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90 エルフ15




 異能発動ーーーー


 『絶対美少女化(ハーレム)!!』



進化前:紅い木(メルカーナ)

成功

種族:???(美少女)

外観:美少女のフィギュア

装備:森の服

特記:進化可能(1/12)


 異世界に美少女の欠片が生まれた。


 小さな美少女の偶然(フィギュア)は、ゆらゆらと、水底へ沈むように、ダストの手の平の中へとゆっくりと落ちてきた。



「くっ、またこのパターンか。めんどくせえ。」


 エルフに見える!

 もう何処からどう見てもエルフだ。もうエルフが、この異世界に生まれたで良いのではないか?



「またお人形さんだよ。んん!天から声が聴こえる。ええと、トレントかドライアドになりそう。。。」


 コイシちゃんが、なぜか不穏な事を言い出した。胸がザワつく。確定されていた世界線がコイシちゃんが拾った電波により、揺らぐ。


「どうしたのだし?」


 エルフだって言ってんだろ。

 しかしながら、出汁出汁うるさい目の前を飛びまわるフェアリーも変化前は、エルフのように見えた事を思い出す。


 今度、お仕置きで「目玉のオヤ○」のように、お茶碗風呂を勧めて、出汁取ってやろうか?

 冗談のつもりだったが、意外と味が気になってきた。イケない、イケない、それは流石にヤバいだろう。


「いや、面倒だなと。木の皮を剥ぐのって結構大変だから。」


 もちろん俺は樹皮を剥ぐ気はないが、お任せしてしまい少し「悪いなー」くらいには思うのだ。

 汗水流して頑張るのは、ここじゃない気がする。それは、ホワイトクランのスタイルに合わない。


 思案顔のダストを助けたのは、年の功リリイ。


「まったくお前様という男は。ならば、動物にやらせるのはどうなのじゃ?ウッドペッカーという木に穴を空ける鳥とか。」


 しかし、その名案に犬娘がふるふると首を降る。


「そういやチクチクがいたな。あー、いい案だと思ったのだが。良し!気分転換にカニを捕りに行こう。」


「賛成なのじゃ!」


 あの蟹は美味いよね、晩御飯楽しみー♪と、唯一の同好の士と盛り上がる。

 俺達は、カニスキーだ。






 犬娘に案内を任せて、てくてくと着いていった先は穴まみれだった。


 紅葉蟹が、そこには大量にいた。

 近付くと、ザッと穴に入るが、これだけいるなら簡単に捕れそうだ。


 ただ、どうやって捕るんだ?


 穴シャコの捕り方なら知っている。

 適当に柄の短い鍬で表土をすくい、巣穴を出す。そしてその巣穴に筆を挿して待ってると、筆を挟んでくるので、筆がピクピクと動いたらそこを捕まえればいい。

 手で捕まえるのが苦手なら、トングで挟んだり、ヤビーポンプで吸い出したり、強者は自分の指を穴に突っ込んで待つ者も。


 つまりだ、蟹の捕り方は知らぬ、なにせ穴シャコと違って既に地上に出てるのだ。同じで良いのか?それとも水の中に沈める蟹カゴを使うのか?



 浅はかな考えの種族、獣人はほとんど脳筋種族だ。

 ボディビルダーを極めるとバカになるらしい。人間は本来、効率化を求めた動きをするが、筋肉をつけるためには非効率な動きを計算して己に課す必要がある。それは、進化と逆の動き。

 バカになれないようでは日本一には成れないのだ。

 つまり、運動神経の優れた愛すべきバカ。猫娘ピンクは無謀な挑戦に挑む。


「簡単そうですにゃ。」


「それが、そうでも無いんですわん。」


 犬娘が否定してくると、猫娘ピンクがニヤリと笑う。


「うーにゃっ!にゃっ、にゃっ、にゃーっ。」


 ピンクが突如、走り出し飛びかかるが、蟹はすっと巣穴に逃げ込む。

 ギリギリで回避され、次々と標的を変えるが蟹の方が少しだけ速い。

 獣人より速いとかどれだけだよ。


 カチカチカチ。


 おっと別の巣穴からひょっこりと出て来た紅葉蟹が、誇らしげにハサミを鳴らしてきたぞ!


「おぉっ、蟹の癖に煽ってくるんだな!」


「ゆ、許さないのですにゃ!にゃふーっ。にゃ!にゃ!にゃ!」


 ヘッドスライディングをしながら、全身泥だらけになる猫娘。

 ギリギリの攻防が続く。

 ワクワクしながらダスト達はその様子を見守る。いけっそこだ、惜しいっ。コーラとポップコーンが欲しいと。


 そして、ついに。


 なんと!

 びょーんと驚異の跳躍力を魅せたピンクが、その手に蟹を掴み取る。


「にゃっふーっ。獲ったのですにゃー。」


「えっ!?凄いですわん。」


 周りの蟹もビックリしたかのように動きを止めてピンクを見ている。森守も驚いた顔で、ピンクを見つめた。


「良くやったぞ、ピンク!」


 泥まみれになりながらも、誇らしげな顔で凱旋してくる猫娘を褒める。

 晩飯ゲットだぜ!


「師匠、どうぞですにゃん。」


 誇らしげな顔で、飼い主に仕留めた獲物を手渡してきた。



 キラキラと真紅に艶めく、その片方だけ爪の大きな紅葉蟹は、さながら森の宝石のようだった。


 味は、ビビるぐらい美味い!

 有り難く受け取る。



 不意に。


 右手が、うずく。

 強烈に光りだした。


 見た事もないくらいに眩く。


 嫌な予感がする。書き換えられた未来が、収束点を求めるような、そんな予感。


 世界がずれる!!



 脳髄に響くのは、耳を塞ぎたくなるようなクソ野郎のダミ声。


『くひひ、夢でエルフの場所が分かったそうじゃないか。ひぃひぃひっ。確定した未来を嘲笑え。嘘と本当を混ぜるのが俺様の高尚な趣味。偉大なる俺様の奇蹟を体感しやがれ。ひひひ。』


 それに、興奮したヒゲもじゃの耄碌したジジイが続く。


「フハハ、逸材じゃ。退屈せぬ。やりおったな、ダストよ、感謝するぞぉぉ!!」



 うるせっ、急に叫びやがって。


「な、なんだ!?」





 異能発動ーーーー


 『絶対美少女化(ハーレム)!!』



進化前:紅葉蟹(モミジガニ)

成功★

名前:エルフA

種族:エルフ(美少女)

特徴:長く尖った耳。白磁のような肌。

異能:精霊魔法[R]、美人確定遺伝子[SSR]、長寿[R]

制約:森の誓い

呪い:妊娠不全、筋力上限

装備:森の服

特記:進化可能(1/12)


 異世界に美少女が生まれた。


 ファンタジーの根幹。

 ダストがこの世界に呼ばれた理由。

 異世界が異世界であるために必要不可欠な空気のような存在。

 美麗なる者。

 長い尖った耳の森の守護者。


 その種族は、エルフ!



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