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運無き者たちのデス・ゲーム  作者: 鍵和紙宗太
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竹内直樹③

<1日目>12:00


「カードゲーム?」


 大規模施設『オリエンタルパーク』内で参加者の誰かが口を開く。


「はい、一昔前にスマートフォンで流行ったソーシャルゲームって

覚えていますか?」


 受付にいた女性がアルバイトたちに説明する。

 よく見ると胸元にネームプレートがあり『上坂朱里』と書いてあった。


「クエストとか強化とか進化とかあってぽちぽちボタンを押すだけの

つまらないゲームばかりだったよな」


 バスから降りてもなぜか竹内直樹の隣にいる佐藤剛が周りに

説明するように言う。


「まあ、つまらないかはともなくとしてその認識で問題ないですね。

はい、そのソーシャルゲームです。ソーシャルカードゲームって

言う人もいるみたいですが要するに強いカードを集めてガチャを回したりする

皆さんのご想像の通りのもので間違いはありません」


 上坂朱里が小さく咳払いしたあと目の前に集まった

アルバイトたちを一瞥する。


「それで今回のお仕事は皆さんに次世代のゲームに触り、検証してもらいます」


「検証というのがよくわからないのですが……」


 二人組の女性のうち一人が質問する。


「皆さんに馴染みのある言葉でご説明するとデバッグとかテストプレイですね」


「遊んで金が貰える仕事だよな」


 髪を茶色に染めた長身の男が茶々を入れる。


「厳密には違いますが今回のお仕事はそれに近いですね。皆さんに

自由に遊んでもらってバグや遊びやすさに問題がないかの報告をしてもらいます」


「本当にそれだけで時給6000円も貰えるんですか?」


 先ほど質問した女性が、そんな楽な仕事をするだけで

大金が貰えていいのかといったようなニュアンスを込めて質問する。


「そうですね、私もなんでこんなに時給が高いのかわかりませんが

きちんとお給料は支払いますのでその点はご安心ください」


 上坂朱里は隠し事が苦手なのか時給についての疑問も正直に答えていた。

 金銭の決め事について関わっていないようで、

どうやら彼女もそのあたりのことはよくわかっていないらしい。


「それでは早速ですが皆さんに今回の検証で使用する端末をお渡しします」


 朱里の手前に置かれているジュラルミンケースを一人一人に渡して

開けるように指示をする。


 次世代用とはいえ、たかが検証のためにこのような頑丈なケースで

覆う必要はあるのだろうか。


「大事なことを伝えるのを忘れていました。端末ですが絶対に

壊さないでくださいね。未発売の端末というのはこれに限らず、

機密の塊なので壊してしまうとすごく高くつきます。マジです」


 学校の教師が教え子に言い含めるように人差し指を立てて注意を促す。


 果たしてケースの中を開けるとそこにはタブレット型の端末が1台と

説明書が同封されていた。

 端末は7インチ程度の大きさでありタブレット端末としては

標準的な大きさだ。


「未発売の専用端末なので家に帰っても誰にも喋ってはいけません。

もし喋ったのがばれるととんでもない額が請求されるので

くれぐれも気を付けてください」


 それが最後の注意事項だったのか、上坂朱里は

端末の使い方やゲームについて説明を始めた。

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