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2-3 Club Shadow tale(3)



 曲が終わった時、泰駿はフロアに尻を付いて汗を掻き目の前に立つバンダナ男を見上げていた。周囲からは称賛の声が上がっているが、泰駿に向けられたものではなく全てバンダナ男に対してのものだった。


 大きく息を吐き出し、立ち上がってズボンについた埃を払う。敗者は敗者らしく、潔く姿を消すべきだ。讃えられる勝者の邪魔にならないよう、身を小さくし気配を殺して人の山へと紛れようとしたが、それを止めるものがあった。


 バンダナ男が泰駿を呼び止めた。そのまま消えたくはあったが、敗者には敗者の務めというものがあるだろう。このクラブ内においての敗者の務めがどのようなものであるかはとんとわからぬところではあるが、ルールがあるのであればそれに従うつもりで振り返る。


「あんたスゲーな、素人っぽかったけど何かやってんだろ? 俺はテツオってんだけど、あんたの名前も教えてくれよ」


 流れる汗をリストバンドで拭いながらテツオと名乗ったバンダナの男は近づいてくると、握手を求めて腕を差し出す。断る理由もなくその手を握ると、皮膚は硬く力も強い。


「神楽泰駿。ダンスはやったことがなくてね、嗜み程度に格闘技を少々やってる程度だ」

 手を放しながら名前を名乗る、その瞬間にテツオの眉がほんの僅か吊り上がったことを泰駿は見逃さなかった。


「格闘技やってるってすげーな、ボクシングか? それともカポエラってやつ?」


「いや、やってるのは総合格闘技だ。護身程度になればいいかと思ってね」


「へーそうなのか。なぁあんたの話聞かせてくれよ、俺も格闘技には興味あんだよね。あそこのVIPシートとってあるからよ、一緒に飲まねーか?」


 このテツオという男は人づきあいをするにあたっての距離感というものを身に着けていないらしい。馴れ馴れしくも泰駿に肩組をすると、VIPシートを指さす。


 勝負の顛末を見届けた観客たちは、勝者を讃えていたかと思っていたがそれもすぐのことだった。ただ離れるでなく、敗者である泰駿の健闘を褒めるでもなく、肩を触れ合わせるようにして小声で話し合っている。不思議なことに彼らの視線はテツオへと向けられていた。


 それら群衆に紛れているプラムの表情はどこか不安げで、泰駿とテツオを揺れる瞳で交互に見つめている。今、泰駿の隣に立っているこの男はいかにもチンピラといった風情である。身長も高いし肩幅も広く、タンクトップから伸びている腕には隆々とした筋肉を纏っていた。


 威圧感を覚える見た目ではあるが、そのような格好をしているのはテツオだけではない。フロアを見渡せばちらほらと、テツオとよく似た服を着ている者も多いし、背格好が近い人間もいる。クラブに置いて少なくとも、このテツオの容貌はありふれているものだ。


「それは光栄だ。あー、ただここサッポロのビールはあるか? バドワイザーやコロナじゃ口に合わないんだ」


「おいおいサッポロとか日本のじゃねーか。っていうかVIPいくんだったらビール自体ねーわ、ありえねー。そこはやっぱペリドンでしょ」


 呵々大笑するテツオは悪い人間には見えそうにないのだが、周囲の反応が気になる。それに泰駿の名前を聞いた時の妙な反応のこともあった。


 クラブという場所では良くない取引が行われ、反社会的な人間と一般人との接点になっていることもあると聞いている。警戒するに越したことはないし、怪しい雰囲気を感じたのであれば即座にそこを離れるべきなのであろう。しかし泰駿はここで手掛かりを探している、虎穴に入らずして虎児を得ることはできない。


 VIPシートが虎穴だというのなら、喜んでそこに飛び込もう。


「ドンペリは好きじゃない。シャンパンならモエ・エ・シャンドンがいいな、キラークイーンが飾り棚に忍ばせているようやつ」


「キラークイーン? なんだそりゃ? 女優か何かか?」


「QUEENの名曲だぞ、ロックは聞かないのか?」


「ロックなんて古臭くって聞けたもんじゃねーよ。時代はEDMだぜ泰駿」


 軽口を叩きながら肩を組みながらフロアからロビーを出ようとすると、プラムが泰駿の袖を引っ張ってきた。足を止めると彼女の力は強くなり、組んでいた腕を離すとテツオから引き離された。


