アーメルドの結婚式
翌日、マルス達は、礼服に着替えて馬車で領主の館に向かう
『英雄様、こちらへどうぞ』
マルス達を見た兵士が笑顔で言うと、案内され式場に向かう。式場には多くの貴族が既に話しながら待っている
マルス達は案内されて、最前列まで来る
『え!アリシア王女様』
シルフィーニがアリシアを見てから、マルス達を見て驚いている
『シルフィーニ王女様もルキアの結婚式に参列を?』
アリシアが微笑みながら言う
『はい、アーメルドの港町は、リオンド・ベラクード王国にとっても最重要な町です。オベリストリア王国にとっても、訪問時に必ず通る場所なので、最重要な外交相手になります・・・アリシア様達は何故?』
シルフィーニが少し考えながら答える
『ルキアと仲良しですの。英雄様と仲良しですから、みんな仲良しですの』
『え! ルキア様は、何者でしょうか? クライソン子爵家出身と聞いてましたが・・・』
シルフィーニが少し困惑している。外交担当が聞き耳を立てている
(もし、有益なら取り込まなくては・・・)
『今年就任した、宮廷魔術師全員のクラスメイトで、魔法学院大賢者研究会に所属していましたの』
アリシアが微笑みながら言う
『大賢者研究会? 凄いのですか?』
シルフィーニが考えている
(今年の宮廷魔術師全員とクラスメイト! 相当な顔の広さなのですか? 会ったイメージと少し違いますけど・・・)
『その内解りますわ』
アリシアが微笑みながら言う
アルクオドールとルキアが入ってくると結婚式が始まる
結婚式が終わると、パーティー会場に移動して行く
『魔法のランプだと!! 何故アーメルドに』
『アーメルドばかりズルいぞ』
『何故アーメルドばかり魔導具が集まる!』
会場に入った貴族達が魔法のランプを見て騒いでいる。 近くの重臣に詰め寄り、問い詰め始めている
『明るい・・・魔法のランプ・・・欲しい』
シルフィーニが魔法のランプを見上げながら呟いている
『シルフィーニ様・・・噂に聞く、魔法のランプ貸出し商会が貸し出したのでしょうか? クライドルト王国には、驚くばかりです』
外交担当が呟いている
『売って貰えないのでしょうか・・・魔導船も凄かったですが・・・』
シルフィーニが呆然と呟いている
『売ってないと、伺ってますが・・・盗みも許さないと伺ってます。貴族達の様子から間違いなく、アーメルド伯爵家は、この国でも有数の実力が有るのでしょう』
外交担当が騒いでいる貴族を見ている
『楽しまれていますか?』
ハルドが微笑みながら聞く
『ハルド様、何故アーメルド伯爵家は魔法のランプをお持ちなのでしょうか?』
シルフィーニが考えながら聞く
『アーメルド伯爵アルクオドール様は、リベリアの英雄様と友好的な関係を築いています。 ルキア先生もリベリアの英雄様達と非常に友好的な関係を持っています』
ハルドが微笑みながら言う
『ルキア様は、田舎の子爵家の御出身と伺ってましたが・・・』
シルフィーニが少し慌てている
(あ! 田舎など言っては失礼に・・・)
『今年の魔法学院卒業生でルキア様を知らない者は居ません。多くの生徒達がルキア先生と崇めています。宮廷魔術師長も就任を断ったぐらいの実力です』
『え! そんなに優秀な魔法使いなのですか! 知りませんでした』
シルフィーニが驚いて目を見開いている
(そんなに凄い人には・・・去年も風呂に石鹸を持ってきてくれた・・・メトリシアからの石鹸! そうよ! メトリシア様と仲良しなのは知っていたのに、どうして思い出さなかったの・・・)
『クレスタ、エビリア』
ヘリオスが、ルキアの両親と歩いてくる
『ヘリオス、元気そうだね』
クレスタが微笑みながら言う
『ヘリオス、不治の病は治りましたか?』
エビリアが微笑みながら聞く
『マルス様に御礼を伝えに来た』
ヘリオスが笑顔で言うと、両親が笑顔で見ている
(どっちが好みなのでしょう?)
『みんなは、今何しているか・・・聞いてない?』
エビリアが考えてから聞くと、ヘリオスの表情が暗くなる
『そうか・・・知らなかったか・・・リザードの時と獣魔の時に亡くなったウォルゼルは、王都で荷運びしていたが、つい最近魔法のランプの魔力補充をしていると、手紙が有った』
ヘリオスが詳細に教えている
『え! あの時に・・・』
エビリアとクレスタが暗い顔になっている
『今日はルキアの祝いだ! 暗い顔をするな』
ヘリオスが慌てて言う
『ヘリオスも元気になったみたいですね』
エビリアとクレスタが微笑んでいると、マルス達が集まってくる
『マルス殿、言われた通り、不治の病は完治しました。本当に感謝申し上げます』
ヘリオスがマルスに深々と頭を下げていると、両親も頭を下げている
『良くなって良かったです。頑張って修行してください』
マルスが笑顔で言うと、リリシャが微笑みながら見ている
『人が多くなりましたか?』
ヘリオスがマルスの後ろから見ているアリシア達を見ている
『ルキアの友達ですの』
アリシアが笑顔で言う
『え! アリシア様!!』
クライソン子爵が驚いて叫ぶ
(何故ここに!! 無礼が有ったらまずい)
『ここでは、マルス様の屋敷に居候している魔法学院の講師ですの』
アリシアが笑顔で言う
『あれ? 魔法学院の講師では無いですよね?』
メトリシアがアリシアを見て言う
『え! 元講師ですの』
アリシアが慌てて言うと、みんな笑っている
『ワザワザ御来訪感謝申し上げます』
クライソン子爵が頭を深々と下げて言うと、ヘリオスが慌てて頭を下げている
『ヘリオスどうしたの?』
エビリアが落ち着いたヘリオスを見ている
『先程シルフィーニ王女様に挨拶したけど・・・緊張した・・・アリシア王女様まで来訪なんて、ルキアも幸せ者だな』
ヘリオスが笑顔で言い、周囲を見ている
『シルフィーニ王女様は、予定外ですね』
エビリアがシルフィーニの方を見て言う
『祝いの品を見て驚いたが・・・ガベラス王国とリオンド・ベラクード王国とヘルゼレス王国だけなら解るが・・・エレストリアクレイス王国、ウルシナ公国、オテリオス王国、バゼルノアス王国、レトリアル・クレトリア王国から祝いの品が来ていたのは、驚いた』
ヘリオスが祝いの品が飾られている場所を見ている
『エレストリアクレイス王国とウルシナ公国とバゼルノアス王国とリオンド・ベラクード王国は、王女様も来てますよ』
エビリアが笑顔でレセナ達を見て言う
『え! 王女様が!! どこに!』
ヘリオスが驚いて叫ぶ
『挨拶します?』
『え! 緊張するから・・・どうしよう』
ヘリオスが苦笑いしている
『さっき挨拶を軽くしてましたけど』
クレスタが笑いながら言う
『は? どこで・・・』
ヘリオスがぎこちなく、エビリアが見ている先のレセナ達を見て青ざめている
(あの方達が・・・無礼になるのか? 何故ここに・・・)
 




