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我が家は大規模ダンジョンのある村の雑貨店。

我が家は大規模ダンジョンのある村の雑貨店ですが、その後どうです?

作者: 東雲

やっぱりゆるゆる設定、前回同様にさらさらと読んでもらえたら幸いです。



 大規模ダンジョンがある村の雑貨店でお婆ちゃんと二人頑張ってフルタイム営業してるリリーです、皆様こんにちわ。



 さて、ハンスさんがお土産にくれたキャーチですが只今カウンターに乗ってキャッキャッキャッ♪とリズミカルに鳴いて跳び跳ねています。ダンジョンに帰してもいいですが、ダンジョンまで行くのがダルかったのでペットにしました。

 蝶になれないよと教えてから目に見えて落ち込んでいて、どんまいっ!と隣のお菓子屋さんのナティナさん特製クッキーを一枚あげてみたらなついた。わかる、ナティナさんのクッキー恐ろしいほど美味しいもんね私、毎日買いに行ってる。キャッとかキャーとか鳴いてるのはなんとなく見てるとまあ可愛いかと思い一緒にカウンターで接客決定。我が家のマスコットにしよう、お婆ちゃんもさっきまでずっとつついてたから問題ないだろう。




 「君、名前どーする?欲しい?」


 「キャー!」


 「欲しいか~、何にしようかなぁ。でも私センスないのよね。芋虫とかいもちゃんしか思い浮かばないわ、それじゃ駄目?」


 


 そんなのたまるか!と言わんばかりにゴロゴロカウンター上を転げ回りキャーキャー訴えてくるのを眺めつつ、いもちゃんは中々良いと思うのにと私の中ではいもちゃんに決まった。

 

 いもちゃんいもちゃんと連呼して遊んでいたら、カランとベルが鳴る。




 「リリーちゃ~ん、アレッカですよー。」


 「あらあら、アレッカさんじゃないですか。ディマを売って懐が潤ってるから勿論、沢山買ってくれるんでしょう期待してますけど?」


 「あれ、もう知られてんの?」


 「その日の内に広まってますよー。皆、アレッカさん来たらたんまり買ってもらうって算段してるんじゃないですかねぇ。」


 「ええー、困っちゃうな~。一文無しにされちゃう!取りあえず、回復薬二十個位頂戴。あ、あとこの前買ったクッキー五袋もね~。やっぱあれは便利でいいよ。」

 



 こちらも常連客のアレッカさん。

 確か二十七歳だった気がする。見た目がキラキラ色男なので女性に熱い視線をもらうから私からは店以外だと絶対近寄らない事にしている、向こうから来た場合はまあいいだろう情けである。ハンスさんとはよく一緒にダンジョン潜ったり、酒場で呑んだり仲が良いみたい。妬ましい、私もハンスさんと一緒にダンジョン潜ったりご飯食べたりしたいんですけど。


 しかしまあ、隣にお菓子屋さんがあるが何故クッキーを売ってるかと言えば、用途が異なるのだ。隣のお菓子屋さんのは勿論美味しい素敵なお菓子、それに対して我が家のは罠的なヤバいやつ用。食べると必ず気絶するのだ、お婆ちゃんが作るこのお菓子達は何故か全部、恐怖の破壊兵器になるのだ!お婆ちゃん的には普通に作ってるらしいのだが、見た目は普通に美味しそうなのに食べると皆、取りあえず気絶するヤバい代物だ。

 昔、私が食べてこれは人様にはとてもじゃないが売れんと思いダンジョンに潜ってる時に色んなモンスターの口に投げ込んだら気絶して、これは良いと『どんなモンスターも気絶します、モンスタートラップに是非とも加えてみては?』の煽り文句と共に販売したら、面白半分で買う冒険者が軒並み自分で食べて病院送りになって誰も買わなくなった。が、アレッカさんやハンスさんなどの常連客だけはキチンとモンスタートラップに使うので一定の需要を確保している。




 「はい、どうぞ。6,500リムになります。」


 「はいどうも~、それよりこれ何?キャーチだよね。」


 「いもちゃんの事ですか?昨日から我が家のペット兼マスコットです。」


 「キャーキャッ!」


 「まさかのペット‥‥‥‥、しかもいもちゃんて。リリーはやっぱ変わってるよ。」

 

 


 転げ回るいもちゃんをつんつんしながら遊ぶアレッカさんに、見てるとそこそこ可愛く見えてくるでしょー!なんて私もつんつんするのに参加した。二人でいもちゃんコールしてたらいもちゃんが号泣しながらギャーギャー鳴き出してアレッカさんと二人流石に遊びすぎたかと静かに反省した。そんなにいもちゃん呼びが嫌か‥‥‥。




 「こいつどんだけいもちゃん呼び嫌なんだよ。リリーちゃんも、もうちょいマシな名前考えてやったら?」


 「えー、いもちゃん良いじゃん。じゃあアレッカさん何か良い案あるの?」


 「そうだなぁ~、リリーのキャーチだからリリーチとかどうよ!」


 「キャッ!キャーキャー!」


 「リリーチが気に入ったの?いもちゃんも良いと思うのになぁ、まいいか。じゃ君はリリーチで決定~!」




 いもちゃん改めリリーチになり嬉しいらしく、名付け親のアレッカさんにすり寄っているので私からはお婆ちゃん特製クッキーをあげたら、やっぱり直ぐ様泡吹いて気絶した。

 それを見て大爆笑のアレッカさんがこのあとハンスさんと晩飯食べるんだーと言ってきたのでアレッカさんの口にもクッキーを投げ込んだ。彼は今、床とキスしている。

 



 「リリー、アレッカ来てないか‥‥‥‥‥‥どうしたんだコイツら。」


 「お婆ちゃん特製クッキーを食べてこうなってます。ハンスさん、私も一緒にご飯食べたいんですけど!」


 「いや、リリーは店番あるだろ?」


 「じゃあ今度の休みに食べに行きましょうね、やったー皆に見せ付けよっと!彼女アピールしよ!」


 「っえ!?リ、リリー?」


 「あ、新しい服買わなきゃ!ふふふ、ハンスさん楽しみにしてますからね。」


 「お、おおう。‥‥‥‥ア、アレッカ起きたらいつものとこ居るって言ってくれ。」


 「はーい!」




 視線があちこち行ったり来たりと私の勢いに押されたらしいハンスさんは、一昨日同様にカラランとベルを鳴らして店を後にした。ははは、このままぐいぐい押して行こう!



 目覚めたアレッカさんにハンスさんいつもの場所に居るって言ってましたよーと教えてあげたら、リリーちゃんが酷いと走り去って行った。



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