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転職の際には詳しい下調べが大切だそうですよ

「すみませんでした、ミチコさん...」

パニックの連続で二度も気絶してしまうとは...

どのような状況でもしっかりと対応ができると思っていたがあまりそんなこともなかったみたいだ

隣を歩く佐藤課長は終始ニヤニヤしながらこちらの顔をみてくる

「いやいやー大丈夫だよー。しかし君はなかなかに楽しい反応をしてくれるね。新鮮な感じでいいよいいよ」

とか言いながら二人して王宮の立派な廊下を歩いている

改めて周りを見渡すと廊下の壁には左右に様々な絵画が飾られていたりたまに立派な花とかがあったり天井も中世ヨーロッパ建築を思わせるような建築になっている

ごくごく一般的な生活を過ごしてきた私にとって何もかもが高級なものでしか考えられる

そう思うゆえに思うことは

「しかしミチコさん、私たちは何故ここにいるのですか?」

そう何故私たちがここを普通に歩いているのかがわからなかった

先ほどから私たち以外の人の気配もないしとても静かなのだ

よくよく考えると私が倒れた時も何故王宮に運ばれたのか?

異世界とはいえ国のお城だたとえ医療班のような方々が私を介抱したとしてそのまま部外者二人を見張りもつけずに放置しておくことはセキュリティーにいささか問題があると思うのだが

などと考え込んでいると佐藤課長は何も問題はないとでも言いたいような笑みを浮かべ

「一鷹君」

と真面目なトーンで話を始める

「根底のこととして今日君はどうしてここにいるのかな?」

と真剣な表情で聞いてくる

ここにいる理由?

「本日付けで第十三特別地区部に異動となったから。でしょうか?」

「そうです。が、君が配属された部署の正式名称は”リオン・ファクトリー特別店舗アルタイロ支店総合ギルドセンター”通称"ギルド"です」

「ギルド?」

「うちの会社は主に子供向け用のおもちゃの製作や販売が主な業務内容なのはさすがにわかってるよね?」

「ええ、創設者原山リオン会長が一代で築いた会社ですよね?今は隠居して経営は息子で社長の原山総一郎に全てを任せていると聞いておりますが」

「そう。その原山リオン会長って会社を設立する前は何をしていたのか知ってる?」

「え?」

会長の前職?

「えっと、他のおもちゃ会社の会社員とかではないのでしょうか?」

「いいえ違うわ」

と言い少し間をあけて

「彼は元々冒険家」





「異世界専門の冒険家よ」





「異世界専門の、冒険家?」

冒険家ってだけでもよくわからないのに異世界専門だと?

「そう。にわかには信じられないと思うけど本当の話よ。リオン会長は元々は世界各国を回る冒険家だったんだけど、あるとき偶然発見した空間転移装置を発見してこのジョーネスタへの道を開いた」

淡々と真面目に話が続く

「そしてジョーネスタでも冒険を続けるうちにある商売を始めたの」

「商売、ですか」

「それがギルド運営。ギルドっていうのはわかりやすくいうと仕事の紹介所よ」

「仕事の紹介所?」

「そう。内容としては仕事を依頼したい人が持ってきた仕事を適切な人に紹介して解決してもらうのが基本的な仕事よ」

「はぁ。なるほどそうなんですか」

「当時は町のいたるところに掲示板を設置して好きに仕事を依頼したり受注してたものを会社として組織運営したのがリオン会長よ」

「そう、なんですか」

見ず知らずの土地で一から起業して成功させるなんて本当にすごい人なんだ会長

「でも、何故日本でおもちゃ会社を?」

「その後ギルドが安定してきたときに元の世界に戻りたくなったみたいで、いくら冒険家でも自分の故郷に帰りたくなったそうよ。でも、長期に離れるとギルドの運営にも支障が出てしまう。そこで最初に見つけた空間転移装置を改良させることでこの世界と行き来できるようにしたの」

