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19 正妻


 宿屋のカウンターに、置いてあった水色の魔石に目がいく。なんだろうか?と見ていると、それに気付いた受付嬢が、セールスしてくる。


水石(ブルー)はお持ちですか?少しお高くなりますが、ご用意しておりますが。」


「あぁ、丁度、切らしていた所だ。貰おうか?」


「お買い上げ、ありがとうございます。浴場の入口のくぼみにセットして頂ければシャワーが出ますので。」


 何処かで見た事があるなと思ったら、リリィの館の浴室だった。なる程、そうやって使うものなのかと水石をもてあそぶ。



 借りた部屋には、ベッドが2つあり、未体験のベッドに感激したハクレンは、ベッドの上で跳ねていた。


「御主人様、ベッドとかいう物は最高っす。なんなんすか、このふかふかは、藁とは別格っす。」


「だろう。馬小屋とは違うだろ?」


 こくこくと頷くハクレンを横目に、もう一つのベッドに、小石ちゃんを投げる。キラキラした光りとともに、大きく伸びをしながら、小石ちゃんが現れた。


「んんーっ。コイシ参上だよ。」


「うぉぅ!びっくりしたっす。」


「そういえば、お前らは、初顔合わせだったな。お互いに挨拶しとけ。」


 突然、現れた小石ちゃんに驚く雌馬。ダストの仕切りにより自己紹介が始まる。


「水も滴るいい女、小石です。よろしくね。」


「最速の乙女、ハクレン。こちらこそ、ヨロシクっす。」


 握手を交わす美少女。眼福である。しかし、小石ちゃんの挨拶が引っかかる。水も滴る?そういえばと、小石ちゃんを厩舎の水桶に沈めた記憶が蘇る。


「ご、ごめん。小石ちゃん。」


「ううん?ダストは格好良かったよ。」


「こ、小石ちゃーん。」


 正妻力溢れる小石ちゃんと抱き合うダスト。さっそく惚気を見せつけられたハクレンは、真顔でボリボリと、人参を食べる。くそっ、今夜はヤケ人参だ。


 ご機嫌斜めになったハクレンを、あやすかのように、部屋は賑やかな会話で満ちた。



 やがて夜が訪れる。大きい身長とは裏腹に中身がお子様なハクレンは、食べ切れなかった人参を大事そうに抱いて寝た。

 お子様が眠れば、大人な時間の訪れ。


 賑やかな会話が終わり、静寂の訪れた部屋には、良いムードが漂っていた。



「ねぇ、ダスト。ロリババアとキスしてたけど、コイシとは、しないの?」


「そんな、こと…」


 弁明しようとしたダストが振り返ると、そこには、目を瞑り待っている女がいた。ならば、行動は一つだ。覚悟を決めろ。


 そっと、唇を重ねる。

 カチッと歯と歯がぶつかる。経験値の低い初心なキス。そして再チャレンジ。今度は、柔らかな唇を感じる。


 ふぉおぉぉっ。何だ!?


 溢れてくるのは、幸せ。



 嗚呼、満たされている。

 これが、幸せというものなのか?

 とめどなく流れるアガる感情を受け止める。くぅぅ、幸せ。語彙力など遥かの昔に崩壊している。というか言葉等というもので表現出来るのか?して良いものなのか?立体的な感動の前で、文豪は無価値だ。


 さらに、童貞はやめておけばいいのに、踏み込む。


 テクも無いくせに、ベロを動かす。レイプのような自分勝手な下手くそなキスが小石ちゃんを陵辱する。


 ダストの下手くそな、貪るような情熱的なキスが終わり、トロンと、惚けるような小石ちゃんがいた。



 そんな小石ちゃんをベッドで待たせて、浴場に一人入ったダストは、水石をセットし、熱いシャワーを浴びる。気持ちは、そわそわしている。


 今夜、男になります。


 わしゃわしゃと、髪を洗う。


 汚れは、全て落す。毛根まで綺麗に、それが、せめてものマナー。ハラは決まった。後は男を見せろ。



 よしっ!行くぞ。今夜は一世一代の大一番。魔王城の前のセーフティポイントにいる。失敗は出来ない。気合いを入れろ


 パンッ!と顔を叩く。








 あっ、叩きましたね?



 右手が光る。


 光ってしまった。


 常識を書き換えろ。現実を書き換える右手は、ダストの盛り上がった気分など、気にはしない。


 さぁ、叫べ。あのお決まりのフレーズを

 皆様もご一緒に、





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