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28 猫娘カーニバル1


 昼下り、英雄(ヒーロー)が約束どおり帰ってきた。


 瘴気の中心。

 猫の死体、脳を殴るような吐き気を催す異臭がする、不快な猫屋敷セルゲイ家へ。


 こんな場所で生息出来るのは、心と嗅覚の鈍くなった者と。


 耐えられる者。


 ダストは、悠然と歩く。

 彼は、元プロニートであり10年超えの本物である。陽のあたらない部屋で、じっと耐えてきた。ゆえに、耐える事においては、他の追随を許さない。


 だから、悠然と歩ける。



 そんな男のブレない姿に、不安と期待と猜疑心とを諦めを詰め込んだ狂いかけた孤独な老婆は、希望という一筋の光を見た。

 見てしまった。

 縋るように、老婆セルゲイは呟く。


「・・待っていたぞ。」


「俺は、ダスト。現実を変える男。約束どおり、あんたと、猫を救いに帰ってきた。」


 ダストは微笑む。

 この屋敷からは、瘴気が漂っていた。それは、猫だけではない別の問題を抱えている事を暗示している。

 詳しい事は、専門的な知識の無いダストには分からないが、なにか直感のようなものはある。奇蹟ならば、なんとかなると。

 しかし、奇蹟を起すには想いが足りていない。圧倒的な意思の力が。足りないものを探して、言葉を続ける。


「問おう、依頼者セルゲイ。異臭が漂い、花瓶には、枯れた花。火山灰のように積もった埃。無惨に壊れた調度品。この部屋はまさに貴女の心の中だ。自覚しろ、認めてやれ、泣いているんだよ、あんたの心が。もう独り孤独に震えなくていい、だから、その心の内を晒せ。素直に願え。あんたは、何を願う?」


「変えてくれ。願わくば、あの日に戻してくれ。お願いだ。」


 嘆願する老婆を前に、黒竜の手袋を脱ぎ、コクリと頷いた。


「強く願うがいい、セルゲイ。ただの一度、奇蹟は起きる、この右手に誓って。」


「なーご。」


 空気を読まず、足に擦り寄ってきた猫を左手で、ひょいと捕まえた。


「見ていろ。奇蹟の始まりを。」



 すぅーと意識を集中する。俺だけの奇蹟の右手に、老婆の願いを集める。願え、強く願え。すると、右手が光りだした。


 そして、捕まえた猫に、ゆっくりと輝く右手を押し当てる。




 全ての決着をつけて不快な屋敷を浄化するまで、この右手の光りは収まらない。


 奇蹟は始まる。



 異能発動ーーーー


 『絶対美少女化(ハーレム)!!』



進化前:猫(三毛猫)

成功

名前:ミケ

種族:獣人『猫娘』(少女)

外観:猫耳と尻尾の生えた人間、可愛い。

胸囲:AA

装備:裸→街娘の服[N]

特記:進化可能(1/7)


 異世界に普通の少女が生まれた。


 猫娘。そうだ、あの猫娘。愛くるしい猫と少女が合体したチートの存在。可愛いもの✕可愛いもの=至高の猫娘。


「にゃーん!ミケ、参上にゃん!」



 老婆セルゲイは、腰を抜かす。まぁ奇蹟を目の当たりにした者はそうなる。


「ひぃ。猫が人に?まさか、これが秘策なのか。これは、秘密にして当然だ。なんいう力だ。英雄ではなく、神なのか、この男は?」


 しかし、俺は満足していない。想いが足りなかったのか、美少女とはならなかったからだ。おかしい?俺の猫娘に対する愛は、本物のはずなのだが。これは、もしや『当たりガチャのような確率』が存在しているのだろうか?