「なるほど」

「日本に戻ってからのことはわかってるわよね?こちらで得た知識や経験でおもちゃ会社リオン・ファクトリーを設立して今に至るわ」

「そうゆうことなんですね」

とここまで話すとすでに廊下を出ていて城の中心地であろうエントランスルームらしき場所まで来ていた

すると佐藤課長はその中心に移動すると「こっちこっち」と指示する

ぼーっと佇んでいた私は急いで近くまで移動する

「んじゃ、移動するよ」

「移動?」

すると腕につけているデバイスを操作しこちらに両手を差し出す

「はい。しっかりつかまってね」

「え、あ」

差し出された両手をしっかりと握る

すると、左腕に装着されているデバイスが何か反応したとおもうと

移動(ムーブ)

という機械音声が聞こえると同時に先ほどまでいたエントランスからどこかの部屋の前に移動していた

「おお!?」

思わず両手を放してのけぞってしまうとやはりその反応が面白かったのかケラケラと笑いです佐藤課長

「アハハハ~やっぱ一鷹君おもしろいよ~うんうん」

いやまぁはじめてなことでいろいろとびっくりすることばかりですが

そんなに私面白いのか?こればっかしはよくわからん



ひとしきり笑い終えると息を整えて落ち着かせる佐藤課長

「そ、それでミチコさん。ここはどの部屋の扉の前ですか?」

むき出しのレンガの壁の部屋はここからどこかにつながる道は目の前にある木製の扉だけだ

質問をしたものの笑い収まってない佐藤課長はゆっくりと息を整え始める

「はーはー、ん?ここは王様の謁見の間になりまーす」

え?

「えええええ「こらこら、静かにしずかにだよ一鷹君」

「ええっ、あぁはいすみません」

いやいやいやこれが落ち着けるものですか

今朝だって社長に会う前も緊張していたのに王様

しかも異世界のって

ど、どんな人なんだ...

「アハハ。そんなに緊張しないで一鷹君。リラーックスリラーックス」

すってーはいってーと言われながら深呼吸をする

バクバクいってた心臓も落ち着いてくるもやはり緊張してはしまう

が、そんな私の状況を察してるのか察してないのか佐藤課長はとことこと扉の前に移動すると

「はーい。それじゃああけますよ~」

と扉に手をかける

「えええいやいやちょっとまっ「はい、御開帳~」

ガコンという音がすると扉がゆっくりと開かれる

完全に開かれると一面大理石のような白い床に扉の前からずーっとレッドカーペットがしかれている

さぁさぁと佐藤課長に背中を押されながら一歩一歩歩き出す

そしてカーペットの上を歩いてまっすぐ進むと三段の階段がその上に玉座が見えると後ろから背中を押していた佐藤課長は「ここで止まってひざまずいて」と小声でいい私はその通りにする

ひざまずき頭を下げると左側から

「王様。本日異動になりました前村一鷹課長補佐代理を連れてきました」

と佐藤課長が王様に向かって話しかけているようだ

すると肩をポンポンと叩かれ「ほらほら、立ってご挨拶ご挨拶」と小声で言われでそのままシャキッと立ち上がると

「は、はじめまして王様!本日異動になりましたま、前村一鷹課長補佐代理でしゅ」

と最後噛みながら礼をする

隣にいる佐藤課長は声をこもらせて笑っているのが聞こえてくるがそんなこと気にしてる場合じゃない



「よいよい、面を上げなさい前村君」

と王様であろう歳の言った声が聞こえる

「はい」と言いながら顔をあげると玉座に座っている王様は



紺色の甚平を着て

顔にいくつか傷があり

スキンヘッドのおじさんだった



「やぁやぁよく来たね前村君」

と気さくに話しかけてくる王様

あれ?なぜだろう、なんか見覚えがあるようだが?

と疑問に思った瞬間



「私がアルタイロ国国王」



疑問は憶測に変わり



「兼リオン・ファクトリー会長」



憶測は確信に変わった






「原山リオンじゃ」




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