 抱き着くようにプラムの両腕が首に絡まり、唇は耳元へと近づく。


「あんた何考えてんの……あいつ、良くない噂でいっぱいなんだよ? 誘われたからってついてっちゃだめだって」


 小声での忠告だった。小さく頷いてやると柔らかな唇が頬に触れ、薄っすらとルージュの跡が付く。テツオはそんな二人をニヤニヤと笑いながら眺め、肩をすくめた。


「忠告は素直に感謝する。けど、悪いやつなら尚の事良いんだ。何か知ってるかもしれない」


 顔を離しプラムの腰へと腕を回し抱き寄せ、テツオへと向かせる。


「なぁテツオ。こいつ俺の女なんだけどよ、一緒に連れてっていいか? 俺と少しでも離れるのは嫌だっていうんだよ」


「まじかよやるねー、俺もんなパイオツでけー彼女欲しいわぁ。恋人と離れるのが嫌だって気持ちわかるぜ、俺も今はフリーだけどよ彼女いたらちょっとでも離れるの嫌んなるからなー」


 テツオは全く嫌がる素振りを見せず、両腕を広げて歓迎の意を示してもくれた。だがプラムはといえばそうではない、表情にこそ出してはいないが泰駿を見上げ、今日知り合ったばかりで知人ですらないというのに縋るように泰駿に身を擦りよせていた。


 そんな彼女を安心させるために、彼女の腰を抱く手に力を込めてさらに抱き寄せ、見上げるその瞳に泰駿が映っていることを知ってからウィンクしてみせた。完全にとはいかないまでも、それで不安は和らいだらしく彼女の身体から力が抜ける。


 テツオに連れられて向かったVIPシートはフロアの喧騒とは程遠い空間だった。紫色の照明は怪しい空間を演出し、壁際にはクラゲの泳ぐ水槽がインテリアとして置かれている。フロアを響かせるダンスサウンドもここにはほとんど届かない、ベースやドラムの低音が僅かに聞こえるのみだった。


 このVIPシートには既に先客がいた、細身で小柄な青年が周囲を警戒するようにしながら座っている。彼は泰駿達の姿を目にすると肩を震わせ、慌てて立ち上がったその姿に泰駿は見覚えがあった。依頼人である浅井夫妻の息子、浅井一郎である。


 一郎の姿を視認した途端、泰駿の筋肉が緊張で強張る。ずっと腕に掴まっていたプラムは張り詰めた筋肉に気づくと、また恐怖心が湧き上がって来たのか抱き着く力が強くなった。プラムが落ち着いていられるように、深く息を吸って緊張を解く。


「よー、一郎。さっきのダンスバトル見てたろ? いつものあれ、やってくれよ。ほら、今からこいつが面白いことやってくれるからよ泰駿と彼女さんはソファ座れよ」


 テツオに勧められるままにソファへと腰を下ろす。高級なソファらしく座り心地が中々良い、油断すれば尻から根が生えそうだ。


 座ろうとしないプラムの腕を引いて座らせ、会釈程度の挨拶を一郎に行った。彼は若干青ざめた顔でテツオばかりを見ていて泰駿とプラムの方をわずかでも見ようとしない。


「ほら、早くしろよ」


 テツオの声が荒くなると一郎の肩が跳ねた。この二人の関係を泰駿が知る由もないのだが、友人にはとてもではないが見えない。奴隷と主人、そういった関係の方が近そうだ。


 テツオと一郎、二人を交互に見渡しながら泰駿はプラムの耳に口を近づけ黙っているように言いつけた。その意味を察してくれたかどうか、定かではないにせよプラムは緊張で目を大きくしながら頷く。


「面白いってその細っこいのは何か特技でもあんの?」


 一郎のことに気づいている事を悟られぬよう慎重になりながらも、泰駿はタバコに火をつけバニラの香りがする煙を吐き出した。その泰駿の視線が恐ろしいらしく、一郎は怯えながらもたポケットから一枚の紙を取り出す。


「見てなって、こいつすっげーんだからよ」


 自慢げなテツオではあるが、友人に対してのものには見えない。何かといえば、玩具を自慢する子供のような、そんな印象を泰駿は受けた。ここからどうしたものか、隣で目を大きくしたままのプラムを気にかけながらも頭を働かせる。


 まずは何も知らない振りをして、テツオあるいは一郎から彼らの関係を引き出すことが最優先だろう。そのためにも、一郎の一挙手一投足をさも興味を持っているような素振りでじっと見つめた。

 そんな風に見られているものだから一郎の動きはどこかぎこちない。彼は紙を震える両手で持ち直しと、額に軽く触れ合わせて目を閉じ、何かを念じた。一郎の発する音に神経を集中させてみたが、声が小さすぎて聞き取ることは出来なかった。


「できました……」


 おずおずと一郎は紙をテツオに渡した、テツオはそれを見ると満足げに首を振り、泰駿へと差し出す。煙草の灰をそれに落としてしまわないようにしながら受け取る。紙に視線を落とした泰駿の口から火のついた煙草が零れ落ちた。慌てて踏み消す、床に敷かれている絨毯を焦がしてしまったかもしれないが暗いせいでわからない。


