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73 エルフ4


 お茶屋さんで昼休憩を挟む。

 恐ろしい速度で走るのであまり見えないため、さっきは民家に間違えて止まりかけた。


「サラ、速くなったのじゃ。」

「ポニー、とても速かったですにゃ。」

「「はい。」」


「休憩の果実だぞ。」

「「御主人様っ、ありがとうございます。楽しみに待ってました。」」


 このクール系の馬娘の双子は果実以外には本当にびっくりするぐらい興味を示さない。

 ドン引きする。


「いらっしゃい。」

「7人分、昼飯セットをくれ。」

「はい、すぐに、ご用意致します。」


 ペンダントを投げると、コイシちゃんが顕現する。


「コイシちゃん、退屈では、無かったか?」

「石状態でも、薄っすらと分かるよ。それにダストの傍にいられる方が嬉しかな。」


 コイシちゃんを呼び出したのは、やって貰いたい仕事があるからだ。


「はい。ダスト、あーん。」

「もぐもぐ。」


 すっかりと、餌付けが癖になってしまったので、問題ないシーンでは、このような食事スタイルとなる。


 ただ、ここの料理はイマイチだったので持ち込み品と入れ替えたが、場所代のような物なので気にしていない。

 サラとポニーは文句を言わずに食べていた。

 デザート用に、違う種類の果実をそっと渡すと蕩けるような笑顔を見せてくれた。


 地図を開いて現在地を確認すると、信じられない事に半分の地点まで来ており、驚きしかない。


「さて、残り半分だ。行くぞ。」


「「「おーっ!」」」



 地面を削り取るような走りを再開する。

 街道に赤信号は無いが、旅人や商人、冒険者などがいるため、すれ違う際は、一定速度まで落とすように、指示してあるのだが。


 時速40kmぐらいだろうか人族の限界を超えた微妙に速いのが、前を走っていてなかなか抜けない。


「御主人様、前に遅いのが道を塞いでるんすけど。」

「寄せろハクレン。会話をして退いて貰う。高速で抜き去ると風の衝撃波を与えて危険だから。」


「あの、すまないが、抜かせて貰ってもいいか?」

「うぉっ!何だ。人に追いつかれるのは7年ぶりだ。脚自慢なのか?兄ちゃん。え?走っていない、ただ背負われてるのか?」


「そうだが?」

「は?おいおい、どういうカラクリだ。兄ちゃんが魔法を使って強化してるのか?」


「え?俺は何にもしてないが。」

「舐めやがって、どこまで行くつもりなんだ!」


「メルカーナの村だが?」

「運送ギルドのスレイプニルと呼ばれたこの俺様を煽るとは、良いだろう。その喧嘩買ってやる。抜けるもんなら抜いて見やがれ。」


 顔を真っ赤にして、加速ポーションをごくごくと飲みだした男が、さらに人間の限界を超えて加速する。

 加速して、じわじわと、離れていく。


「御主人様、抜いていいっすか?そう言ってたすよね?」

「忠告はした。良いぞ、抜いてしまえ。」


 ダストの了解を得た馬娘達は異次元の加速力で男をスパンッと抜き去ると、すれ違い際に発生した巻き込む風により、進路の狂った男は樹木へと激突した。

 メキメキィとへし折れた木が、倒れる。


「くっそ、何て異常な速度だ。身代わり符が無かったら死んでたぞ。しかしな上等だ、短期の加速力で良い気になってるようだが、運送のキモはそこではない。見せてやろう、俺様の夜通し走るギフトを。他の配達先は後回しにして、ブチ抜いてやる。うぉぉぉっ!」


 人間の限界を超えた速度での追撃が再開された。追手は、配達ギルド1位の男。

 男は、少なくない犠牲を払ってもこの勝負に総てを賭けると決めた。



 このまま、ダスト達は逃げ切れるのか?


 というのは愚問だろう。

 夜通し走るギフトを持っていても無意味なのだ。


 だって、その日の夕方にはアッサリと異次元の速度で、エルフがいるかもしれない赤の森の1番近くのメルカーナの村へと到着したのだから。



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