64 馬車旅2
狂気の科学者となったダストは、トンテン、カンテンと、狂ったように、金槌で、釘を叩き、蛇のブヨブヨした死骸を木の板へと打ち付け始めた。
「ひぃぃぃ。オーナー、グロいですにゃ。」
「うちも、無理っす。」
「あの、ダスト。疲れてるなら、膝枕してあげるよ?ほら?」
それでも、トンテン、カンテンと、狂気の科学者は、金槌を振るうのを止めない。
そして、どうにかやっと、拷問馬車は、凄惨な悪魔馬車へと合成変化した。
素材:ブヨブヨした死骸[SR]
+
乗物:木の馬車[R]
代償:30分毎にダメージ1D-2
↓
乗物:悪魔馬車[SR]
代償:30分毎にダメージ1D-5
呪い:狂気+3
木製の車輪の外周に、打ち付けられたグロい蛇のブヨブヨした死骸は、異世界人には全く意味不明のモノであり、狂気の馬車でしか無かった。
ダストは、満足げにやりきった顔をした。
2人の美少女は、ガクガクと震える。
異次元の感性を持つコイシちゃんすら、心配な顔で、見てくるが、もうお分かりだろう。ダストは、クッションになるゴムタイヤを作っていたのだ。
「フフフ、完成したぞ。さぁ、試乗と行こうか。」
「ひぃ。嫌ですにゃー。」
「い、嫌っす。」
ニッコリとダストは微笑む。女性をエスコートするのは、男の仕事だ。
動じないコイシちゃんを、まずお連れする。そして、
「嫌よ、嫌よも好きの内〜。ほら、慣れるから、行くぞ。」
「にゃぁああ。」
「ひぃぃぃん。」
猫娘ピンクの首元を引き摺り、ハクレンのケツを火蜥蜴の鞭でシバキつつ、出発準備は、完了した。
「さぁ、出発っ!」
テンション高い豚、余裕な女、涙目の2人の少女を載せて、馬車は再び走リ始める。
「あれ?拷問馬車なのに、ゴツゴツしないですにゃ。これは、死んだですかにゃ?」
「駄目っす。死んだっす。劣悪な馬車なのに、なんかフワフワしてるっす。天国っすか。」
ダストは、優しく、ゆっくりと、語りかける。
「大丈夫だ、2人とも死んでないから。俺が、乗り心地を良くしただけだから。」
猫娘ピンクの顔が、恐慌状態から戻る。ハクレンの顔は見えないが同じようなものだろう。
「あれ?ホントだ?え?ほとんど、ゴツゴツしなくなったの!」
「それって、す、凄くないっすか!」
「これが、現代知識チートだ。」
お粗末な知識を振りかざして喜ぶ男ダスト。しかしながら、純粋無垢な2人からの尊敬はとまらない。
「オーナー、天才だにゃ!」
「御主人様、流石っす。」
若干、呪い:狂気+3の影響が出ているのかもしれないが、馬車は興奮に包まれる。
「ダストは、凄いよ。」
コイシちゃんに、撫で撫でしてもらい、幸せは絶頂だ。
「馬車旅も悪くないな。」
仕事を終えた男の傷顔は輝いていた。
いつも御愛読ありがとうございます。せっかくの異能を使えてない?はい。仰るとおりでございます。そんなご不満な御方へ、宜しければこちらをどうぞ。
↓
全てを美少女にしちゃう女神の俺が失われたアレを取り戻すまで
作者:島本 夏彦https://ncode.syosetu.com/n9056fu/




