32 猫娘カーニバル5
猫屋敷と酒場を手に入れた。
ギルドで、達成ボーナスを受け取り、酒場の開店資金に充てる。
猫娘25名を抱えて、クラン《乙女達の楽園》は、大所帯となったので、金がかかる。冒険で稼がないのが、俺のクランらしいだろ?
この日の午前中は、全員で掃除だ。一緒に、汗を流す。綺麗にすると、心まで綺麗になる。コイシちゃんは、動けないけど、グラスを磨かせたら天下一品だ。
粗方、綺麗になったので、
まずは、資材の買い出しだ。普通は、こういうのは、業者に任せるんだが、初回は、あえて、猫娘達に買い出しに行かせる。
「ミケ、お酒の買い出し、宜しく。手順は、覚えたな?」
「分かってるにゃ。」
てくてく歩く獣人のミケは、可愛い。それは、もう、凄く。酒屋に入ったミケに釣られて、ぞろぞろと冒険者も入ってくる。
「な、何を、お探しで。」
「蜂蜜酒、麦酒、妖精酒、火竜酒を、全部5本ずつ欲しいにゃ。」
「お買い上げありがとうございます。ところで、どうやって、持って帰るんだい?」
「あっ、困ったにゃあ。。力持ちの人、知りませんか?」
「「しょうがねぇ、俺達が運んでやるよ。」」
と、後ろから声が掛かる訳だ。
さぁ?誰が手伝うんだと、無言の戦いが始まる訳だが、激甘クランの《乙女達の楽園》は、争いを好まない。
「頼もしいにゃ!バンバン追加注文で。」
そして、高級酒を減らし、安酒の嵩増しの注文にさらりと変えて、全員に活躍のチャンスを与える。
ニコニコ笑うミケが、ぞろぞろと暇な冒険者達を連れて帰ってきた。
他の買い出し班も似たような感じだ。1日目から繁盛しそうな予感がある。
「いらっしゃいませー。」
美しい猫娘達の総出で、お出迎えだ。
天国の酒場
《乙女達の楽園》オープンです!
運搬という仕事を果たした冒険者達に、サービスの一杯をプレゼントだ。労働した汗に、沁みる程に美味いだろ。
猫娘シルバーが、魔法が得意だったので、キンキンに冷やして貰ってる。
さあ!ジャンジャン、バリバリお金を落として貰おうか。
今夜の料理は、簡単な物でいい。というか、出来合いのものを買ってきて、皿に持ってるだけだ。
猫娘が、器に盛ってる所を見たら、誰も文句は言わねーよ。3倍価格なのに、飛ぶように売れる。
人を笑顔にするのは、良いもんだねぇ。
ヒートアップしたミケが、片足で何かを踏みながら、蜂蜜酒を振り上げて叫ぶっ。
「皆ーっ。飲んでるかにゃー?セクハラしたヤツは皆で袋叩きだから、しないでにゃ。今夜は、猫娘カーニバル!薄い薄い蜂蜜酒がなんと、半額、半額だよー。」
おぉっ、踏んでいるのを良くみると、セクハラして袋叩きにあったヤツだ。
客に混ざって、ダストも美味そうに超高級酒の龍精酒を飲んだ。あぁ、これは、超VIPな客しか飲めないんだ。高すぎるし、だいたい普通のコネでは買えない。上手く表現する言葉を持たないが、香り高く、天にも昇る味だ。
しかし、帰り道が、徒歩1分ってのが、最高過ぎる。よゆーで歩けるだろ?
ういーっ。
ハクレンに背負われて、戦線離脱した。
そういえば、セルゲイの婆さんが、どうなったかって?どうでも良い事を気にする人もいるんだねぇ。
「老人には広い屋敷などいらぬ、小さい小屋でええ。」
とか、言いながら、あの後、クロと、隣の家に入っていった。値段が高騰する前に、安く買い叩いたらしい。
ちなみに、隣の家も結構な豪邸だ。マジで、ふざけんな。
「あぁー。クロや、魂の一杯だな。」
「そうだね。」
超高級酒の龍精酒を、開店祝いに持ってきた老婆は、早速、開封して、娘クロと愉しそうに、それを呑んでいた。




