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51 ポーション風呂


 猫屋敷に朝帰りすると、コイシちゃんがお出迎えしてくれたが、限界なので、そのまま、眠りにつく。

 黒い服は、吹き出た汗が乾き、体から流れ出た塩分で白く汚れていた。昼頃に起きて、汚れた布団と、服と、豚を、洗い場へ。


「うー。生き返るぅう。」


 ポーション風呂で、疲れを癒やす。ボロボロになった足に、しみる。

 おっと、悪いが、ただのおっさんの入浴シーン。まだ30だから、お兄さんのはずなのに・・・見た目が、もう。


 おぉ、神よ。なにゆえこのような姿に。



 ピッカァ!


「おぉっ!痛くない。うっひゃぁぁ。」


 美少女ダストちゃん降臨だよ☆

 自分の見た目に耐えられなくなって、異能を使ってみると、怪我すらない美少女に変身した。いやぁ、自分の可愛い声に、違和感しかない。

 ナイス俺!少し精神汚染が、心配だけど。


 水石(ブルー)を触り、変身により、減った体積分のお湯を補充する。


 ちゃぷちゃぷと、ライトグリーンのお湯を堪能する。綺麗なハリのある女子の手が、お湯の中を泳ぐ。

 ちなみに、ポーション風呂といっても、色と香りが似てるだけで、流石に本物ではないから。ポーションは、知っての通り、美味だけど、高級品なので、風呂には使えないよ。例えるなら、札束風呂と同じ、一回入ってみてぇー。


「いい湯だな、あははん。いぃ湯だな。」


 なんか歌まで、上手くなったような。声か、この美声のせいか?ずっと聞いていたくなる綺麗な声。


「ダスト、大好きっ。」


 うん。いいな。でも、自作自演は、ちょっと寂しいので辞めよう。


「あぁー。溶けるぅぅ。しかし、昨夜は色々あったなぁ。」


 昨夜の摩訶不思議体験を思い出し、なにか重要な事を忘れている気がするという気分に。


「あの頂で見た木は、リンゴの生まれた木なんだろうか?ところで、なんで、枝なんかを渡されたんだ?この大きさでは、箸ぐらいしか作れないんだけど。種なら、まだ分かるのに。・・・あっ!」


 声に出す事により、思考が整理されて、古い記憶を引っ張り出してきた。


 林檎は、種から育てない。


 何の知識だったか、アニメだったか、テレビだったか。いや、今はそれはいいので、本筋に戻ろう。


 異世界で食べた林檎は、色んな味がして、品種が多いなと漠然と思っていた。

 つまり、普通にハズレも多くて、美味そうなのに、酸っぱい林檎はザラにある。


 ところがだ、転移前は、どれを食べても同じように甘かった事を思い出す。言い換えれば、無個性な優等生ともいえる。

 種には、可能性が詰まっており、様々な分岐が有るはずなのに、全て同じ味。


 まるで、クローンのようだ。


 そうクローンなのだ。挿し木と言って、地面に刺したり、木に繋いだりして、育てる。という事は、つまり、


「リンゴが、復活するぞ!」


 マジかよ。現代知識チートは無いって思ってたけど、ここに来て使う事になるとは。

 異世界現地民では辿り着けない正解に、ダストちゃんは到達した。



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