「な、すっげーだろこいつ?」


 テツオの言葉に無言のまま頷いた、半分は演技だったがもう半分は本心である。手にしている紙には、テツオと泰駿のダンスバトルの情景が映し出されていた。白黒で鉛筆で描いたようにも見えなくは無いが、その繊細さと精密さは写真のようにしか見えない。


 一郎のこの能力については両親から聞かされて知っていたことではある。しかし、これほどまで正確に見たものを念写できるとは思わなかった。驚きのあまりに声が出ない。隣のプラムに紙を見せてみたが、泰駿と概ね同じ反応だった。喉の鳴る音が聞こえる。


「お前のツレすげーな……これってあれか、ESPってやつか?」


 すげーすげーと馬鹿みたいに呟きながらテツオに紙を返す。自分がそれをしたわけでもないのに彼は自慢げだった。誇るべき一郎の方はといえば、ソファに座るわけでもなく隅のほうで目立たないようにするためか身を縮ませていた。ここまでくればこの二人の関係性はまともなものではないと確信したが、そこから先をどうするか、泰駿に考えはまだ浮かんでいない。


「おうそれなんだよ、ESPってやつはほんと便利だよなぁ。見たままを紙に写したり出来るしよ、それであんたはどんな能力を持ってんだ? なぁ泰駿さんよ、教えてくれないか?」


 テツオは目を細めながら煙草を咥え、腕を大きく横に広げながらソファにもたれかかる。どこか見下しているかのような視線が泰駿へと向けられた。


 動揺を悟られぬよう泰駿も煙草を咥える。煙はテツオへと向けて吐き出した。


「俺はそんなことを一言も言ってないのだがね……どこで、というより何で知っているのか。まずそれを教えて欲しいな」


 テツオの姿を視界から外してしまわないようにしながら周囲に目を走らせる。人の気配はない、目の前にテツオ、隅には震える一郎がいる。隣に座るプラムの手にそれとなく触れてみた。雰囲気が変わったことに彼女も気づいているらしく、僅かに震えている。


「あんた有名人だって自覚ねーのな。超能力探偵の神楽泰駿っていや有名だぜ? ここらにいるヤクザだとかギャングとかならみんなお前の名前を知ってる、本人はそのこと知らなかったみたいだけどな」


「そんな連中に知られても嬉しくねぇな。てことはお前さんあれか、知ってて声かけたわけか。んで、ケツモチは誰なんだよ。一人でんなことやってるわけじゃねーだろ」


「怖い顔しないでくれよ、彼女さん怖がっちまってるぜ。あと馬鹿にすんな、俺にケツモチなんていねーよ。そんなもんが必要になったり、つるんだりするのは弱いやつがすることだ。俺は弱くねー、強いだから誰ともつるまない。だけどもな、泰駿よ俺はおめーには一目ってやつを置いてんだ」


 ソファから身を離したテツオは今にも二人の間にあるテーブルを乗り越えそうだ。さっきの見下すような視線はどこへやら、泰駿を下から見上げる彼の目はどこか媚びているように感じられた。彼にそんなつもりはないだろう、泰駿はこういう男が大嫌いなのだ。だからそのように見えるのかもしれない。


 泰駿は何も言わない、テツオから視線を離して一郎へ。彼は震えているだけで言葉を発しようという気配すら感じられない。


「っても俺も一人の限界ってのを感じてよ、ちょうど金になりそうなやつを捕まえたし。どうよ俺と組まねぇか? あんたも一人なんだろ?」


 にやけたテツオの笑みに下卑たものを感じるとふつふつと込み上げてくるものがある。尋ねられているのはわかっているが、それに返答する義理は無いとばかりに立ち上がった。そこでふと思いついたことがある。


「それじゃあれくれよ。おもしれーし俺の商売には便利な能力だからな」


「そいつはダメだぜ泰駿よ……あー、けどあんたのツレと交換なら別に良いかもな」


 テツオの視線がプラムへと向く。舌なめずりをしている彼の目はプラムの胸元、谷間へと向いていた。プラムの手が泰駿の袖をつかむ。


「それは無理な相談だ。というかお前、俺にお願いしてる立場だってことがわかってんのか? 誠意を見せろ、なんてことは言わない。けれど、信用させようって態度がお前には無い。自分のことを信用して欲しいというなら、あの念写野郎を寄越せ。それか、隠し事なくあらいざらい喋ってもらおうか、なぁ?」


 ソファに座りなおす。股を大きく広げ、短くなった煙草を灰皿に押し付けつつテツオの顔面に向けて煙を吹きかける。苛立ちを感じたらしく、彼の額にうっすらとだが青筋が浮かんだ。