 転生前は、嫁リストの他に、猫娘フォルダがあったというのに。

 まぁいい。屋敷の中に、猫は溢れている。100匹以上はいるだろうと気を取り直す。


「猫娘よ、俺はハーレム王になる。始動せよ、猫娘48計画。乙女となりて、新たなる人生を歩み始めるが良い。行くぜ!」


 餌を食べている猫の群れに突っ込む。


 唸れ、右手よ。

 纏めて、現実を変える。


 右手に燐光を纏った豚野郎は、光り輝く右手を、呑気に餌を食ってる猫に振り回す。不快な屋敷で、ただ餌を与えられるままに貪るだけの毎日は、今日で終わりだ。


 進みだせ。


 『絶対美少女化(ハーレム)!!』


名前:ピンク

特記:進化可能(1/12)


名前:ミケ

特記:進化可能(1/7)


名前:バイオレット

特記:進化可能(1/18)


名前:ブルー

特記:進化可能(1/7)


 続々と、

 異世界に量産型少女が生まれる。


 屋敷全ての猫ちゃんを猫娘にするため、ダストは駆け回った。

 老婆は、年老いた黒猫を抱えたまま、ダストの付人となり、凶行、いやその奇蹟を、目に焼き付け続ける。


「俺が、女にしてやるっ!」


 次々と、生まれる猫娘。


 屋敷の部屋を移動し、猫狩りは、どんどんと、量産型少女を作っていく。


 食堂に、入った。

 テーブルの上には、枯れた花。無惨に割れた食器。埃は火山灰のような、死の世界。


 一匹の三毛猫を追い詰めた。


「三毛猫よ、俺からは逃げられない。女になれぇぇ!」


 そして、この異世界に7人目の『ミケ』という少女を、創造した時だった。右手は、真の力を発揮しだす。


 自由に歩いていた量産型少女のミケ達が、まるでブラックホールに吸い込まれるように、引きずられて、ダストの右手に集まってきたのだ。


 右手は眩い閃光に包まれる。


「うにゃ?うにゃーーっ!」


 名前:ミケ

 特記:進化可能(1/7)


 7人揃いましたね?

 おめでとうございます。



 真価発揮ーーーー


 『絶対美少女化(ハーレム)!!』


進化前:ミケ✕7

大成功

名前:ミケ

種族:獣人『猫娘』(少女→美少女)

外観:猫耳と尻尾の生えた人間、尊い。

胸囲:AA→C

装備:街娘の服[N]→蠱惑のドレス[SR]


 異世界に美少女が生まれた。


 猫娘。そうだ、完成した猫娘。

 愛くるしい耳が、ピコピコと動き、ふさふさした尻惑がフリフリ揺れる。蠱惑的なドレスは、形の良い胸を強調し、色香を放つ。挑発的な美少女。



 ダストは、ついに掴んだ。その右手に、幸せの塊を。むにゅん。


 心が、心が、踊りたつ。

 カーニバルだ。わっしょい、わっしょいと、お祭り男の血が騒ぐ。SSRを出すために、血を流す覚悟がある。10連を回せ、もっとだ、もっと、もっと回せるだろ。


 むにゅん、むにゅん、むにゅん。


 力の限り攻める。

 ダストの童貞テクに興奮したのか、ミケは、顔を真っ赤に赤らめる。次第に、呆れと怒りに染まる顔。



「う、うにゃーっ!!」


 怒りのミケにより、バリバリと、三毛柄の付け爪で、顔を引っ掛かれた。


 どうやら爆死してしまったようだと、顔の引掻き傷から流れる血を気にもせず、ダストは右手の余韻を楽しむ。


 なに、傷は、男の勲章だ。

 スカーフェイスの豚野郎は、ニヤリと不敵に笑った。



 その時だった。

 自分の胸を抱き、恥ずかしそうにする猫娘から、三毛色、その三種に変わる放たれた光が、部屋を染めた。


 ゴゴゴ・・


 部屋が、揺れた。何かが起きようとしていた。



感想で頂いたキーワードを採用してみました。応援ありがとう御座います。

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