第1話 魚と舟
「俺としてはやっぱり見た目が大事だと思うんだ」
「なによいきなり?でもまあそうね汚いのは嫌だわ」
この男っぽい話し方のやつは高山チハル
ボーイッシュなショートカットに切れ長の目でよくいるラノベの主人公大好きツンデレキャラっぽいけどそんなことはないと思う…まあツンデレだが。俺がよくつるんでいるメンバーの一人だ
「やっぱり髪の毛からかな…髪型を変えようと思う」
「坊主?」
「なんで髪型を変えるって言ったら坊主になるんだよ!お前は北条政子か!」
「つまんないし、バカがバレてるし、そもそも何言ってんのかわかんない」
―コイツ…まあ俺も何言ってんのかよくわかんなかったけど
「ま、まあワックスとかで髪型を変えればいいかな」
「うちの学校そういうの緩いもんね」
「というわけで手伝ってk」
「嫌よ」
「早っ!せめて最後まで言わせてくれよ」
「嫌よそういうの嫌いだし…まあ相談くらいなら乗ってあげるわ」
こういうところは本当に助かる一応女子目線で考えて欲しいしな
「やっぱり髪の毛をツンツンさせた方がいいなベ〇ータみたいに」
アレは重力無視してるな、武器になりそうだ
「アンタやめなさいよ!処女作にして大手の作品をネタにするのはダメよ!」
「そもそもアンタは大して内容を知らないじゃない」
痛いところをついてきやがる
「あ、アレだろドラゴン玉を7つ集めるんだろ?」
「そんなの小学生でも知ってるわよ!てかもうこの話は終わり!これ以上は危険だわ!ファンの人たちに怒られる」
「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃガッ」
こいつグーで殴りやがった痛てぇ
「それ以上他作品持ち出したらたら殴るわよ!」
「もう殴ってんじゃねぇか!なにがそれ以上言ったらだよ」
―キーンコーンカーンコーン
「マズイ予鈴よ、先に戻るわね」
「でもまだ何も相談に乗ってもらってない」
「アンタがふざけるからよ自分で考えなさい」
しょうがないな自分で考えるかでも立たせんのはあんまり良くないかもな…って俺も遅れる!
「起きろ!いつまで寝て…って早いじゃねぇか、つーかなんだその髪型…さか〇クン?」
「誰がさか〇クンだよ!寝癖なおしてボリュームを出して固めたんだよ」
「寝癖直して固めたってなんで膨らんでんだよ、フグがいんのかと思ったぜ」
…バカにしやがって…しょうがねぇ登校中に直すか
「じゃあ行ってくる」
「お前…そのまま行くのかよ…」
「途中で直すんだよ!」
「行ってらっしゃいギョギョギョ」
「チッ」
ここをこうして立たせてツンツンにして…
「あ、ユーくんおはよー髪型変えたの?」
「おう!変えてみたんだカッコいいか?」
「うーんカッコいいっていうよりなんだろう…ハリセンボン?」
ハリ…センボン…
「お、おう…そうか…」
「で、でも似合ってると思うよ?さか〇クンの親戚って感じ」
おのれ、さか〇クンこんな所までついてきやがって…
しょうがねぇトイレで洗ってくるか
「ちょっとトイレ」
「行ってらっしゃい!」
今日は失敗か…次も頑張るぞ!
「お、ユウトおはよう!なによその髪型」
「うっせーチハル」
「機嫌悪いわね…直してあげようか?」
「頼む!」
「はい出来た!」
「サンキュ!めっちゃいい」
なんていうかモデル雑誌から切り取ったみたいだ
「じゃあ行ってくる」
「あ、ユーくんおかえり、あ!どうしたの!凄くカッコいい」
「あ、ありがと」
「流石ユーくんだね、そろそろ授業始まるよ」
「おう!」
今回は失敗かと思ったけど予想外の助け舟でなんとかなったな
今度アイツになんか奢ってやるか
さあ次はどこを磨こうか