「しゃあねぇな……あんたと同じだよ、俺もESPだ。けど国に管理されたくねぇから、黙ってるけどよ」


 ほぅ、と息を漏らす。


 ESP。つまり超能力者は国への申請義務があり、どうしてそのような能力を得たのか調査するために政府はESPに対して定期的な検診を義務付けていた。その見返りとして医療費が一部控除されるというメリットもあった。


 しかしESPは差別される場合がある。就職にも影響するし、賃貸住宅への入居を断られることもある。そのようなことがあるため、超能力に目覚めたとしても黙っている人間は一定数いた。その場合は犯罪となり、悪質だと認められた場合は禁固刑が科せられることもある。


「じゃあ、能力見せろよ」


「お前ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ? 俺が一人でもやってけんのは能力があるからだ、わざわざ教えてやるかよ」


 そしてこのテツオという男、自身の能力を良からぬことに使っているようだ。それがどういった能力であり、どのように活用しているのかはまだ分からない。


「仕方ねぇな……おいプラム、ハンカチ持ってるだろ。貸せ」


「えっ、あ、うん。あるけど……」


 突然に話を振られたものだからプラムの肩が跳ね上がる。プラムは時折、警戒するような視線をテツオに向けながらカバンからハンカチを取り出し泰駿へと渡す。


 ハンカチを受け取ると指の間に挟み、呼吸を整える。そのハンカチにまで自分の神経が伸びていくイメージを頭に中に思い浮かべながら、力を籠めるとただの布切れは鉄板のように固くなった。瞬間、泰駿は腕を伸ばし刃物としての機能を持たせたそのハンカチでテツオの頬を切り付けた。


 硬質な音が響く。彼の頬の皮膚に切り傷をつけるつもりでいたが、傷一つない。見れば、テツオの皮膚の色が鈍い鋼の色へと変化していた。質感も変わっている、人間の肌ではない鉄そのものにしか見えなかった。


「これが俺の能力、どんなものでも刃物に変えられる。さて、これで教えてくれるか?」


「てめぇふざけんなよ……」


 何かが切れるような音がテツオから聞こえた気がした。彼の全身に鋼色が広がっていく。おそらくそれが彼の能力、全身の皮膚を鋼鉄化させるといったところだろうか。シンプルな能力だ、だからこそ強い。それがあれば、暴力で人を屈服させるのだって難しくないだろう。


 一瞬だけ一郎へと目を向けた。彼のおびえ方が尋常ではないものになっていた、三角座りになり手で頭を覆って震えている。彼らの間に何があったかは分からない、だがその様子を見ればテツオが能力を使った暴力で一郎を支配しているのは明白だった。


 空気が動いた。プラムを突き飛ばし、その反動を利用して泰駿は反対側へと飛ぶ。プラムと泰駿の間にテツオが突っ込む、ソファが真っ二つに折れた。


「お前、そんなんでよくやってこれたな。キレるの早すぎだろうよ、まぁいいわ。お前、警察に突き出すわ。ESP能力の未届けって結構罪重いんだぜ?」


 泰駿は転がり、立ち上がると服に着いた埃を払う。余裕を見せるように煙草を咥える。テツオの血走った目が泰駿をとらえ、拳が襲い掛かる。


 大きく腕を広げた大振りなそれを見切るのは容易だった。手首を軽くつかみ、いなしながら隠し持っていたナイフを引き抜きその刃をテツオの肘に押し当て、筋を切り裂こうとしたが硬く刃は通らない。


 自信ありげなテツオの笑みを見るや否や、泰駿は後ろへ飛んだ。泰駿のいた場所をテツオの拳が撫でた、背中に壁の感触を感じる。逃げ場はないが、追い詰められたとも思わない。


「あー、やっぱこっちの方が性に合ってるわ。てめぇも俺には敵わねぇって思い知らせてやるよ、鉄砲もナイフも俺には通用しねぇんだよ!」


「あっそ。お前、一人でやってけたって嘘だろ? そんなんでやっていけるわけがないからな、来いよ。現実を教えてやる」


 あざけ笑い挑発し、左足を前に出し腰を落として構えを取る。突進してくるテツオに合わせ、踏み込んで前に出る。短く素早く印を結び、拳を握りなおすと泰駿の拳に淡い光が宿り、その拳をテツオの胸へと叩き込む。


 鋼色の巨体が宙に浮かび上がった、インパクトの衝撃でタンクトップは弾け飛び、拳が直撃した胸元は陥没しひび割れ、鮮血が吹き上がる。


 テツオは床に叩きつけられ、そのまま動かない。のんびりとした足取りで横たわる彼に近づき、つま先で頭を小突いてみたが反応はない。胸は上下動を繰り返し、その度に血が流れ出す。死んではいなかった。


「うっし、警察呼ぶか。な!」


 プラムと一郎に向けて笑いかけてみたが、彼らは目を大きく見開き肩を震わせていた。

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