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第一章 -1

初回投稿時にさくさくとか言ってたんですが、ボチボチ投稿していく感じになりそうです。

読者様もぼちぼちのご高読お願いします。。

◆第1章-1


 ラルオ・マーキンが意識を取り戻したとき、彼は二つに分かたれていた。一は六歳女児のサラ、そしてもう一は六歳男児ディー。魂玉に封印される時点でラルオが望んだとおり、男女2体に意識を分け与えた状態での覚醒だ。どちらもラギール・ラセナの眷属となるので氏にラセナを使用する事にされた。


 ラギール・ラセナはサラ・ラセナ及ディー・ラセナを前にここまでの経緯を以下のように語った。


 神々に“縁無き世界”の一つへと送られたラギール・ラセナは、まず世界(大気圏を含む惑星)の隅々へと意識を伸ばした。己の神力の伸ばしやすい領域、伸ばし難い領域を探る。川のように伸びた神力の拡散し易い領域を龍脈と位置付けることにする。


 龍脈を確定する間に表面だけをなぞったのみでも、この“縁無き世界”が以前の世界より文明が進んでいることを認識し荷の重さを再認したが、早急さっきゅうに拠点を構築することに決める。


 拠点の設置条件は、比較的平和な国で人のいない森林の奥地であること。更に龍脈上りゅうみゃくじょうであること。目立たず隠密に拠点を設置し終え、かつ世界秩序構築の邪魔の入らぬよう人の手が届かぬ場所が最上である。ラギール・ラセナが秩序を作り替え不利益をこうむった者の手を届きにくくする為にもこの条件は外せない。


 やがて最適な拠点用領域を見出したラギール・ラセナは地に右手の平を置き、惑星全体に届くよう神力を解放した。瞬く間に青く輝く地面との接触部位に十㎝幅の青水晶の柱が生じ始める。そして高さ120㎝程まで伸びると上部は球状態変化する。これは龍脈接続装置だ。その球状部に手を置いたラギールは一呼吸入れ、更に言葉を発した。


 「定義対象 ―― 龍脈接続装置」

 「定義 ―― 障害の永久排除」


 定義対象や定義の確定時には対象そのものが薄青く発光するのを瞳に映し、次の言を紡ぐ。


 「定義対象 ―― 秩序構築拠点」

 「定義1 ―― 龍脈接続装置の周囲1キロ圏内すべて」

 「定義2 ―― 許可なき者の侵入阻止」

 「定義3 ―― 障害の永久排除」


 「定義対象 ―― ラギール・ラセナ」

 「定義 ―― 障害の永久排除」


 次に数十メートル後方に退いたラギール・ラセナは、両手の平を目前の空に向け拠点家屋を構築する。神力を練り合わせぼんやりした想像を細部まで明確になるよう導き、思い描いた家屋を現実に繋ぎ合わせるのだ。もちろん龍脈接続装置もその家屋の一室に配置されるよう苦心する。ほどなく小型ログハウス様の家屋が誕生した。


 己の住居が出来上がった感慨を持つ間もなく拠点家屋に足を踏み入れ、半地下に配置した龍脈接続装置の前まで戻る。地表剥き出しのままの半地下は20畳程度の広さがあり、そこに龍脈接続装置がポツンと存在する状態は心寂うらさびしく思わせたが、すぐ横の地面にラギール・ラセナが左手を当て神力を解放すると小さな泉が出現する。


 更に龍脈接続装置の球部に手を置いたラギール・ラセナの言葉が半地下に響いた。


 「定義対象 ―― 再誕泉」

 「定義1 ―― 魂玉に封じられた人の魂を持つ人間を誕生させる」

 「定義2 ―― 触れた動物の治癒力増強」

 「定義3 ―― 触れた物質の浄化」


 言葉の合間に定義確定の発光が不可思議な空気を作り出していたがラギール・ラセナは頓着せずに進める。


 「定義設定 ―― 魂玉」

 「定義1 ―― 人のてのひら大の球」

 「定義2 ―― 人の魂を封印するもの」

 「定義3 ―― 封印された人の生誕地・生誕日・正式姓名(真名)を表面に記載」

 「定義4 ―― 再誕泉に浸けると封印された人が誕生し消滅する」


 ここでラルオの魂玉が取り出されたが、それをラギール・ラセナが両の手で包み神力を注ぎ込むと青い光が一瞬強くなった後に魂玉が二つに分かたれる。更に右手に持つ魂玉を泉に10秒程浸け、引き出した時には魂玉が消え女の赤子が誕生していた。同じように左手の魂玉を泉に浸けると、今度は男の赤子が誕生した。


 ラルオの希望通りその魂を分かち誕生したこの赤子たちは、当人の希望に即し、サラとディーと名付けられた。これは続けて読むとラルゴの孫サラディーとなる。


 続けて、ラギール・ラセナはこの双子とも云うべき赤子たちに神力を注ぎ込むと彼らは成長を始め、すぐに六歳児となった。そして二人を前に再び龍脈接続装置に神力を注ぎ込む事にする。


 「定義対象 ―― サラ・ラセナ」

 「定義 ―― 障害の永久排除」


 「定義対象 ―― ディー・ラセナ」

 「定義 ―― 障害の永久排除」



 こうして、ラルオ・マーキンの意識はこの“縁無き世界”に現れたのであった。


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