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8 連行


 ナイフを突き付けられた事は、あるか?日本人のほとんどは、ノーと答えるだろう。ダストも当然、そんな経験は無い。


 怒り狂ったアネッサが突き付けたのは、刃渡り50cmくらいのショートソードだった。ゲームなら、ナイフと表現しても良い短さだ。時折、通り魔なんて報道があるが、この目で見るまでは恐怖感なんて無いと思っていた。マヌケだから殺されるのだと。


 ハッキリ言おう。夕暮れの光を反射し、ギラリと凶悪な光りを反射するそれは、身体の芯がキュッとなる程に怖い。

 痛みを与え、確殺できる暴力がそこに存在している。


 三国志とモンハンで慣らしたから余裕だとか思っていたが、ゲームとリアルは全然違う。


 無様に投降して命乞いするべきだが、ダストはあの夜から、屈するのは、もうやめた。だから、ブラフを震える声で叩き込む。


「女性に、怪我はさせたくない。刃物をしまえ。」


 返って来たのは、嘲笑と、素振りの音。やはり、ブラフ失敗。その空気を切り裂く音は、試すまでもなく回避出来ない速さなのだと教えてくれる。令嬢の嗜みなのか武器が使えるようだ。


 ビュオン、ビュオン!


「死にたくないの間違いでは、なくて?」


 活路を求めるべく、周囲を見渡す。チラリと、金髪碧眼のスラリとした美少女フランが目に入る。美しい。

 そうだ、美少女化による弱体化。ただ、剣を振り回す元人妻令嬢は、肌の露出が少ないため、能力が効かないと思われる。


 周りの村人達を女体化して逃げるか?おそらく駄目だ、あっという間に、後ろから切り裂かれる。良いアイデアは出て来ない。


「刑を執行します。」


 そう言って、剣を持ったアネッサが、後退るダストにジリジリと距離を詰めてきた。



 ダストの命が消えたかと思われたその時、新たなヒロインが現れ、豚の命を救う。


「異議あり!ドール・アネッサ、その剣を納めるのじゃ。」


 現れたのが、背の低い、しわくちゃな顔の婆さんでなければ、恋に落ちていたかもしれない。


「村長、横暴です。この怪しげな男は、私の夫フランツを、女にしたのですよ!」


「ドール・アネッサ、妾を差し置いて、刑を執行するなど、どちらが横暴か語るに落ちておる。皆のもの、この件は、村長が預かるのじゃ。この者を、引っ立てぃ!」


 ダストは、槍を突き出した歴戦のお爺さん達に囲まれ、連行される。親衛隊なのか、震える穂先で誤って刺されそうで怖い。


 どこに連れて行かれているかは知らないが、狭い部屋には慣れている。プロニート生活と違って、小石ちゃんが、取り上げられなければ、退屈はしないだろう。


「ダストー。もし生きて会えたら、御飯奢るよー。」


 遠ざかる俺に、叫びながら声をかけてくれた美少女フラン。お互い死なないといいなという思いを込めて片手を上げて応えた。



 連行されたのは、木枠の粗末な牢屋では無く、豪華な館だった。サーベルを持ったイケオジ執事が出迎える。


「主よ、お帰りなさいませ。」


「この小汚い豚を、風呂に入れた後、食堂へ連れてくるのじゃ。決して、逃がすでないぞ。逃げるようなら刻んで良いが、触れてはいかん。」


「は、了解しました。」


 そして、良く分からないまま、サーベルを突き付けられて、風呂場に入るように指示されたので、小石ちゃんだけを隠し持って、裸で風呂場に入った。


 その部屋には浴槽が無く、石造りの牢屋かと思ったのだが、清潔なので、やはり風呂場なのだろう。


 シャワーのような物があったので、それで身を清める。温風魔法により、タオルは要らなかった。


 風呂場から出ると、汚れた衣服が捨てられており、変わりに綺麗な平服が置いてあった。

 

名前:ダスト

装備:村人の服[N]、粗末な靴[N]

欠点:汚損

装備:布の服[R]、布の靴[R]



 もしかして、これは、おもてなしされているのだろうか?


 食堂に入る。


 長い机に、遠く向かい合うように、椅子が2脚。シャンデリア。高そうな燭台。白いテーブルクロスの上には、ピカピカに磨かれたナイフとフォーク。しかし、食事は無い。横笛を持った美女。待機するボーイが、3名。


 席について、待つこと体感で、20分。実際には、もっと短かったかもしれない。


 美女が優雅に横笛を演奏し始めると、先程の部屋の主が、現れた。


 さて、婆さんの目的はなんだ?



名前:リリィ・アーハイム

種族:人族(背の低い婆さん)

特記:権力者

異能:真実の眼[SR]

装備:シックなドレス[SR]、精霊石の指輪[SSR]、護りの護符[SR]




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