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目上の人に注意する勇気(高レベルミッション)

原山リオン 68歳


リオン・ファクトリー創設者にして現会長


子供用知育玩具から模型やフィギュアなど幅広いおもちゃを製作・販売

地域の文化貢献のためご当地ヒーローやゆるキャラのデザインもしており

その全てにおいて独自性の高い独創的なデザインは他に類を見ないものであり消費者の心をつかむものであった



そんなリオン・ファクトリーの現会長が今目の前にいる

しかも国王として



「いやはやここまでおつかれさん前村君」

と甚平姿のリオン会長(いや、国王か)は陽気な感じで立ち上がり話しかけてくる

「は、はい。えっとり、リオン会長でいらっしゃいます、よね?」

「そーやで私がリオン国王です。ガッハッハ」

と豪快に笑いながらバシバシ背中を叩く会長

その様子をじっと見ていると思っていた佐藤課長がいつの間にか隣にいない

と思うと



「ほぁった~」



というまぬけな声が後ろからすると背中に鋭い衝撃が走る



「ぐぅえ!?」



と私もまぬけな声を出してそのまま前に倒れる



「あっはっはっはっは~」

「な~にやってんじゃ前村君~」

と佐藤課長とリオン会長の笑い声がする

あれ?これいじめですか?



「ふ、ふざけないでくだいよお二人とも...」

「いやいや、あまりにも隙がある背中でしたので」

「ガッハッハ相変わらずじゃのミチコちゃんは」

とまた笑いだす二人にさすがに腹が立ってくる



「いい加減にしてください!!」



とカッとなってつい言ってしまった

あっ、や、やばい

仮にも上司と会社の創設者に私は

まずい、へたすりゃクビになるかも



二人は黙ってこちらの様子を見ている

「あ、あの...」

理不尽ではあるがこちらが謝ったほうがいいと思ったとき



「ごめんなさい」

「申し訳ない」



と課長会長ともに頭を下げて謝罪の言葉を述べてくれた

「あっ、いやこちらこそ」

なぜかそう言ってしまい私も頭を下げてしまう

傍から見れば三人がそれぞれに頭を下げている変な光景になってしまった







「さてと、おふざけはこの辺にして本題に戻ろう」

「はい」

あの後二人のテンションが極端に下がってしまったのを必死になだめて20分ぐらいたっている

リオン会長は玉座に戻り佐藤課長は会長の右側に立っている

「それじゃあまずは人事の移動にあたり仕事内容を説明していくかの」

と言い出すとリオン会長は佐藤課長に「ミチコちゃん、アレ、持ってきてくれ」と指示を出し「わかりました」とうなずいたと思ったらその場からシュンと消えてしまった

そしてこちらを見つめなおして再び話しなおす

「前村君、ミチコちゃんからギルドについては聞いたかね?」

「は、はい。まだ詳しくはわかりませんがおおまかなことは」

「ん、まぁ今はそれでも大丈夫じゃからの。さてまずはこの世界がどうゆう世界か説明しとくと、まぁ大まかなことに関してはほとんど変わらないのじゃよ」

「ええーっと」

それは多分違うような...

「そう思うかもしれないが違わないんじゃよ」

「!?」

あれ?今声に出していたか?

「まぁ確かに住んでるものが全然違うんじゃけどな」

心を読まれたかと疑問に思う中話は続く

「ワシ等の世界では人間がいて動物や植物がおるじゃろ?この世界の人間はいわゆる知的生命体すべてを示しコミュニケーションがとれるものすべてに言えるんじゃ。この町の住民を見てきただろう?犬のような動物も二足歩行で喋っていたり、鳥の羽や手足を持つ者がおったり、魚みたいのや喋る岩や水もおったはずじゃ」

「あ...」

確かにそうだったな

それに驚いて気絶してしまったが

「まぁはじめて見るものじゃし気絶するのも無理はないが。ガッハッハ」

やはり知っていたか...

「で、意思の疎通のできない生き物ももちろんおる。そやつらはモンスターと魔物という」

「モンスターと魔物、ですか」

「うむ。まずはモンスター。これはいわゆる野生動物に当てはまる生き物でな。外の看板に書いてあったじゃろ?」

「えっと、あ」


『ここはアルタイロ国・リリラ平原

 アルタイロ国城下町までこの先250m

 注意モンスター出没注意     』


確かにそう書かれていたな

「この世界では町以外は基本手つかずでな、どこからでもモンスターが沸いてくるのじゃよ」

「沸いてくる?」

「そう。モンスターは基本突発的に生成されてこの世界に生まれていつ出てくるのかは定かではない存在じゃからの中々に厄介な生き物じゃ。まぁ町中では基本現れないようにしておるがその話はおいおいの」

「なるほど。わかりました」

うんうんと頷く私を見てさらに話を続ける

「でだ、もう一つの魔物についてだが」

と言って頭を掻きながら困ったような表情になると

「実はよくわかっておらんのじゃよ...」

「...え?」

よく、わからない?

「わかってることはこれらは勝手に生まれてくるわけではないこと」

そう言って少し間をあけてから




「恐らくは何者かによって作られ兵器に近しいものじゃ」





「へ、兵器...」

「確証はないがの。じゃが魔物は普通に生活しているぶんにはさほど脅威ではないのじゃが」

と言いながら少しどもってしまう

すると後ろから「会長」と声がする

振り返ると先ほど消えたはずの佐藤課長がいつの間にか私の後ろに立っていた

驚いたがなんとか平静を保つことができたからか佐藤課長が小さく「ありゃ、失敗」と悔しそうに言っていた

「おうおうお帰りミチコちゃん。持ってきた?」

「はいもちろん」

というと佐藤課長はデバイスを操作すると

左手に何やら球体の石のようなものが出てくる

「おぉ」と思わず声を漏らしてしまい慌てて口をふさぐと目の前の佐藤課長は満面の笑みだった

そんなことを知ってか知らずかリオン会長は

「それじゃ前村君」

と声をかける

「は、はい」

一度振り返り会長に目を合わせる

「今ミチコちゃんが持ってる物を受け取ってもらえるか?」

「はい。わ、わかりました」

と返事を返し佐藤課長のほうへ

「はい。どーぞ一鷹君」

そういって差し出されるそれを一度見直すと

ピンポン玉より少し大きい位の丸い光沢のある玉である

危ないものではないのだろうが少し緊張する



そして差し出された玉を受け取ると急に光だし







そこで意識が途絶えてしまった


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