士を呼び出す
『失礼します。隊長、用ですか?』
『キリシアどの達を観光案内してきてくれ!』
『え?解りました』
『この者は旨いものに目がないので、色々旨いものを知っていますのでうってつけです!』
隊長が言うと
『旨いもの食べにで良いのですか?すぐにいきましょう!』
兵士は喜びでウズウズしている
『早く案内してやれ』
隊長が笑顔で言うと、キリシア達を連れて町中に向かう
『これでまた、借りが出来てしまいましたね』
ギルドマスターが言うと
『仇がやっと取れます。本命との繋がりも絶対に見つけます。それに今回は、規律違反でゆっくり、横やり無しで調べられます』
『それと、スリとの繋がりで同罪として、いくらでも調べられますからね、犯罪者の擁護は無理ですからね』
ギルドマスターが言うと、隊長は笑みを浮かべて頷く
兵士の案内で町中を観光し始める。そして次々と旨い店を案内して貰い、アニーはその都度メモを取っている
『こんな楽しい仕事は無いです!』
兵士は笑顔で言う
『良い店をたくさん知っているんだね』
『食べるのが大好きです。だからいつも旨い店を探しています』
『だから店員さんと仲良いのですね』
キリシアが言うと
『勿論です!試作品を食べさせて貰えるようになりたいですから!!』
兵士の言葉に皆、笑いだす
そして革の素材屋の前を通り
『ちょっと待っていてね』
キリシアはそう言って店に入り
『キリシア様、リベリアに出発しますか?』
『明日か明後日出発しますが、準備出来そうですか?』
『明後日の朝で大丈夫です。今、息子を呼んできます』
革屋の息子を呼んできて兵士と顔を合わせると
『え!なんでお前がいるんだよ!』
『え?もしかしてリベリア行きはこの方達と行くのか?』
『そうだ!知り合いなのか?』
『隊長命令で観光案内中だ!相当のお客人だぞ!』
『当たり前だ!うちの高級品の在庫全部一括で買う人だからな!』
『え?それって凄いな!』
2人とも笑いだす
『親友?』
『はい!そうです!キリシア様』
『親友は良いことだよね』
キリシアが言うと
『そうですが、食べ歩きされ続けたら仕事を覚えません』
店主は苦笑いしている
『なるほど、それで今回苦労させるためにリベリアまでの配達を!』
『そうです!後はリベリアの状況を知ることも必要だったので』
『私達の素性調査ね』
『そうです!』
店主は大笑いするとキリシアも笑う
宿屋に向かって歩いていると
『キリシア、つけられているね』
『やっぱりそうなんだね』
『そろそろ止まる?』
キリシアがそう言って振り向くと
『いつまでつけてくるの?』
大声で言うと
『チッ気が付いていたか!』
柄の悪い男達が出てくる
『大金を持っているから悪いんだよ。死ね』
『ふーん!スリの親玉?』
『そうだよ、あの世で悔やみな!!』
『何だと!貴様ら!大人しく捕まれ!』
兵士が言うと
『アホか?貴様も死ぬんだよ!馬鹿兵士ワハハハ』
男が斧で襲ってくるが、マルスが腕を折って投げ飛ばす
『アギャーーー!』
男は転がり叫んでいる
『強い!全員でかかれ!』
キリシアに向かってくる男は股間を蹴りあげてから殴り飛ばし、もう一人も同じ様に股間を蹴りあげてから殴り飛ばす、マルスは1人目の男を殴り倒して腕を持ってもう一人に投げつけてから3人目を殴り股間を蹴りあげて倒す、ルメイルは2人を殴り倒している、リリシャは3人にパンシーをかけた後ポイズン等を使い、いたぶっている
『馬鹿な!!強すぎる!』
『あんたで終わりだね』
『くそーーー!』
キリシアに剣を抜いて襲ってくるが、キリシアは腕を取って殴り、腕を折ってから股間を蹴りあげて倒す
『凄い・・・・強い!!』
兵士はそう言うと、持っていた笛を吹き出す。足音が近付いてきて兵士が姿を現す
『何が有った!』
『こいつらが襲ってきて、返り討ちにしました!拘束をお願いします』
兵士達は男達を拘束していく、そして詰め所に連行する
『まさか、またしても襲われるとは・・・』
上官が苦笑いする
『スリの親玉と子分だよ』
キリシアが笑いながら言うと
『隊長に報告しておきます』
『リリシャにいじめられていたヤツに、後で続きを楽しみましょうって言ってあげてね。助けて欲しければ全て話せば牢屋で守ってやると言ってあげて、ついでに牢屋の中ならあの人は来ないからねと付け加えてね』
キリシアがイタズラぽく言うと、上官は笑いながら
『隊長に報告しておきます』
『あと全員回復魔法で回復してあげたから、あと100回は同じことが出来ると他の奴らは言っておいてね』
キリシアが笑いながら言うと、上官も笑う
キリシア達は兵士に馬車で送って貰い、宿屋に帰る
上官は隊長に報告すると
『すぐに取り調べするぞ!』
と言って経験した兵士を連れて調べ始めると全員泣きながら話して簡単に取り調べ出来た
『隊長!終わりました』
『早いな!』
『ちょっと脅し過ぎましたが、少女を外国に売り飛ばしたり、強盗に人殺し、全部吐きました!また、関係していた兵士や家臣も解りましたので報告します』
『兵士と家臣だと!本当か!』
『これから証拠を集めてきます。必ず証拠を完全にして追い詰めます!!』
『わかった!頼むぞ!!』
『はい!しかしあの方は凄いですね。私達は脅すだけで簡単に全部聞き出せますから、それに良い罰になっています!!』
兵士はそう言って報告書を書き証拠を集めに向かう